【インタビュー】HERO、新作「絵足し歌」から解く恋愛模様を書き続けるワケ「今の自分が書いたら嘘になる、説得力がないものは歌いたくない」

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渋谷公会堂での初のホールワンマンを12月30日に控えたHEROがメジャー第2弾シングル「絵足し歌」を12月4日にリリースする。普遍的なメロディーと独自の視点で恋愛のドキドキ感と切なさをつづる彼らが、ラブソングを書き続ける理由とは。それぞれの楽曲誕生までのエピソードとともに“ロマンチック”をキーワードにHEROの意外な(?)素顔に迫る。

◆最近、速いテンポの曲が多かったのとHEROではあまりないタイプの曲なので
新鮮な気持ちで取り組むことができましたね。――Yusuke


――メジャー第2弾シングル「絵足し歌」はメロディアスで歌詞の視点がとても個性的ですね。絵本みたいなテイストもありますが、どんなふうにできた曲ですか?

JIN(Vo):最近ハイテンポの曲が多かったので、サビに広がりのある曲を作りたいなと思って、まず、メロディーを考えていったんです。歌詞は最初、違う内容のものを書いていたんですけど、夢の中で、いまの詞の大枠と「絵足し歌」っていうタイトルも浮かんだんです。で、朝、起きて“これ、すげえ”って運命を感じて、イチから詞を書き直しました。

――“笑っていたら隣で手を繋いでる僕を描き足して”っていうフレーズが出てきますけど、寝ているときに思いついて?

JIN:そうですね。絵を足すっていう発想が出てきて、細かい辻つま合わせは後で考えていった感じですね。

――HEROの中で新境地の曲でもありますか?

JIN:いつもはライブで盛り上がるかどうか考えて曲を作るんですけど、アプローチの仕方が違いますね。アレンジは今回、元CHACOAL FILTERの小名川さんに手伝ってもらったので、最初は2人でやりとりして、ある程度固まったものをメンバーに聴いてもらったっていう。

Yusuke(Dr):さっきJINくんも言ってましたけど、最近、速いテンポの曲が多かったのとHEROではあまりないタイプの曲なので新鮮な気持ちで取り組むことができましたね。

yu—ta(B):いちばん最初はピアノと歌だけのデモを聴いたんですけど、小名川さんのアレンジが加わって“こんなふうに変わるんだ”って思った曲ですね。ベースは今回、ギター的な手法で弾いているところもあります。主旋律とはちょっと違うメロディーを弾いてみたりとか。

SARSHI(G):小名川さんとは同じギタリストということもあって実際の作業に入る前にいろいろギターの話をさせてもらったので、「絵足し歌」に限らず、全曲、レコーディングが楽しかったですね。ギターを弾き始めたばかりの頃の初心に戻れたようなところがありました。

◆趣味はタンポポのハナビラを数えることなので(笑)。――JIN
◆病んでるね(笑)――yu-ta


――ミュージックビデオもアニメーションが入っていて、ほのぼのするような映像に仕上がってますね。

JIN:はい。タイトルを決めた段階でミュージックビデオには絵を使いたいなと思ってたんです。今の時代、You Tubeありきで音楽を聴く人も多いと思うので、だったら映像でわかりやすく“こういう曲だよ”って伝わればいいなと思って。

――JINさんはロマンチストなんだなと思いましたよ。

JIN:そうなんですよ。趣味はタンポポのハナビラを数えることなので(笑)。

yu-ta:病んでるね(笑)。

――カップリングの「Red String」は「絵足し歌」とはうってかわってイントロからHEROのバンドサウンド全開の曲になってますね。

JIN:「絵足し歌」が冒険した曲なら、こっちはライブで盛り上がるテッパンの構成になってますね。

SARSHI:3曲の中でいちばん最後に録った曲ですね。小名川さんと一緒にアレンジしていく中、僕らも吸収した部分があった上で作った曲なので、弦楽器は最初に僕たちが提示したアレンジほぼ、そのままなんです。自分らの中では、いちばんやりきった感じがする曲ですね。

yu-ta:今日(取材時)もスタジオに入って合わせてたんですけど、新しい刺激を感じつつ自分たちで提示したサウンドなのでフレーズがかわいいし、演奏してても勝手に身体が動く感覚があります。

