■人をなじるような歌にはしたくなかった
■反政府的な歌を歌うよりは“いいこと”がしたいんですよね

──3曲目の「What really bring me down?」は英語詞で、前作の「掌のアンドロイド」と同じく、マンドリン奏者の井上太郎さんが歌詞を書いてますね。

山口:これは「掌のアンドロイド」と同時にお願いしました。「この曲は英詞で歌いたいから」って。これも抽象的な歌詞なんですけど……自由奔放な男の歌なんですよね。サビ終わりの“See them democrats walking around with the handy flags(見てよ 民主主義と名乗る人たちが 旗を翳して歩いてる)”っていうフレーズが凄く気に入ってるんですよ。本当はこれを子供に歌わせたかったんですけどね。グサッとくると思うんですよ。“子供たちに地球を残そう”って世間で言ってても、子供たちはそんなこと知らないじゃないですか。子供たちにこれを言われると、伝わるものもデカいんじゃないかと思って。いつか映像とかで子供に歌ってもらってもいいかなってますね。

──その、山口さんと井上さんの化学変化も面白いですよね。山口さんが曲を渡すと、すごくスケール感のある歌詞ができあがってくるっていう。

山口:そうですよね。面白いものが返ってくるのがわかってて渡してるんですけどね。

──漠然とでも「こういうイメージで」というリクエストはするんですか?

山口:いや、まったく。何もなしで渡すのが好きなんですよ。アレンジにしてもそうなんですけど、自分の要素を入れずに渡して、新しい発見をしたいっていう気持ちもあるので。あんまりこっちが意見を言い過ぎると、出来上がるものも面白くないじゃないですか。そういう変化は自分でも楽しみにしておきたいし。だから、結構“投げる”ことが多いですね。たまにアレンジで、自分で想像ができすぎてしまっていて“これじゃないと嫌だ!”ってなってる時だけはそう言うんですけど。それ以外は投げたほうが面白いんで。

──最後の「東の空が見る夢に僕等は何が出来るだろう」はシリアスなモードの曲ですね。

山口:長いタイトルですけど(笑)。これは結構前、原発問題がいちばん取り沙汰されてた時に書いた詞で……今もそうだと思うんですけど、いろんな嘘が発覚し始めた頃で、どこを見ても「実はこうでした」って謝ってたりとか。あと、当時ミュージシャンが活動自粛してたことに対しても疑問があって。そんな中でも、やってる人はやってるし、放送できないようなメッセージを歌ってる人もいっぱいいたし。僕の好きなtoeは、震災直後に全額チャリティの曲を一瞬で作ったし。やっぱりこれがミュージシャンのやることだなあと思って。俺も何か作りたいと思って、その時あった曲の歌詞に反映させたんですよね。

──“無関係なフリをして 一体何になるって言うんだ”という強いフレーズもありますね。

山口:この歌は誰よりも、自分に対してですよね。“俺はどうしたらいいんだろう?”って。もちろん“東の空”っていうのは、大阪から見た東側っていうことだし、その辺は生々しくもあるけど……みんなにも考えてほしいし、俺も考えないといけないし、っていうことだと思うんですよね。ただ、人をなじるような歌にはしたくなかった。生きていく上で当然敵は作りたくないし。反政府的な歌を歌うよりは……“いいこと”がしたいんですよね。みんながみんな“いいこと”をすれば、いろんなことがよくなっていくだろうし。そういうイメージで曲を作ったらいいんじゃないのかなって。

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