SCANDALが12月3日、全国21ヵ所全40000人を動員したホールツアー<SCANDAL HALL TOUR 2013『STANDARD』>のファイナル公演を東京国際フォーラム ホールAで開催した。その速報レポは先ごろお届けしたとおりだが、ここで改めて、ステージの詳細に迫るレポートを掲載したい。

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2006年に大阪のダンス&ボーカルスクールに通う4人の女の子たちが起こした奇跡。当初は、半ば強制的に組まされたそうだが、いつしかそれは彼女たちの人生そのものになった。2013年3月には、念願だった大阪城ホールでのワンマンライブを大成功させたと同時に、デビュー5周年を迎えて大きな節目に。そして、次なるステージに進もうとする彼女たちが新たに提示したのが、最新アルバム『STANDARD』だ。彼女たちにとって意義深い作品を携え、バンド史上最大級の規模となるホールツアー<SCANDAL HALL TOUR 2013『STANDARD』>。10月から3ヶ月間にわたって敢行されたツアーファイナルは客席の期待が熱気となっているよう。

19時5分、開演を告げるファンファーレがホールに鳴り響くと、待ちかねたオーディエンスは大きな拍手でその熱を発散させた。古風な芝居小屋を思わせるステージセットの和と洋、今と過去がない交ぜなった世界観は、国内外で高い人気を誇りながらいつまでもピュアに夢を追いかけ続けるSCANDALの特別な存在感にどこか通じる気がした。薄暗いステージへ、アルバムジャケットを思わせる真っ白な衣装に身を包んだ4人が現れると場内のテンションは急上昇! TOKYO!」と叫ぶHARUNA、長い髪を振り乱してRINAが叩くどデカいドラム音が号砲となり、ファイナルの幕が切って落とされた。

1曲目に彼女たちが選んだのは、アルバムタイトル曲でエモーショナルなナンバー「STANDARD」だ。アグレッシヴに攻めるTOMOMIのベースラインや、まくしたてるような早口のボーカルで観客はますますヒートアップし、「Hey! Hey!」の声を挙げてそれに応える。ヘヴィ&ロックなアレンジの「EVERYBODY SAY YEAH!!」では、「もっと、皆で声出そうぜ!」とHARUNAがさらに煽り、サビでは観客全員が渾身の力でジャンプ。のっけの3曲で、文字通り会場が揺れる大騒ぎとなった。

「今日は世界一熱いライブにしようぜ! うちらはガンガン攻めるけど、準備はいい?」

最初のMCでは客席に点いた火にますます油を注ぎつつ、グルーヴィーなナンバー「オレンジジュース」へ。作詞を手がけたTOMOMIが「この言葉はHARUNAの声の方がハマるかなと考えながら書く」と言っていたように、HARUNAはますますセクシーに、TOMOMIはより透明感ある歌声で魅せるなど、歌詞の世界観と2人の声がばっちりとマッチしていた。女子の心理を巧みに表現したガール感満載の歌詞だが、間奏ではMAMIが頭を振りながらノイジーなギターをかき鳴らしたりもする。かと思えば、アウトロではジャジーな香りも漂わせるなど、遊び心とそれを表現するスキルが必要な楽曲でもある。そのためにはメンバー間の意志疎通が必須だ。「打ち上げ花火」の途中テンポ感が変化するパートでは、とても自然にMAMIとRINAが顔を見合わせながら呼吸を揃えていた。

