【インタビュー】doa、8thアルバム『WANTED』にさりげなく10年分の感謝「人の世というものは必ず誰かが誰かを求めている」

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■自由ほどツラいものはないですよね
■自由を求めてきたけど、どこまでいけば自由だと感じられるのかなと思ったり

──たとえば、「誰よりも近くにいるのに」では、徳永さんは今まで以上にソウルフルな歌を聴かせています。

徳永:そうかもしれないですね。歌というのは単純にうまく歌えばいいだけじゃなくて、そこにプラスαを自分の中から引き出さないといけない。「誰よりも近くにいるのに」は、自分が生きてくる中で経験してきたものを乗せたいなと思いながら歌いました。でも、今回の歌でいうと、「連絡はナッシング」が一番印象が強いかな。この曲は、できるだけ新鮮なテイクで録ろうと思っていましたね。芝居臭くなるのは違うというのがあったから。みんながそうなのかは分からないけど、僕はメールを打ってるときに心の中で自分のメールを読むんですよ。メールを打つときって読みませんか?

──読みます。

徳永:ですよね。この曲の歌詞は全部メールで打ってる文章体になっていて。声に出して会話してるときの声じゃなくて、メールを打ってるときに自分の頭の中で鳴ってる声を歌にしたイメージです。もっと声を張ったり、カッコつけて歌うこともできたけど、そこで止めておきました。

──淡々と自分の内面を歌うことで、逆に淋しさやせつなさが深く伝わる歌になっています。「テキサスホールデム」のサビ・パートもすごくカッコいいです。

徳永:“オーオー!”と言ってるだけですけどね(笑)。この曲のサビは、“オーオー!”と言いたくて作ったんです(笑)。ライブですごく盛り上がるんじゃないかな。みんなに歌ってほしいですね。音楽的なことをいうと、最近はアメリカン・スタイルのバンドがアイリッシュっぽいギターの入れ方をしていることが結構あって。そういうところにインスパイアされて、ちょっと普通とは違うギターのあり方になっています。歌詞は人生をポーカーにたとえて、“こんちくしょう!”という気持ちを込めた曲です。

──3人のアカペラを活かした「TO BE FREE」も聴きどころです。

徳永:“自由”というのは、男が憧れるものというイメージがあって。でも、自由ほどツラいものはないですよね。分かりやすいところで言えば、やることが何もなくて1日暇なときの自由というのはメッチャ辛いじゃないですか。なんでも好きなことしていいよと言われたら、なにをしたらいいのか分からなくなったりとか。自分は自由を求めてきたけど、どこまでいけば自分は自由だと感じられるのかなと思ったりもする。自由な部分が増えることで、逆にがんじがらめになっているんじゃないかとかね。だから、答えは出なくていいけど、問題提起をしたいなと思って。“あなたは、なにを求めているんですか?”とリスナーのみなさんに問いかけて、それぞれが少し考えてほしいなという想いを込めています。それを一番ダイレクトに伝えるために、3人の声だけという形をとりました。

──楽曲と歌詞が強くリンクしていることも改めて感じます。歌詞の面でアルバム全体を覆うテーマなどはありましたか?

徳永:僕らは“大人の生活ソング”をコンセプトにしているところがあって。自分達の生活の中から滲み出てくるようなことを歌いたいというのは今回もありました。それに、まず“WANTED”というテーマがあった。10代や20代の頃というのは“WANT”でよかったんですよね。自分はこうなりたいとか、自分はこうしたいという想いがあって、それに没頭することが美学だったし、周りの人達にもそれで褒められた。だけど、大人になると自分が必要とされる場面が増えて、それに翻弄されて1日が終わってしまったり。そういう毎日が続くと自分がやりたいことを置き去りにしている感覚になって、自分は夢を捨てているんじゃないかと索莫とした気持ちになったりしますよね。

──時間に追われて、心が満たされないような?

徳永:そう。でも、よく考えてみると“WANTED=求められている”ということは、ものすごくありがたいことで。人の世というのは必ず誰かが誰かを求めていて、その人にしかできない役割をそれぞれが持っている。そういう風に考えると、忙しい日々も捨てたもんじゃないなと。自分のことをWANTEDしてくれている人のために、目の前のことを一生懸命に行うというのはすごくカッコいいことだなって。しかも、それは決してひとりではできないことだから。誰かがいるからこそできることだから。そういう意味で、今回のアルバムの曲は全部“対誰か”ということがテーマになっています。

──“つながり”を歌ったアルバムとも言えますね。大人が聴けるロックを発信したいという想いについても、改めて話していただけますか。

徳永:僕は20代の頃はずっと裏方をしていたんです。要は、作曲家とか編曲家として活動していた。実際、doaでデビューしたのは30歳を過ぎてからで、同級生とかに「30歳過ぎてロックバンドでメジャー・デビューって、なにそれ?」みたいなことを、よく言われたんです。「おまえ、それマジでやるの?」と。その度に「うん、やるよ」って、それを今でも続ける。僕の中には、夢を捨てずに生きられるかどうかは本人次第だぜというのがあるんです。そういうところで、まずは同世代の人達に聴いて欲しい。男女問わず同じ年代の人が聴いて元気になれるような音楽を作ることが、僕がこのバンドをやっている価値だと思っているから。今後も年齢を重ねていく中で、そのときそのときに感じたことを素直に歌っていきたいですね。

──そういう姿勢は大賛成です。今はリスナーが年齢を重ねても音楽を聴き続けるようになっていますから、大人が聴けるロックも求められていますよね。

徳永:そう、変わってきていますよね。楽器屋とかに行くと、僕らより二世代くらい上の方とかも多いし。つまり音楽を聴くだけじゃなくて、楽器を演奏したり、バンドをやったりといったことをずっと続けている人が増えているんですよ。

──リハーサルスタジオとかに行くと、年配の方のバンドも多いですからね。これからは、趣味がエレキギターというお爺ちゃんも出てくると思います。

徳永:そうそう(笑)。そういう時代だから、大人が聴けるロックや大人が来れるライブを提示したい。その話と関連してくるけど、僕らが新曲にこだわる理由もそこにあるんです。年をとると、どうしても昔の曲ばかり聴くようになるじゃないですか。でも、10代の頃は大好きなアーティストが新曲を出したら聴くのが楽しみでしょうがなかったでしょ。あのときのトキメキを、我々世代がもう一度取り戻そうぜという気持ちで新曲を作っています。

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