【インタビュー】レニー・クラヴィッツ「出来るだけ楽観的に、出来るだけハッピーになろうとするべきなんだ」

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世界中で大ヒットした映画『ハンガー・ゲーム』の続編『ハンガー・ゲーム2』が12月27日から全国ロードショーとなる。主題歌はコールドプレイの描き下ろしの新曲で、サウンドトラックにはパティ・スミス、クリスティーナ・アギレラ、ロードらが楽曲を提供している。音楽ファンにとっても見逃せないハリウッドアクション超大作だが、やはり注目はレニー・クラヴィッツの出演だろう。

◆レニー・クラヴィッツ画像

レニー・クラヴィッツは、主人公カットニスの良き理解者であり支持者であるシナという役で登場し、ストーリーにも重要な流れを担っている。そんなレニー・クラヴィッツに話を直撃した。

──最初は、『ハンガー・ゲーム』という映画のことをよく知らなかったんですよね?

レニー・クラヴィッツ:最初どういうものになるか知らずに契約したんだ。ただ脚本とストーリーが好きだったからね。今、この映画はこういうこと(大成功したこと)になってしまった。知らなかったんだ。そこそこの成功になるとわかっていたか?そうだね。でも、こういう社会現象なようなものになるとはまったく知らなかったよ。

──あなたは今、いろんなことを手がけていますが、映画がこれほどうまくいくなら音楽の方は少し休もうかと思ったりしますか?

レニー・クラヴィッツ:いや、そういうことは決してないね。音楽は僕にとって空気みたいなものなんだ。僕は映画作りが大好きだし、続けたいよ。でも、それをやらなくても生きていける。でも、音楽を作らずには生きられない。それは、僕にとってとても恐ろしいことだよ。

──音楽と比べて、演技をするというのは、あなたにとってまったく別のことですか?もっと難しいこと?

レニー・クラヴィッツ:僕はまだ4本しか映画をやったことがない。とても才能ある監督で、いい脚本の作品を選んできた。僕は学んでいるところなんだ。(映画をやることは)自然なことに感じられる。でも、学ばないといけないことはたくさんあるよ。そしてそれを楽しみにしているんだ。演技することは、音楽を作ることのように感じられる。プロセスは同じように感じるよ。大事なのは、リズムであり、エモーションであり、キャラクターなんだ。僕は多くの楽器を演奏するけど、楽器を演奏している時、それぞれの楽器によって僕は違うキャラクターになる。だから、そういうことは理解出来るんだ。

──もし、一つの楽器だけしかこれから使えないとしたら、どれにしますか?

レニー・クラヴィッツ:ワオ!多分、それはドラムだろうな。(ドラムには)どこかとてもフィジカルで、ただ…

──原始的なところがある。

レニー・クラヴィッツ:その通りだよ。

──あなたはとても若々しく、健康的です。どんなことをやっているんですか?毎日走るんですか?何か決まった食べ物を食べるんですか?

レニー・クラヴィッツ:遺伝だと思うよ。自分のことはちゃんと気をつけているよ。オーガニックの食べ物を食べるようにしている。僕は多くの時間を戸外で過ごしている。自然の中でね。でも、最終的にもっとも大事なのは態度だと思う。もっとも大きなことは、心構えだと思うよ。人々が、自ら自分をだめにして、死んでしまうのを見てきたよ。話す言葉というのはとてもパワフルなんだ。人々が「ああ、僕は年老いている。疲れている。ひどい病気だし、疲れているし」と言うのを聞くけど、そうすると実際病気になったり、疲れたりするものだ。出来るだけ楽観的に、出来るだけハッピーになろうとするべきなんだと思うよ。

──でもそれは容易いことじゃないですね。瞑想をしたりしますか?どうやってポジティブでいられるんですか?

レニー・クラヴィッツ:容易いことじゃないね。僕は子供の頃からいつも感謝しているポジティブな人々に育てられたんだ。特に、僕の祖父はとても楽観的な人生観を持っていた。どんな困難があってもね。

──レニー、あなたはパリとバハマに住んでいますが、住んでいるところによって、違う生活があるんですか?それについて少し説明して下さいますか?