「前半、ここまで飛ばし過ぎたかな? ここからはいっぱいしゃべるので座ってください」

そうHARUNAが促すと、メンバーそれぞれがツアーファイナルへの想いを語り始めた。「ツアー最終日の前日は、いつになっても眠れない。実は夢を見てもライブの夢だったりして……」とHARUNAが明かすと、RINAが「そうそう。うちは国際フォーラムでライブしてる夢を見た。そしたら、ヤバい音がしてきて、逃げなきゃ……とドキドキしてたんだけど、HARUNAが「大丈夫だから、皆で手を繋ごう」って言い出して。絶対にヤバいんやけど、「大丈夫」って言い切って。カッコいいなと思いつつ、5000人の運命をHARUNA1人で決めていいのかなって思った(笑)」と語ると、会場が笑いに包まれた。ウトウトした瞬間にライブの夢を見てしまうとは、なんとも根が真面目な2人らしい。一方、マイペースなMAMIは「隣にシロクマが居てね」とほんわか夢トーク。すかさずRINAに「その時点で、もう、おかしいな」と突っ込まれるしまつだ。TOMOMIにいたっては、「『テラスハウス』に今出てるメンバー全員と友達という夢」と、つっこみすら入れられない。そんな一見バラバラで強い個性が、他にはないバンドのバランスを絶妙に保っているのかもしれない。

ところでHARUNAの予告通り、MCはここからが本番だった。HARUNAが「唐突ですが、“本日のスタンダード”のコーナーです!」と宣言して始まったツアー恒例のこのワンコーナー。アルバムタイトルにちなんで、各地のライブ会場でおでんや丼ものなど、その日の観客の拍手の大きさで勝手にスタンダード”を決めてきたという。この日のお題は「バンドのパート」。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4パートの中で「自分がやるなら、どれがいいか」を観客に判断してもらうのだ。「事前にメンバーからアンケートを取りました」と、それぞれの特徴をHARUNAが読み上げはじめた。「ボーカルはバンドの顔、目立てる。仕事の時は必ず呼ばれるので、いろんな所に行けるなどです(笑)。ギターはアンプなしでも家で弾き語れる。ライブではギターの音で煽りつつ、お客さんを沸かせられるのがいい。ベースは、ピックや指、スラップなど指先だけでいろんな音が出せる。女性ベーシストも多いので嬉しい……」と、ベースのオススメポイントにさしかかったとき、TOMOMIが「そう。ベースボールベアーとか凛として時雨、サカナクションも女性ベーシストだし。あれ、昨日は10人くらい浮かんだのに……」と天然ぶりを発揮。RINAの「7つも忘れたの?」と絶妙な間の手で、またまた場内が温かな笑いに包まれた。

そんなRINAだが、「昨日、アンケートを渡されたとき、ドラムのいいところが全然分からなくてどうしようって悩んだ」と衝撃告白。「ネット検索したら『ドラムをやる人の意味が分かりません』って出てきて……めっちゃ落ち込んだ」と吐露。そんなRINAを慰めるように「セットが迫力があっていいよね」(HARUNA)、「結局、ドラムの音を聴かないとライブにならないし」(MAMI)などメンバー全員がフォロー。結果として、互いのパートを褒め合うことになり、「なんかキモチワルイ」とTOMOMIやHARUNAは苦笑いしていたが、4人が固い絆で結ばれていることを感じさせる場面となった。さて、バンド・パートのスタンダードを決めるくだりはあまりに長大なので、一部割愛するが、この日のスタンダードに選ばれたのは“ドラム”だった。それが決まった瞬間のRINAは、本当に嬉しそうだったことは言うまでもない。

女子会トーク全開だったMCから一転、「まだまだテンション上げていくよ! 次はちょっとハードなやつ」とHARUNAの声と赤い照明が交錯する中、ヘヴィな「メトロノーム」で再び会場全体がライブモードへ。「真面目な曲ばかり作りがちだから」とRINAが自分の殻を打ち破ったカオティックなナンバー「恋のゲシュタルト崩壊」では、HARUNAはギターを下ろした手に拡声器を持ち、ステージ上を動き回る。変幻自在のリズムに合わせるように、他のメンバーがドラムを中心に音を聴き合っている姿が印象的だった。

続く「下弦の月」では、RINAのパワフルな連打からHARUNAの重厚なギターソロ、グルーヴィーなベースなど各ソロパートを披露。今回のアルバムやツアーのスタート地点とも言える「会わないつもりの、元気でね」では、再びオーディエンスが“Hey! Hey!”の雄叫びとともにジャンプ! この日、幾度目かのクライマックスを迎えた。

「今日は平日なのにありがとう! SCANDALはツアーの最中にデビュー5周年を迎えました。先輩バンドを見ていると、まだまだだなって思うけど、それでもバンドをやってきて良かった。2013年は特にそう思うし、このメンバーでこれからもずっとやり続けたい」

