【インタビュー】清木場俊介「自分の中で一貫して決めているのは自分に嘘をつかないこと。筋は通してきていると思う」

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■歌詞を書ける時は決まって景色が見えるんです
■コードを弾いた瞬間に景色がバーッと浮かんでくる


──あと思ったのが、ラブソングについてなんですよ。もともとそんなに得意なタイプじゃないのかな、と思っていて。

清木場:いや、好きですよ。

──でも歌詞を書く人間として、まず自分の生き方を唄うほうが先ですよね。そっちの方が得意というか。

清木場:それはそうですね。ラブソングはね、ネタがあんまりないんですよ(笑)。そんなに毎回、彼女を作りながら歌詞は書けない(笑)。今はもっぱら韓国映画。それで、自分の中でストーリーを作る(笑)。

──ラブソングがダメと言ってるわけじゃないですよ(笑)。だからこそ、「最後の夜」みたいなせつないラブソングがものすごく光って聴こえた、ということを言いたくて。

清木場:いい恋愛してたんでしょうね、たぶん(笑)。でもこの曲、めちゃめちゃ不倫の曲なのに、結婚してるわけじゃないから、想像で書いたんですよ。

──頭の中にイメージを浮かべて?

清木場:景色が見えるんですよ。歌詞を書ける時は決まって、コードを弾いた瞬間に、海だったり太陽だったり、景色がバーッと浮かんでくるんです。そこからすぐに書けちゃう。うまく口にできないんですが、そういう作り方がすごく好きです。だから“太陽”“海”“夜空”とか、景色を想像できる言葉が多いです。あと、波の音とか。情景が入ってきやすい歌詞が多いですね、特にラブソングでは。「あのさ~」もそう。5分間のドラマがあって、ふたりのやり取りをメロディに入れてるだけ。そういう作り方がすごく好きで、楽しいんです。昔、長渕さんの曲で、1番が男で2番が女の歌詞とか、あったじゃないですか。ああいうのが好きなんですよね。

──作家的な頭の使い方というか。

清木場:そっちの方が楽。自分の体験として、人生は語れますけど、恋愛はそんなにないでしょ、回数は。

──俊さんは作曲もしますけど、やっぱり言葉の人だと思います。


▲『唄い屋・BEST Vol.1』初回限定盤

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清木場:曲は誰に書いてもらってもいいんだけど、歌詞は自分で書きたいですね。そうじゃないと、唄う時に説明がつかないんで。でも歌詞は、経験しないと書けないから、大変ですよ。20代の頃はアホみたいに書けてましたけど、30代になると、そんなに新しい経験はなくなるじゃないですか。日々幸せだなと思うことも多いしね。20代なんて、幸せだなんてまったく思ったことなかったけど。だから歌詞の書き方も、変わってくると思いますよ。

──でも「ROLLING MY WAY」みたいなアツい曲は、いくつになっても唄っていたい?

清木場:そうですね。これも歌詞とメロディがいっぺんに出てきて、作ってる時は楽しかった。60になってこれを唄う自分を、見てみたいですね。どんな渋みが出てるのかな、と。

──今回のアコースティック編成でも、30代の渋みが出てますよ。凄みというか。

清木場:30代になってから得たものは大きいので。20代では、唄で説明はできてなかったと思う。

──「あのさ~」のボサノヴァっぽいアレンジとか。すごく合ってる。

清木場:自分でも意外でした。30代になってからじゃないと、できないものばかりですね。「愛のかたち」も、昔だったら唄えないです。「最後の夜」「あのさ~」「Baby」もそう。すべての楽曲に対して、20代では表現できない唄いまわしにはなってると思いますね。

──そして、同じ時間を10年間共に過ごしてきた、ファンに対する思いは?

