【インタビュー】外道「みんなのエネルギーをもらって、僕もエネルギーを与えて、吸血鬼のようにどんどんエネルギーをもらって若返っていきますよ」

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■ワーッと書いて1曲終わり。だいたい全部一回ずつしか歌ってません
■ソロも一回しか弾いてない。それがこれですよ。

──今回、曲作りはどんなふうにやったんですか。

加納:曲に関しては、インスピレーションを一番大事にしてます。このアルバムは、レコーディングの1週間前に曲がなかったですからね。

──ほんとですか!?

加納:みんな信用しないけどほんとです(笑)。やろう!って決めたあと、けっこう忙しくてライヴでいろんなところへ行ってたんですよ。マネージャーが“曲、そろそろできました?って言うから、“これからです”“あと1週間ですよ”“わかってます。そろそろ神様が何かくれる気がするんですけどね”って(笑)。それで3日ぐらいでバーッとできた。レコーディングに入っても、メンバーは何やるかわかってないですからね。その場で聴いて“おお!”って。僕もできあがった曲を聴いて、“いいねぇ!”って。曲として聴こえたものをそのまま出してるから、苦労は全然ないんですよ。昔から曲の作り方は全部そうです。イントロが出てきて、Aメロ、サビ、そのあと詞が出てきてそれもワーッと書いて1曲終わり。しかも今回は、だいたい全部一回ずつしか歌ってません。ソロも一回しか弾いてない。それがこれですよ。

──音から発するエネルギーが、尋常じゃないです。

加納:今回は「そんな」「YELLOW MONKEY」「ビュン・ビュン」「香り」と、昔の曲もやってますけど、特に「ビュン・ビュン」と「香り」は、外道という名義でスタジオ録音は初めてです。ライヴ盤はたくさん出てますけど、スタジオ盤がなかった。

──ですよね。これはなぜ今やろうと思ったんですか。

加納:やっぱり40周年だったということと…昔だったら“じゃあ次のアルバムで”って考えるところを、今しかないかもしれないって思うんですよ。そういう直感があって、周りも“ぜひ聴いてみたい”と言うので、やってみようと。やってみたら、新しい曲との違和感がないんですよ。

──まったくないですね。驚きました。

加納:40年前の曲ですよ? それとついこの間作った曲との違和感がなかったのは、ビックリしました。自分で聴いて“へえ~、こんなのできちゃった”ですよ。終わっちゃうと他人ですから。すごいなーって。でも本当にいいアルバムですよ。日本のロック史上、本当のロック・アルバムとして歴史的なアルバムじゃないかと思いますね。ありがたいなと、本当に神様に感謝ですね。

──歌詞に関して言うと、40年前からずっと「時代に流されるな」「真実を見抜け」ということを言ってるように思うんですよ。あらためて聴くと。

加納:そうですね。僕の役目はそういう問いかけをすることと、音で魂と細胞に訴えかけて、その人がプラスの方向に向かうのを助けること。もともと僕が外道を作った時に何をやりたかったというと、“世の中で正しいと言われてることは本当にそうなのか?”と。逆に“間違いと言われてることの中に、もしかしたら正しいこともあるかもしれない”と。人間は何も知らなくて、宇宙のことも知らないし、身体のことも知らないし、明日どうなるかも知らないのに、なんでそんなに知ったかぶりできるのかな?と。だから自分の魂で感じたことから選んで行こうということで、“外道”と言う名前をつけたんです。わが道を行く、という意味で。その時に僕が思ったのは…まだできないし、生きてるうちにできるかどうかわからないけど、最初にギターを持った時に思ったのは、たとえば台風が来た時に台風に向かってギターを弾いて、その台風が消滅しないかな?とかね。本当にそんなことを考えてギターを始めたんですよ。

──はい。

加納:その人の人生が少しでも良くなるようにって、僕の気持ちをギターに入れてエネルギーを送る。それを目標にやってたんで、別にヒット曲とかに何の興味もなかったし、レコードを作ることにもあんまり興味がなかった。だから若い頃にジェフ・ベックとかと一緒にやった時も、“ギターやってるの? 有名なんだ、ああそう、頑張んなよ”とか思ってたのは、そういう感覚だったから。“あなたはヒット曲を出してるけど、僕はこっちのほうだから”って、そういう感じ。全然関係ない。その人の人生が良くなるようにエネルギーを送るのが目標だから、行けるところはどこでも行くし、そうやって伝えていったんですよ。それが僕の役目だから、迎えが来るまでやるしかない。だって僕の周りはどんどんいなくなっちゃうし、今の若い人は本当のロックを知らないし、伝えていかないといけないなと思いますよね。外国でもどんどんみんな、逝きだしちゃってるし。

──つい先日、ルー・リードも亡くなりましたね。

加納:ルー・リードと言えば面白い話があって。ある時雑誌を読んでたら、裕也さんがニューヨークに行ってルー・リードに会った時の話が載ってて、ルー・リードが“日本にロックなんかないくせに”とか言ったら、裕也さんが“何言ってんだ、日本には外道がいる”って言ったって(笑)。うれしいねと思ったけど。

