【インタビュー】LUNA SEA、真矢が語るバンドの進化「意識したつもりはないんだけど、今回のアルバムにはLUNA SEAの今がしっかりパッケージされている」

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INORANが一生懸命、アレンジを考えてくれたんだけど、酔っぱらって
“こういうほうがいいんじゃない?”って弾いたフレーズがそのまま入ってる(笑)。


――今回、久しぶりに合宿に行って曲作りして、レコーディングに入ったんですよね。そのことはアルバムにどんな影響がありましたか?

真矢:合宿に行ったっていうのは、曲の制作とかスケジュール面よりも気持ちの面が大きかったと思うんですよ。LUNA SEAは昔から合宿で曲出しして、“ああでもない、こうでもない”って言い合いながらアルバムを作ってきたから、そのとき、どういう気持ちだったんだろう? っていうのをみんな思い出したかったんじゃないかなって。昔を振り返るという意味じゃなくてLUNA SEAのやり方をブラさないためにもね。現に合宿でほとんどの曲が揃ったんですよ。

――ちなみに合宿入って最初の音鳴らしというか、エンジンを温めようとするときには、何か演奏したりするんですか?

真矢:毎回「Dejavu」です。

――えっ! やっぱりそうなんだ(笑)。

真矢:LUNA SEAは、もう7年ぶりのドームの時も、どんな時も、絶対「Dejavu」。

――そうなんだ。

真矢:いろんな音色が詰まってるんですよ。

――なるほど。制作面では、合宿で「MARIA」とか「銀ノ月」とかライヴで音源より早く披露した曲もあるけれど、『A WILL』に収録されている曲のほとんどが生まれたと。

真矢:そうです。アルバムには入ってないけど、「乱」のカップリングの「ECHO」のギターは合宿で録ったものだし。

――真矢くんが原曲の曲ですよね。

真矢:そう。INORANがデモをもとに一生懸命、アレンジを考えてくれたんだけど、酔っぱらって“こういうほうがいいんじゃない?”って弾いたフレーズがそのまま入ってる(笑)。本番でも弾いてたけど、「あのノリはちょっと出ない」って(笑)。今回の曲のアレンジの仕方はめちゃめちゃ面白くて、「Rouge」はSUGIZOの原曲なんだけど、Jが「ちょっとリズムをいじっていい?」って変えたりとか。

メンバー同士ののりしろが増えた感じがするんですよ。それは余白っていう意味じゃなくて
ほかのメンバーと合わせる接点が増えたっていうことね。


――そんなこと、あんまり、なかったですよね。

真矢:なかったですね。そういう面白い化学反応がいっぱい起きてたね。「absorb」っていう曲はINORANの原曲なんだけど、ほとんど骨組しか出来てなくて、ドラムは好きに叩いてくれって言われたりとか。「乱」でもSUGIZOに「ドラムソロやって」とか、そんな感じでしたね。

――昔だったら、もっと緻密に作っていたと思うんだけど、のりしろがあっての……。

真矢:そうなんですよ。メンバー同士ののりしろが増えた感じがするんですよ。それは余白っていう意味じゃなくて、ほかのメンバーと合わせる接点が増えたっていうことね。無責任な意味じゃなくて、今は誰がどのフレーズを考えようがいいんですよ。昔は“そうじゃねえよ”っていうことの連続だったけど。

――5人が戦ってましたもんね。昔は曲が上がってきたときに「俺だったら、こうするよ」っていう主張のし合いだった?

真矢:そうだと思う。ある意味では、いいこだわりなんだけど、力が入ってたよね。今は誰のアイディアだろうが、良かったら、「いいじゃん、いいじゃん」っていう。それを“のりしろ”って言ってるんだけどね。メンバー全員がそういう感じだから、プリプロとか、いろんな作業を細かくやらなくても、もうバチッと合うんですよ。

――終幕前は長時間かけてずっとスタジオにこもってましたね。

真矢:はい、はい、やってました、やってました(笑)。でも、そこで得たものって、それはそれで大きいからね。

――突き詰めに突き詰めたからこその今ですね。

真矢:そう。だから、レコーディングに限らずエンジョイしてますよね。ライヴでも目が合う機会が増えたし。

――昔はそれこそ5人でしのぎを削って、どこが到着地点かわからずにやっていた部分もあるかもしれないけど、今回は“正解”って言葉が出たように、LUNA SEAの正解に辿り着いたような感もあるのかなと。

真矢:さっき話したように正解はまだ全然わからないんですよ。ただ、“こうすればいいのかな”っていう入り口に立てたような感じはあるかもしれないですね。今後のLUNA SEAは、こうやっていけばいいのかなって。5人にとってのLUNA SEAって実家であったり、故郷であったり、そういう存在なんですけど、13年の間にいろんなことを見てきて感じてきて、体現できたアルバムではあるのかもしれない。

――なるほど。楽器の性質上いちばんバンドを客観的に見ているイメージがあるので、メンバーの変化も聞きたいんですが、RYUICHIくんはどうですか?

真矢:RYUちゃんは僕と一緒でレコーディングは相変わらず、数テイクしか歌わない人。まぁ、もともと表現力に長けてますからね。そこは昔からスゴイなと思ってるけど、変化はライヴで笑顔が増えたような気がする。

――昔はもっと緊迫してる部分があったというか?

真矢:ヴォーカリストとして背負う部分が多かったんでしょうね。ただ、彼に関しては楽器陣と違って昔から柔軟なんですよ。ヴォーカリストでは珍しいよね。歌う人って孤高でこだわりがあって、ちょっとワガママみたいなイメージがあるじゃないですか?

――(笑)確かにヴォーカリストって感情の起伏が激しいっていうイメージあります。

真矢:そう、そう。でもRYUちゃんは柔軟で、だけどカリスマ性がある珍しいタイプなんですよ。歌詞にしても昔から誰かが「こうしてほしいな」って言ったら「そうだね」って考えてくれる人で。

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