【ライブレポート】アルター・ブリッジ、熱量高き高次元モダン・クラシック

まさに待望の初来日公演。いや、待望くらいでは言葉が足りないかもしれない。アルター・ブリッジ史上初の日本でのライブが、2月18日、東京・恵比寿リキッドルームで実現した。フロアに渦巻く熱気のみならず、ステージ上に居並ぶメンバーたちの表情からも、誰もがこの日の到来を切望していたことがうかがえた。ショウの序盤、フロントマンであるマイルズ・ケネディ(Vo、G)の口から発せられた「10年も待たせてしまったことをお詫びしないと」という言葉からも。
◆アルター・ブリッジ画像

そこでまず驚かされたのが、各楽曲の浸透度の深さだ。誤解を恐れずに言えば、これまで彼らの作品は、ここ日本においてはヒットを重ねてきたとは言い難いし、第2作の『ブラックバード』については国内発売にさえ至っていない。このバンドの基盤ともいうべきクリード(マイルズ以外の3人はすべて同バンドでの活動歴を持つ)と同様に、何故か日本では受け入れられにくいバンド、全米での実績が極端にすごい“ビッグ・イン・アメリカ”なバンド、と認識されてきたところがあった。が、それでも、イントロが始まるたびに歓声を上げ、マイルズと歌声を重ねる熱心なファンがこれほど存在しているのだという事実に、僕は少なからず感動に近いものをおぼえたし、いつも“未だ見ぬ大物”的に扱われ続けてきたこのバンドのファンとして、同志がたくさんいることを実感した人たちも少なくなかったはずだ。


今回のジャパン・ツアーは、この東京公演、そして翌19日に行なわれた大阪公演の計2本のみからなる非常にコンパクトなもの。実は、まさに大阪公演が行なわれている最中に僕はこの原稿を書いているのだが、大阪でも東京に勝るとも劣らないライブが繰り広げられたに違いない。
メンバーたちは満足げな笑みを浮かべながらステージをあとにした。マイルズが「俺たちがまた来たら、また観に来てくれるかい?」と問いかけると、オーディエンスは、そこがライブハウスだとは思えないほどの音量の歓声で、それに応えていた。アルター・ブリッジ再来日公演の早期実現を、心から願いたい。
文:増田勇一
撮影:古渓一道

<アルター・ブリッジ来日公演@EBISU LIQUID ROOM 2014.02.18>
1.Addicted to Pain
2.White Knuckles
3.Come to Life
4.Before Tomorrow Comes
5.Cry of Achilles
6.Ghost of Days Gone By
7.Ties That Bind
8.Waters Rising
9.Broken Wings
10.Metalingus
11.Blackbird
12.Watch Over You
13.One Day Remains
14.Isolation
15.Open Your Eeys
-ENCORE-
16.Slip to the Void
17.Farther Than the Sun
18.Rise Today