Yusuke:これまでのHEROの路線でありつつ、新たな進化も感じてもらえる曲だと思います。

――キメのタイミングがピッタリ合ったときには気持ちいいんじゃないかなって。

Yusuke:そのキメを合わせるのがけっこう難しい。

yu-ta:慣れです(笑)。

――あと、この曲の歌詞も発想が面白い。もしも、赤い糸が目に見えたら、どうなっちゃうんだろう?って。

JIN:以前からあたためていた歌詞なんです。僕ら、前に「25億秒の使い方。」っていう曲をリリースしているんですけど、その曲は人生80年だとしたら、秒数にするとだいたい25億秒だよなって考えながら書いていて……。そのときに赤い糸を結んだり、切ったりしたらどうなるんだろう?って思ったことがあったので、今回はそれを歌詞にしてみようって。

今の僕が世界平和について歌っても、説得力がないんですよね。“夢をあきらめるな”っていう
歌詞にしても“いやいや、オマエがまだ夢叶えられてないだろ”っていう感じだし。――JIN


――なるほど。ちなみに「何度だって…」はHEROらしい曲?

JIN:そうですね。今までならタイトル曲に持ってきたような曲調。ライブで100%盛り上がる曲を書きました。歌詞はサビの“何度だって…”っていう言葉をどうしても使いたかったので、そこから広げていって。

SARSHI:HEROの王道ですね。とは言え、今までにない雰囲気も出せて、この曲も進化しています。

――切ない歌詞なのに疾走感があって爽やかさすら感じる曲。

Yusuke:そうですね。サビとか聴いてて泣けますね。

JIN:(笑)ホントに?

Yusuke:マジでマジで。

yu-ta:HEROって明るくて切ない曲が多いんだけど、最初にSARSHIが言っていたように、この曲はキッズの自分に戻れた感じがありましたね。小名川さんに「こういうふうにしたらどう?」ってアドバイスしてもらったりしたのもうれしかったし、バンド始めたばかりの中学生みたいな気持ちになれました。

――青春感が感じられるのは、そのせいかも。

JIN:(笑)そうなんですかね。

SARSHI:でも、若い感じがしますよね。

yu-ta:僕は最近、家でベース持つときは、しょっちゅう、この曲、弾いてますね。

――若いといえば歌詞もキュンとくる感じですよね。失恋したときに忘れよう、忘れようと思うと……。

JIN:かえって良くないのかなと。

――別れを経験した人は、“こういうこと感じたことある”って思うような詞ですよね。今回、3曲とも恋愛の歌詞なのは偶然?

JIN:今の僕が世界平和について歌っても、説得力がないんですよね。“夢をあきらめるな”っていう歌詞にしても“いやいや、オマエがまだ夢叶えられてないだろ”っていう感じだし。さっき、触れた「25億秒の使い方。」は例外で“生と死”について歌ってるんですけど、なぜ、そういうことを書いたかというと、自分が飼ってた犬が死んだからなんです。そこで感じた想いを歌ってるから説得力があると思うんですけど。でも自分で“こんなの恥ずかしいな”っていう曲は歌いたくないんです。

――自分にとってリアリティのあるテーマじゃないと説得力が出ないだろうと。

JIN:そうなんですよ。例えば僕が本気でアフリカの飢えた子供たちを心配してたら世界の平和を願うような曲も書けると思うんですけど、今の自分が書いたら嘘になる。だから、そういうこともちゃんと歌えるようになるまでは、恋愛の曲しか書けないと思うんですよね。

◆インタビュー続きへ
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