【ライブレポート】黒夢が“最後の”日本武道館公演。「今日で、僕らの1・29は終わります。」

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2014年2月9日にメジャーデビュー満20年の“20thアニバーサリーイヤー”を迎える黒夢が、因縁の1月29日に日本武道館公演<黒と影>を開催。デビュー曲「for dear」を含む活動休止前の楽曲や、同日リリースのアルバム『黒と影』収録曲、さらに3月26日にリリースする新曲「Reverb」も披露と、黒夢の20年を凝縮した公演となった。

◆黒夢 日本武道館公演<黒と影> 画像

1月29日といえば、15年前の1999年には黒夢が無期限活動停止を発表した日。そして5年前、2009年1月29日は一夜限りの復活および解散ライブを日本武道館で開催した日。そして2014年。彼らは“最後の”日本武道館公演と銘打って、そのステージに立った。

開演予定時間から約30分。照明が落とされ、メロイックサインを掲げてサポートメンバーがステージへ。そして、長い髪を揺らして人時が手を叩きながら登場。客席の8000人もメロイックサインで応える。さらに、スモークの向こう側から、ゆっくりと清春が姿を現す。逆光でその表情は確認できないが、マイクスタンドに力を入れながら、ゆっくりとこの日のステージの感触を確かめる。

そして、ステージ上に大きく火柱が上がり、今夜の“黒い夢”が始まった。

冒頭の「FAKE STAR」から、突き刺すような音、音、音の連続。刃物のような鋭さを持ったビートがオーディエンスが突き上げた腕の向こう側から、こちらを狙う。そして清春のシャウトに呼応し、日本武道館全体が脈動する。

この日のライブも、最初に言葉を発したのは、人時。1月29日という日に、黒夢の公演に足を運んでくれたファンへ感謝の言葉を述べつつ「興奮してライブをするので、みんなも興奮してください。よろしく!」と客席を煽った。また清春も、「あの、5年。丸5年ですね。“the end”から。」と、2009年1月29日に同じ武道館のステージで開催された<清春15th Anniversary Presents KUROYUME“the end”~CORKSCREW A GO! GO! FINAL~>を思い出してか、ぽつりと一言。

「でら、間違えたがー。」と清春の地元・岐阜の言葉が飛び出したり、「バンドやってる人もいると思うけど、ボーカルは歌とかよりもこれが大事。ここで盛り上げたりする。ロックスターだから。」と、ライブ中に間違えた後のリカバーの大切さを説くなど、ある意味20年のキャリアがあるからこそできるフリーダムなトークで笑いを起こしつつ、とはいえライブはというと、“これぞ黒夢”といえる攻撃的かつスリリングなサウンドで8000人を終始熱狂、圧倒し続けた。

アンコールでは、3月にリリースが予定されているゲーム『戦国無双4』のCMに黒夢の新曲が使われることを紹介しつつ、「(CMは)今までで一番かっこいいと思います。普通に。今日は、『黒と影』というアルバムが出た日でありながら、新曲やります。」と、CM曲「Reverb」を披露。ちなみにこの曲は3月26日にシングルとしてリリースされる。

さらに続けて、先日亡くなった佐久間正英がプロデュースした初期楽曲「棘」「for dear」をパフォーマンス。ちなみにこれら2曲がライブで披露されたのは、1996年以来、約18年ぶりとなる。

そして清春は、集まったオーディエンスに今の想いを伝える。

「僕が25歳、人時くんが21歳の頃から、デビューしまして20年が経ちました。その間に、僕と人時くんは幸運にも、まだステージに動き回れるくらい健康で、年の割には若くやってますけど、この20年の間に出会った人やら、去っていった人やら、帰っていった人やら。僕らも一回離れてくっついんたんですけど、あとは天国に行ってしまった人とか。20年もあれば、いろいろあって、ほんとに繰り返すんだなぁ、という感想を持たされる20年。でもまぁ、20年って大したことなくて。」

「今日、僕らが解散した日、そして復活した日……と同じ日の1月29日。まあ平日なんですけど、そんなの関係なく、この日付を大切にしてきたんですけど、今日で、僕らの1・29は終わります。」

「デビューして5年、復活して5年。いろんなことがわかるまでに同じ年月かかったっていう気かしてて。なんか……まぁ、バンドなんて、僕と人時くんにとっては、正直、今、ものすごく魅力があるものではありません。年齢的にも、人時くんの技術的にもそうですし。バンドっていうより、黒夢をやっている、という感じではあるんですけど。」

「毎日考えるんですけど、昨日考えたことと今日考えることは違うし、明日考えることも違うんですけど。まぁ、そうね。あんまり意味深でもなんでもなくて、今日で武道館を僕らはしばらく立たないって言ったのは、復活した時の黒夢のイメージというか、影というか、幻想を追っかけるのは、今日で終わりにします。」

「来月、僕ら、<ZERO>っていうライブをするんですけど、多くは言いませんけど、僕らはふたりで一緒にZEROになります。以上です。」

「ただ、その時にふたりが会って、目が合って、気が合えば、やりたいことをやります。それが黒夢かもしれないし、黒夢じゃないかもしれません。……これからもよろしく。」

「自由です。」とつぶやいた清春。「20周年、一応頑張ろう。一応楽しくやろう。何が待っていても、楽しくやろう。」と、黒夢20周年への意気込みを語り、そして「愛してます。ただ、愛してます。僕らはほかとは違うんです。同じようにはできないけど、ただ、愛してます。」と、想いを締めくくった。

MCにあったように、黒夢はデビュー日にあたる2月9日には、ふたりの地元である岐阜県のライブハウス「CLUB G」にて<ZERO>と銘打たれたライブを開催する(2月7、8、9日の3日間開催)。

なお、1月29日にリリースされたアルバム『黒と影』は、初日のデイリーランキングで4位を記録している。


◆VARKS
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