レニー・クラヴィッツ:すごく大きな違いがあるのが気に入ってるんだ。僕はずっとそうだった。真ん中くらい、というのはあまり性に合ってない。それが悪いというわけじゃないけど、僕にはね。ゲットーにいるか、パレスにいるかどちらかがいい。その間じゃなくね。とても奇妙なんだけど。だから、バハマでは、とても美しいビーチに住んでいる。トレイラーに住んでいて、とてもシンプルだ。ほとんど服も持っていない。お金も持たないし、鍵もない。庭に住んでいて、その庭にあるものを食べたり、海のものを食べたりする。それからパリに行くと、文化や芸術のファンタジーのようなところで、美しいホテルとかがある。素晴らしく、世俗的で美しいものがあるんだ。僕は、この二つのところを行ったり来たりするのが大好きだよ。一年の半分は、パリにある4階建ての家に住み、そして、(バハマに行って)まさにここくらいの大きさのトレイラーに住む。大好きだよ。こっちの方が、あっちよりいいということはない。どちらも、僕がとても満足できるある美を与えてくれるんだ。

──ドナルド・サザーランドが、この映画は革命につながっていくということについて話していました。そういうアイディアについてはどう思いますか?

レニー・クラヴィッツ:そういうアイディアはあるし、もし観客がそういう考えを意識していれば、それを把握することが出来ると思うよ。それから、彼らがそれをどのように使おうと、それは彼ら次第だよ。

──あなたはそのメタファーに同意しますか?

レニー・クラヴィッツ:完全にメタファーに同意するよ。人々がこの映画を観に行って、(映画館から)出てきて、「革命!」となるかといえば、そうじゃないけどね。

──そうあってほしいですか?アメリカに革命が起きて欲しいですか?

レニー・クラヴィッツ:すべてのところで革命は必要だと思うよ。人類は、まず最初にお互いどのように接するべきか学ぶ必要があり、お互い自分たちらしくありながら、暴力を使わずに問題を解決する方法を学ぶべきだと思う。もし、世界中の人々がこういうテーブルに集まって「オッケー、尊敬し合い、愛し合おう」と言って、話し合いをすることが出来れば、どれほど素晴らしいだろう。でも、そういうところまでにはとても長い道のりがあるよ。

──この映画の中のコスチュームやヘアスタイルは常に大きな話題となっています。自分自身のスタイルを決めるとき、あなたは意見を言えるんですか?

レニー・クラヴィッツ:コスチューム・デザイナーが持っているアイディアがこうだとすると、一緒にすわって話し合うよ。「僕はこれは好きじゃない」「これを着るのはピッタリと感じられない」とかね。だから、一緒に考えることが出来るんだ。でも、コスチューム・デザイナーのトリシュ・サマーヴィルは本当に素晴らしい仕事をしてくれたよ。彼女は、全体のルックスをまとめるために、すごく一生懸命努力したんだ。今作のワードローブのルックスは、すごく良くなったと思うよ。

──あなたがこの役を演じている時、とても信憑性がありました。あなたはプランBを持っていたんですか?

レニー・クラヴィッツ:プランB?おかしいね。僕の母にとって、それはとても大事なことだったんだ。「レニー。あなたはプランBを持たないとだめよ」って。あなたが今それについて質問したのは面白いよ。僕の母が「プランB」というのをよく聞いていたからね。「学校に行って、学位を穫らなくてはだめよ。もし音楽の道がうまくいかなければ、(学位があれば)仕事を手に入れられるからよ」ってね。彼女が言っていたことは、間違いなく正しいんだ。でも…

──あなたは彼女の言うことを聞かなかった。

レニー・クラヴィッツ:そう。それは彼女をすごく苦しめたよ。彼女が亡くなる前に、僕がうまくいって本当に良かったよ。彼女はそれを見ることが出来たからね。彼女はプランBのことをいつも言ってたんだ。

──でも、あなたは自分が成功するとわかっていたんですか?

レニー・クラヴィッツ:僕は、ばくちをしていることがわかっていた。でも、自分の中で(うまくいくと)感じていたんだ。もし、僕がやりたいレベルで音楽の仕事が出来なければ、地下鉄でプレーしようと思っていた。クラブでプレーしたり、レストランでギターをつまびいたりしていただろうね。何があっても音楽をやるつもりだったんだ。

──あなたは、ずっとアーティスティックな世界にいますね。まさに親譲りなんでしょう。あなたは家をデコレートすることも出来ます。でも、もし何も出来なかったとしたら、何をしていますか?