──一つ聞きたかったことがあるんですが。外道は活動期間と休止期間を繰り返しながら40年続いて来ましたが、何かタイミングがあるような気がするんですよ。今回は奇しくも震災の前の年から活動を始めてますし、その前の復活はちょうど3.11のあとで、その前は90年代のバブルで日本が狂ってる時期。その前は80年前後のまた時代が変わる時期で…。

加納:それってね、意味があるんですよ。何かをやらなきゃいけない世の中の状況があって、そこに合っていくみたいで。外道をやってない時期は、やってなくていいみたいなの。その間に僕がほかのことをいろいろやって、吸収しなきゃいけない時期。それで満を持して外道をやるという、そういうことがあるみたい。自分で考えてるわけじゃないんですよ。自然に乗っかってるというのかな。時代の節目でいつも神様が“オマエは今やらなきゃ駄目だ”って、やらされちゃうんだね。

──不思議ですよね。

加納:僕の人生は不思議だらけですよ。不思議なんだけど、いつお迎えに来るかわからない。去年桑名(正博)が39年ぶりにファニー・カンパニーを再結成して、外道とジョイント・コンサートをやったんですよ。神戸で。その時ちょうどジョニー吉長が倒れて危ない状態だったから、二人で“死んじゃ駄目だよな。お互い節制して頑張ろうよ”っていう話をしたばかりだった。その直後に桑名も倒れちゃったから、あいつも自分が死ぬとは思ってなかったんですよ。人間なんか、わかんないわけ。僕も“おつかれさまでした”って、そこのドアのところで倒れるかもしれないし、わかんない。あるいは神様が200歳ぐらい生かしてくれるかもしれないし。

──やってください。結成120年!とか。

加納:それいいですね、その響き(笑)。この間の“10円コンサート”(44年ぶりに開催)で、日比谷野音が90周年だったんですよ。野音の館長さんも外道が大好きで、終わってから“100周年もよろしくお願いします!”って言われて“うん”って答えたけど、よく考えたらその頃僕は70越えてるし、裕也さんなんか“100周年? 加納、あとは頼むよ”とか言うし(笑)。

──絶対やってると思いますけどね。裕也さんだったら(笑)。

加納:ローリング・ストーンズが50年でしょ? じゃあ外道は100周年を目指しますよ。ステージに上がるまでがショーだったりしてね。ステージに立っただけで大拍手(笑)。


──11月からのツアーも本当に楽しみにしてます。そして来年も。

加納:来年もガンガン、ライヴやるつもりです。どんどん若い奴にも広めたいですね。僕のやろうとしてることは、すごく大事なことだと思うんですよ。日本の音楽に対して、若い人がこれから変わっていかなきゃいけない、一番大事な時期じゃないかな?という気がするんですよ。だから外道を体験させないと駄目かなと。僕がいる間じゃないとできないので、みんなのエネルギーをもらって、僕もエネルギーを与えて、吸血鬼のようにどんどんエネルギーをもらって若返っていきますよ。

取材・文●宮本英夫


『魂の叫び』
11月6日(水)発売
KICS-1979 ¥3,150(tax in)
1.虹の彼方から
2.この世界に
3.心の叫び
4.マイラブ
5.Rock'n Roll マウンテン
6.そんな
7.Hey Rock'n Roll 外道
8.横浜スイートブルース
9.YELLOW MONKEY
10.ビュン・ビュン
11.香り
12.記憶の向こう側へ

<外道結成40周年&レコ発LIVE TOUR 2013-2014>
2013年11月6日(水)大阪・心斎橋 soma
2013年11月9日(土)北海道・小樽 GOLD STONE
2013年11月10日(日)北海道・岩見沢 MPホール
2013年11月13日(水)東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
2013年12月21日(土)埼玉・北浦和 エアーズ
2013年12月22日(日)栃木・佐野 ダイニングバーken
2014年1月13日(月・祝)東京・渋谷 CLUB CLAWL
2014年2月7日(金)愛知・名古屋 TOKUZO
2014年2月8日(土)大阪・堺 TICK TACK
2014年2月9日(日)大阪・心斎橋 soma

<デビュー40周年記念アルバム『魂の叫び』発売記念!―ミニ・ライヴ&サイン会―>
11月8日(金)タワーレコード札幌ピヴォ店 イベント・スペース観覧フリー
[問]タワーレコード札幌ピヴォ店 011-241-3851
12月20日(金)タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
[問]タワーレコード新宿店 03-5360-7811

<ROCK LEGEND Vol.3~外道 結成40周年&「魂の叫び」発売記念>
2014年1月13日(祝)渋谷CLUB CRAWL
出演:外道 / opening act FIX

<外道デビュー40周年記念『魂の叫び』レコ発TOUR>
2014年2月7日(金)名古屋今池TOKUZO
[問]TOKUZO 052-733-3709

◆外道 オフィシャルサイト
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