【インタビュー】LUNA SEA、Jが語る奇跡のアンサンブル。「手にしてくれたみんなの想いが乗ることによって、また新しい物語が始まっていく。それを俺たちは楽しみにしている」

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この音が今の時代に鳴ったときに良い意味での異物となり得るっていう。
“バンドってこうなんだ。でも、それがカッコいいんだ”って。


――ベーシストとして、こだわった部分は?メリハリのきいたプレイを展開してますよね。

J:そうだね。今回メロディアスな部分とボトムに徹する部分の両方が存在していると思うけど、俺の最重要テーマはLUNA SEAをロックさせることだった。各楽曲の心臓というか、筋肉というか動力にならなきゃと思いながら、いつもベースを弾いてた。それを得る為にあえてラフに弾いたところもあるし。で、最終的にみんなの音が重なりあったときに、そのラフさが効いてくるような。

――真矢くん、Jくんのコンビは最強ですよ。個性が強く派手さもあるのに、LUNA SEAサウンドを支えるドッシリとした存在感があって。

J:イヤなリズム隊ですよね(笑)

――終幕前と比べてスタンスが変化した部分は?

J:オリジナルアルバムは13年5ヶ月ぶりだけど、2010年にREBOOTして、ライヴを何回かやって、1stアルバム『LUNA SEA』のセルフカヴァーをして、「THE ONE—crash to create—」っていうオリジナル曲を生み出して……っていうプロセスの中で今の自分たちを確認しあってきたんだけど、スタンスは全然、違ってないんじゃないかな。「何か、変わったの?」って聞かれたら変わったところもあるけど、「変わってないよね」って言われたら全然変わってないんだよね。バンドとしてのフォルムは5人が集まったときに決まるから、今回はどうやって今まで以上に完璧な姿で佇むかっていうことだったんだと思う。

――なるほど。終幕前のLUNA SEAはメンバー同志の主張のぶつかりあいが音となり、曲となっていたけれど、アルバムを聴いて今は、そのぶつかりあいの種類が違うのかなと思ったんですよね。みんなが個性を出しているのに、この圧倒的な一体感、バランス感覚は何なんだろう? って。

J:たぶん、それこそが俺たちが終幕前に成し得なかったことだと思うんだ。あの頃も調和していくことにトライしていたんだけど、今、そのフォルムを得られたっていうか。

――今、調和っていう言葉が出たけれど、ホントにそうだなって。バンドサウンド以外の何者でもない。

J:実際、俺が狙ったところって、そこなんですよ。この音が今の時代に鳴ったときに良い意味での異物となり得るっていう。“バンドってこうなんだ。でも、それがカッコいいんだ”って。俺の持論なんだけど、それができたのも、とことん追求して、その結果として1度バンドが終わったからなんだよね。例えていうと、木登りって上に行けば行くほど幹が細くなっていくから、落ちて大けがをする可能性が高くなるじゃない。積木にしたって、どんどん積み重ねていくと、次の1つを乗せたときに崩れる危険が増していく。ゲームって言ったら語弊があるけど、以前はそういう感覚を楽しんでた部分もあるよね。俺たちは、どこまで行けるんだろうって。でも本当に、バンドにとって進化することは自分たちの道を狭めていくことも内包するから。

――作品を重ねれば重ねるほど。

J:だって、目新しいこととか、やることがなくなっていくんだ。全てやり尽くした状態に進んでいっているわけだから、しょうがないよね。わかりつつ、それでも嘘をつかず、本能のままどんどん先に向かっていったのが終幕だと思っていて……。

今、思うのは本当にバカ正直なバンドなんだなって。
自分たちが望むものを手にするために、手段を選ばず突っ走ってきて……


――超えるもの、超えるものって突き進んでいった結果。

J:で、たぶん、行った先にその時には何もなかったんだよね。でも、終幕して各自がそれぞれの活動をする中で、いろいろなものを得て、いろいろなものを感じて、いろいろなことが生まれ、そしてバンドとして開いた次の扉がこのアルバムだと思うんだ。だから、もしかしたら、繋がっているんじゃないかって。

――終幕前のラストアルバム『LUNACY』と繋がっているっていうことですよね?

J:うん。だから、そういうふうに聴いてもらえたら、LUNA SEAというバンドのストーリーというか、歴史が全部フィードバックされてくる作品になっていると思う。

――じつは途切れたんじゃなかったんだって?

J:そう。いろんな活動の仕方があって、ずーっとやり続けているバンドもいる。でも、俺たちなりの続け方は1回、木っ端微塵に壊れることだったのかもしれないって思うぐらい、今のLUNA SEAのフォルムは過去も今も未来も含んでいるって気がするんだよね。

――サーチ・アンド・デストロイ気質のバンドなんですかね。

J:結果、今、思うのは本当にバカ正直なバンドなんだなって。自分たちが望むものを手にするために、手段を選ばず突っ走ってきて……もちろん簡単なことなんか、何1つなかったけれど、困難を乗り越えた先にあったのが、このアルバムなんだ。出来上がったこと自体が不思議なことだし、そして、手にしてくれたみんなの想いがここに乗っていくことによって、また新しい物語が始まっていく。それを俺たちは楽しみにしているし。

――今の話を聞いてオープニング曲「Anthem of Light」は、またここから続いていくっていう未来への意志をこめて書いた曲なのかと思ったんですけど。

J:ホントにどういう幕開けにしようかって考えながら作った曲なんだ。真矢の力強いドラムロールと壮大なストリングスに絡みつく俺たちの弦楽器隊と熱いメロディー……「ここからまた全てが始まるんだ」っていう気持ちをこめて。もう1つ個人的なことを言うと、終幕前の最後のシングル(「LOVE SONG」)に「INTO THE SUN」っていう俺が書いた曲があるんだけど、「Anthem of Light」は、俺にとってあの曲へのアンサーソングなんだ。だから、リズムもあえて近いビートを使って。

◆インタビュー(3)へ
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