レニー・クラヴィッツ:何をしたかって?仕事をやってたよ。

──どんな仕事ですか?

レニー・クラヴィッツ:こういうことだったんだ。最初のアルバム『Let Love Rule』が発売される前、僕は皿洗いをしていたんだ。手でね。皿洗い機はなかった。それは大変だったよ。なぜなら、マクロビオティックのレストランだったから、手で洗わないといけなかったんだ。僕は靴を売る仕事もしたよ。それから、魚市場でも働いた。一年間、魚の匂いがしていたよ。魚を切って、はらわたを取り出し、うろこを取っていたんだ。手作業でね。

──それは、あなたの人生の最良の時でしたか?

レニー・クラヴィッツ:僕は魚臭くて、1年間ガールフレンドを見つけられなかったんだ。でも、僕の人生の素晴らしいときだったよ。なぜなら、それがここにつながったんだからね。僕の祖母は、「ベイビー、郵便局に行って、仕事をもらって来なさい」と言ってたよ。でも、(人生の)ジャーニーは素晴らしいよ。そして、今も続いているんだ。

──サンキュー。

TM&(C)2013 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『ハンガー・ゲーム2』オリジナル・サウンドトラック
2013年12月18日(水)発売予定
1.「Atlas」 - Coldplay
2.「Silhouettes」 - Of Monsters and Men
3.「Elastic Heart」 - Sia(ft. The Weeknd & Diplo)
4.「Lean」 - The National
5.「We Remain」 - Christina Aguilera
6.「Devil May Cry」 - The Weekend
7.「Who We Are」 - Imagine Dragons
8.「Everybody Wants To Rule The World」 - Lorde
9.「Gale Song」 - The Lumineers
10.「Mirrors」 - Ellie Goulding
11.「Capital Letter」 - Patti Smith
12.「Shooting Arrows At The Sky」 - Santigold
13.「Place For Us」 - Mikky Ekko
14.「Lights」 - Phantogram
15.「Angel On Fire」 - Antony and the Johnsons


『ハンガー・ゲーム2』
生き残った少女に国家が仕掛けた、新たなるゲーム。死闘、再び。独裁国家パネムが毎年開催する<ハンガー・ゲーム>。それは、12の隷属地区から若い男女ひとりずつをプレイヤーとして選出し、全国にテレビ中継をしながら最後のひとりになるまで戦わせる究極のサバイバル・ゲーム。幼い妹の身代わりとして自ら志願した少女カットニスは、死闘の末に生き残り、ゲームの勝者として凱旋を果たす。そんな彼女の勇気ある行動をきっかけに、国家に対する革命の動きが国中に広がろうとしている中、節目の記念大会となる第75回<ハンガー・ゲーム>の特別ルーが発表される。それは独裁者・スノー大統領がカットニスを抹殺すべく仕掛けた、歴代勝者たちを戦わせる絶対絶命のゲームだった。<ハンガー・ゲーム>の歴代勝者たちが戦い合う壮絶なアクション、政府が闘技場に仕掛ける数々の死のトラップ、独裁国家への革命の炎が燃え広がっていく劇的なストーリー展開。前作を遥かに超えるスケールで描かれる、生き残りをかけた究極のサバイバル・ゲームがいま幕を開ける。
監督:フランシス・ローレンス『コンスタンティン』『アイ・アム・レジェンド』
原作:スーザン・コリンズ「ハンガー・ゲーム(2)燃え広がる炎」(メディアファクトリー刊)
出演:ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』/ジョシュ・ハッチャーソン『センター・オブ・ジ・アース』/リアム・ヘムズワース『エクスペンダブルズ2』/ウディ・ハレルソン『グランド・イリュージョン』/レニー・クラヴィッツ『プレシャス』/スタンリー・トゥッチ『ラブリーボーン』/フィリップ・シーモア・ホフマン『カポーティ』/ドナルド・サザーランド『コールド マウンテン』
配給:角川書店
hungergames.jp
(c)2013 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
12月27日(金)よりTOHOシネズみゆき座、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー


(c)KaoriSuzuki
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