【インタビュー】Hello Sleepwalkers、「仮面をかぶったサルは僕らのこと。ステージに立って音を鳴らした瞬間に覚醒するんです」

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◆音楽って自分以上のものにはならないから、第三者の視点が入ることは
変化に向けてのひとつの原動力になるんですよね。


──現時点では、盛っていくより、削る作業のほうに労力が要る?

シュンタロウ:そうですね。ただ、自分たちとしては、今回はずいぶん削ったなぁ、という印象なんですけど(笑)。今回、共同プロデュースの形でリチャード・アーチャー(HARD-Fi)に入ってもらって、客観的な視点が入ったことで、より躊躇なく削れたというのもあるんですけどね。

──何ゆえリチャード・アーチャーだったんですか?

シュンタロウ:僕はもともとHARD-Fiを知らなかったんですけど、ディレクターさんが話を持って来てくれたんですよ。実際に音を聴いたらカッコよかったし、彼との作業も非常に面白かったです。データのやりとりだけだったんですけど、僕らがレコーディングして一度完成したものを送ると、セクションごと削ってきたり、逆に盛ってきたり、シンセをかぶせてきたり、意外な球を投げてきましたね。僕は第三者のアイデアが入るのは新鮮でいいなと思っているんです。音楽って自分以上のものにはならないから、第三者の視点が入ることは変化に向けてのひとつの原動力になるんですよね。僕が日頃、バンドメンバーに求めているのもそこですし。

──とはいえ、歌詞の世界観に限って言えば、それはシュンタロウさん個人のものでしょう?

シュンタロウ:まぁ、歌詞の大部分を僕が書いているので、そうですね。というか、そこに触れてくる人がいないんです。ナルミさえ歌詞についてはまったく意見してこないんですよね。僕は全然ウェルカムなんですけど(笑)。

──ある種、完成された世界観ですからね。今回も収録曲すべてに関して言えることですけど、同じ視点からミニマムな世界とマキシマムな世界を同列で描いているような感覚なんです。おまけに、ごく普通の三次元的な風景描写がまったくないから、どこにリアリティを見出すかも聴き手それぞれ。

シュンタロウ:なるほど、はじめて言われました。というか、僕、実は歌詞に関しては情熱的でないというか、わりと言葉を記号のように考えているところがあるんです。物語を最初にイメージする曲もなくはないんですけど、だいたいはメロディに対して記号をあてはめていくような感覚。その音に対して、一番似合う音を充てたいというか。

──その記号には、メッセージがあるんですか?

シュンタロウ:言葉自体には、もちろん一般的な意味はあります。だけど、それを連ねて文章なりにしたときに、すぐわかってしまうような感じではないかな。だから曲全体として見たときにメッセージを発しているわけではないんです。もちろん、曲によっては僕の意識下でメッセージとして確立したものがあるのかもしれないですが、歌詞の意味という部分では、聴く側が感じたままに命を吹き込んでくれればいいんです。僕も音楽を聴くときに、勝手にいろんなことを思い描いて聴くのが好きですから。

──そう考えると、『23』という曲は特殊ですよね?

シュンタロウ:そう! そうなんです、恥ずかしいんです(笑)。これは、21歳のときに書いた『21』っていう曲のリメイクというか踏襲した楽曲なんですけど、ここまでプライベートな自分をさらけ出していいものか、と。ライブで歌うのは平気だと思うんですけど、例えば今、取材を受けているこの場所でこの音源を聴かれたりすると、僕はもう恥ずかしくてダメですね、ソファの影とかに隠れます(笑)。他の曲だと大丈夫なんだけどな。

◆そいつを満足させるために音楽を作ってきた気がしますね。
今回はだから、そいつをわりと黙らせましたよ。


──あ、わかった!

シュンタロウ:何がバレたんでしょうか(笑)。

──シュンタロウさんは聴き手としての感覚が非常に強くて、“自分が聴きたい曲”を作っている。ところが『23』は発信者としてのみの感覚になってしまうから、くすぐったい。違いますか?

シュンタロウ:ああ、言われてみればそうですね。そうです、僕、自分が面白い人間だとは思っていないから、自分にないものを書こうと努力しているフシがあります。

──きっと、音楽にやたらとうるさい背後霊のようなシュンタロウが、常に自分の周りにいて。

シュンタロウ:それ、すごくわかりやすい例えですね(笑)。実際にそうなのかもしれないです、そいつを満足させるために音楽を作ってきた気がしますね。今回はだから、そいつをわりと黙らせましたよ。「俺は今こういうストレートなアプローチをしたいんだ!!」「どう?こういうの悪くないでしょ?」みたいな。今、ふと思いついたんですけど、二極化していくのも面白そうですね、完全にそいつの意向に沿ったものと、そいつが震え上がるほどポップでストレートなものと(笑)。

──ああ、そうやって、素直に面白がって音楽を作ってきた結果が今なんですね。Hello Sleepwalkersが意味深だと勘ぐっているのは、どうやら周りの人間のみ。シュンタロウ:はい、そうかもしれないですよ。僕ら、けっこう感覚的にやってしまっているので。もちろん構築美みたいなことも考えなくはないですけど、それも感覚的に面白そうと思うことから始まっていますよね。ただ、今回『円盤飛来』という曲のラストは、僕にしては相当に計算ずくでした。7拍3拍8拍3拍9拍3拍10拍とだんだん増えていくっていうのをやったんですけど、ディレクターにすら気づいてもらえなかったという(笑)。

──地味な遊びだなぁ(笑)。

シュンタロウ:どうやら僕、数学的なのが好きみたいです。まぁ、自分の限りで喜びを追求するとついついこうなってしまうんですよ(笑)。それでも僕らはバンドだから、ちゃんと中和されるんだなと最近感じていますね。ワイワイやろうぜっていうタイプのバンドじゃないし、5人全員がそうできる人柄でもないけど、ちゃんとバンドらしいところを表現できてるんじゃないかなって、特に今作ではそう感じているんですよね。

インタビュー&文◎斉藤ユカ


<Hello Sleepwalkers 2014 “TAKE YOUR MASK OFF”>
5月3日(土) 大阪 心斎橋Music Club JANUS
OPEN/START 17:30/18:00
前売り2,800円/当日3,300円(+1ドリンク)
プレイガイド:e+、チケットぴあ、ローソンチケット
一般発売:3月2日(日)
[問]:キョードーインフォメーション 06-7732-8888
5月4日(日) 名古屋 ell.FITSALL
OPEN/START 17:30/18:00
前売り2,800円/当日3,300円(+1ドリンク)
プレイガイド:e+、チケットぴあ、ローソンチケット
一般発売:3月2日(日)
[問]:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
5月18日(日)渋谷CLUB QUATTRO
OPEN/START 17:00/18:00 前売り3,000円/当日3,500円(+1ドリンク)
プレイガイド:e+、チケットぴあ、ローソンチケット
一般発売:3月2日(日)
[問]:ディスクガレージ 050-5533-0888

2nd Album
『Masked Monkey Awakening』
2014年2月19日発売
AZCS-1027 \2,300(tax out)
収録曲
1.猿は木から何処へ落ちる
2.午夜の待ち合わせ
3.Bloody Mary
4.Comic Relief
5.砂漠
6.天地創造
7.23
8.越境
9.Countdown
10.円盤飛来


◆Hello Sleepwalkers オフィシャルサイト
◆Hello Sleepwalkers オフィシャルTwitter
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◆A-Sketch YouTubeチャンネル
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