【インタビュー】Angelo、最新アルバム『FAITH』をキリトが語る「言ってることは変わらないですね。PIERROTのときから僕はずっと歌ってきた」

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■自分と違っている人を悪と見なし、そこに踏みこむから狂気が生まれる
■汝の敵を愛せるか? それができないといつまでも争いは終わらない

──“信仰”、“信義”という意味のタイトルですが、どんな想いをこめてテーマに持ってきたんですか?

キリト:確かに“FAITH”っていう言葉自体には“信仰”や“教義”という意味があるけど、僕はもっと大きな意味で捉えているんですよ。宗教だけじゃなく政治や経済も含めての、“FAITH”でいうと、例えば資本主義の国は資本の運動を原理としているし、社会主義の国は国家が管理している平等の経済という信念を持っている。もっと個人レベルでいうと、人間、何を信条として生きているかは、人によって違うと思うんですよ。稼ぐために働いている人にとっての“FAITH”はお金かもしれないし、夢を信じて働いている人もいれば、家族のために働いている人もいますよね。何を指針にして生きているかは、それぞれ異なっていて当然だと思うんです。

──確かにそれぞれの価値観、信念がありますよね。

キリト:人間、自分と違った信念を持っている人と話したら、否定したくなるけど、違ってて当たり前なんだっていう。そこで相手を認められなかったら、争いになるじゃないですか? 民主主義の国では男女平等は当たり前かもしれないけれど、女性が前に出ることを良しとしない国もあるし、食べるものだって、信じる神だって国によって違う。それを受け入れられないから争いが起きるし、巻きこまれて犠牲になる人たちが膨大に出てくる。教義だって信じている人が信じていればいいんであって、自分と違っている人を“悪”と見なし、そこに踏みこむから狂気が生まれるんだと思う。大事なのは、自分とは違う異質なものを目の前にしたときに愛せるかどうか。汝の敵を愛せるか? それができないと、いつまでも争いは終わらないですよ。話が大きくなってきましたけど(笑)、このアルバムは1つのストーリーであり、フィクションなんです。その物語の中で何をメッセージとしようとしているのかっていうことであって。

──フィクションの中にキリトくんからの問いかけがこめられているということですね。

キリト:そう。最後の「Beginning」という曲では、あなたは何を信じて、誰に従うのか?って問いかけていて、答えは出していないけれど、“君を連れていく”っていうのが僕の答え。それが何かにそむく結果になって罪をかぶったとしても、自分の正義に基づいて大事なものを守るために行動するっていう。だから、最初の「FAITH」でまず決意を表明しているんです。

──なるほど。“FAITH”の違いから起こる衝突や狂気の部分に当たるのが前半の楽曲でストーリーが展開していくんですね。

キリト:そうですね。

──YouTube映像の話に戻るんですけど、あの中には争いに巻きこまれていく人たちや貧困にあえぐ子供たち、祈りを捧げる人たちが出てきますよね。何か考えてほしい、感じてほしいと思ったからこそ、ああいう提示の仕方をしたのかなと。

キリト:別にキレイごとを言うつもりはなくて、“今、世界でこういうことが起こってますよ”っていう現状を映しただけなんですよ。それを見て、何を感じて、何を選んで、あなたはどうするの?っていう問いかけでしかない。

──経済も含め、混沌としている世界がそろそろ新しいステップに行かないといけない時期に来てるんじゃないかっていうメッセージも感じられたんですが、考え過ぎですかね。

キリト:そう感じてもらってもかまわないんですけど、昔から僕は問題提起はしても「We Are The World」的なことを言う気はさらさらないんですよ。世界がどうなろうと僕は自分が守りたい人を連れていくっていう。

──PIERROT時代からそのメッセージは一貫していますよね。じゃあ、Angeloで今の時代を背景に生まれたのが今回のアルバムっていうことなんですね。

キリト:こういう時代だから誤解されやすいけど、“みんなで手をつないで世界のために”っていう考えとは僕は真逆なんですよ。地球規模のスケールの中では、ちょっとした自然の揺らぎで人間なんて簡単に消えてなくなるし、地球の意志には逆らえないですよ。地球の環境とか、そんな大きいこと考える前に自分とちゃんと向き合って、最少限、自分が守れる人と自分のためにどうするのか?っていうのをホントはみんなが考えないといけないと思う。結果的に人類に繋がることとして、まずは自分の足下を見るしかない。僕はそう信じてるわけなんですよ。だって、自分と身のまわりのことを考えるぐらいしか、人間余裕がないんだから。神になれるわけでもないし、煽動者になれるわけでもないし。

──つまりAngeloにとっての“FAITH”を提示したという?

キリト:ただ、言ってることは変わらないですね。PIERROTのときから世界が破滅しようが、僕は君を連れていく、守るって、ずっと歌ってきたつもりだから。

──ミクロがあってのマクロっていうね。

キリト:いろいろ考えたら切なくなるけど、どうしようもないですよね。僕らが生まれたのは日本で、精神的にも自由に考えることが許されているところに生まれたから、こうやって考えることができるけど、考えることすら許されない国だってあるじゃないですか? フラットに思考することができるから言えることでもあるだろうから。

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