HARUNAが想いを伝えた。実はこの日、7曲目に演奏された「8月」は、そんな彼女の今の気持ちを形にした曲。ライブでは歌った後に小さく、けれど確かな口調で「ありがとう」とつぶやいた姿が目に焼き付いた。さらにMCは続く。「みんなからは笑顔や元気をたくさんもらってきたので、5年の倍、その倍、倍とたくさんの思い出を作り続けたいです。この5年は同じようなペースで活動してきましたが、2013年は新しい流れを作りたい。……皆さんに、言いたいことがあります……。2014年6月に2度目となる大阪城ホールと、初の横浜アリーナ2Daysをやります!」。誰もがこのサプライズに大喜びし、「おめでとう」の祝福の声が飛んだ。

「夢はでっかく、を胸にまだまだ突っ走っていきたい。これからもSCANDALについてきてください! 未来はまだまだ楽しいぞ。明るい未来に、一緒に歌って!」のHARUNAの言葉と共に、怒濤の終盤戦へなだれ込んだ。ダンサブルでキャッチーな「キミと未来と完全同期」に続いて、中田ヤスタカ(CAPSULE)とのコラボも話題となったエレクトロ色漂うポップロック「OVER DRIVE」、そしてライブの人気も高い「太陽とキミが描くSTORY」では、5000人が思い切りタオルを振り回して、想い想いにこの瞬間を楽しんだ。MAMIが「前向きな、新しい涙ソング」と語った疾走感あふれるナンバー「涙よ光れ」は、人知れず多くの悔し涙を流してきた彼女たちだからこそ、歌える楽曲だ。そして、再びアグレッシヴな攻め曲「STANDARD」のショートバージョンで本編は終わりを迎えた。

4人が立ち去ったと同時に、熱狂的なアンコールの声がわき起こった。その声に引っ張られるように、色違いのツアーTシャツというラフなスタイルで再び姿を現したSCANDAL。「アリーナ公演の話は早く言いたくて仕方なかった。やっと言えましたよ~」と安堵の表情を浮かべたRINA。「3歳の頃からステージに立つと決めていた。その時の夢はドラマーじゃなかったけど、バンドじゃなかったから夢は叶わなかったと思う。一生バンドを続けるし、やるからには誰にも負けたくない。一緒にがんばろうね」と、彼女らしいストレートなメッセージをファンに投げかけた。

この言葉通り、彼女たちはバンドを組む楽しさ、音楽の底力をずっと体現し続けてきたのだと思う。だから、多くの人がそこに想いを重ね、ついつい応援したくなってしまう。この日、オールラストに奏でたのはデビュー曲「DOLL」だった。ここから全てが始まり、そして、その当時に描いた夢すら彼女たちは追い越そうとしている。4人が終演で見せた晴れやかで、それでいて闘志あふれる表情からは、来年以降のさらなる飛躍を確信させるものだった。2014年も、いろんなことで驚かせ、楽しませてくれると信じてるよ、SCANDAL!

取材・文◎橘川有子

■<SCANDAL HALL TOUR 2013「STANDARD」>
2013年12月3日@東京国際フォーラム ホールAセットリスト
M1  STANDARD
M2  Brand new wave
M3  EVERYBODY SAY YEAH!
M4  オレンジジュース
M5  放課後1H
M6  打ち上げ花火
M7  8月
M8  声
M9  メトロノーム
M10 恋のゲシュタルト崩壊
M11 下弦の月
M12 Weather report
M13 会わないつもりの、元気でね
M14 キミと未来と完全同期
M15 OVER DRIVE
M16 太陽と君が描くSTORY
M17 涙よ光れ
M18 STANDARD(Short ver)
ENCORE
EN1 瞬間センチメンタル
EN2 SCANDAL BABY
EN3 DOLL

■<SCANDAL ARENA LIVE 2014『360°』>
2014年6月22日(日)大阪城ホール

■<SCANDAL ARENA LIVE 2014『FESTIVAL』>
2014年6月28日(土)横浜アリーナ
2014年6月29日(日)横浜アリーナ

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