清木場:今は、並んで一緒に歩いてる感が強いから。すごく近い関係で、感じるものがどんどん深くなってきてる。たまに冗談で、俺がどんどん老けていくみたいなことを言ってくる奴がいるんだけど、「おまえらも老けてるんだぜ」って(笑)。

──あと、『唄い屋・BEST Vol.1』の、“唄い屋”という言葉なんですけどね。ずっと使ってますけど、やっぱり自分は唄い屋だと。

清木場:唄い屋ですね。もう当たり前になってきちゃって、名前を言ってるような感じ。どういう意味ですか?って言われても、忘れましたって(笑)。

──シンガーソングライターとか、アーティストとか。そういう言い方よりも、ぐっと生々しいというか。

清木場:シンガーソングライターは照れくさいです。アーティストも、実はそんなに好きじゃない。言われるものであって、自分で言うものじゃないと思うから。唄い屋で、唄でメシ食ってます的な。なか卯です! みたいな感じかな(笑)。

──なるほど(笑)。

清木場:「牛丼やってます」と「唄うたってます」の違いだけ。唄い屋は、庶民に近い存在じゃないと。

──あ、そうそう、庶民的というニュアンスですよ。俊さんの唄は。

清木場:しかも、うどんもついちゃう(笑)。

──あと、最後にもうひとつ。すでに各方面で話題になってますけど、EXILE ATSUSHIさんとのコラボ曲「羽1/2」について。

清木場:13曲目までがなか卯なんで、14曲目ぐらいはステーキ食いたいなと(笑)。

──うまい!(笑)

清木場:シンプルに、ATSUSHIから声をかけてもらったので。1年に一回メシを喰うんですけど、そこで個々の活動を報告しあう時に、「いつか一緒にやりたいね」という話が毎回出るんですよ。酒のツマミみたいな話として。でもそのあとに電話がかかってきて、「今作ってる曲に、どうしても清木場俊介の声が聴こえてくる。唄ってほしい」と。それでどんどん話が進んで、清木場俊介としても1曲やることになって。だったら、「羽1/2」を僕はずっと、過去を振り返るものとして唄ってきたから、一緒に唄ってもらうことになったんですよ。その中にいやらしさは一個もなくて、普通に二人が飲んでて、「やっちゃう?」とか言って、朝起きても忘れてなくて、それが実現したという感じ。自然でしたね。あとはもちろんファンの人も、当時のスタッフも喜んでくれたし。自分のやめ方も突然だったんで、これでケジメもつけられるなと思ったし。

──はい。

清木場:あと、僕は自分の唄のレベルが知りたかった。彼は日本を代表するアーティストなので、そういう人と一緒に唄うということは、自分のレベルも計れるじゃないですか。唄い手同志だと、ちょろっと唄えば自分のレベルがわかっちゃう。とにかくそれを知りたくて、チャレンジでもあったんですよ。

──なるほど。

清木場:過去を今につなげます、という気持ちは全然なくて。単純に今の自分がどんなものかを知りたかった。なか卯でも勝てるかな?と。

──心意気ですね(笑)。

清木場:でも唄ってみると、自然と、すごいことになっていくわけですよ。鳥肌立ちましたね。「こんなに違う自分が出てくるんだ」って。今はロック一本でやってるんで、人に合わせられるわけがないんですよ。俺が俺がですから。なのに、どんどんひとつになっていくんですよ、ふたりの声が。ほかの人には見えなかったかもしれないけど、僕らの間にはそういう感覚がすごくあって、言葉にしなくてもわかってました。また新しくやる気が出ましたね。彼が放つパワーはすごかった。そういう人間と会うことはなかなかないので、いいパワーをもらいました。

──あの頃を思い出して、ということではなく。

清木場:もちろん思い出しますよ。でも、あの頃にすがっていないので、ふたりとも。1年に一回飲む時にも、あの頃の話なんて一切しない。「今何やってるの?」「これからどうするの?」という話しかしない。未来の話がすごく多い。

──実は、このベスト全体が未来を向いたものだという、象徴的な曲だなと思います。

清木場:そうですね。これを聴いてもらって、次のオリジナル・アルバムを聴いてもらうと、今言ってることがさらにわかってもらえると思う。次のアルバムが大事ですね。このベストより、いいものを作らなければいけないわけだから。

取材・文●宮本英夫

10th ANNIVERSARY 第一弾
『唄い屋・BEST Vol.1』
3月5日発売
初回限定盤(CD+DVD)VIZL-599 / \3,714+税
購入する
通常盤(CD)VICL-64078 / \2,857+税
(CD)
01.ROLLING MY WAY
02.Rockin' the Door
03.なにもできない
04.いつか…
05.愛のかたち
06.唄い人
07.again
08.最後の夜
09.あのさ~
10.Baby
11.今。
12.忘れないで
13.そのままで…。
14.羽1/2
※Tr.14のみ、清木場俊介 & EXILE ATSUSHI
(DVD)
ROLLING MY WAY
いつか…
愛のかたち
今。
唄い人
そのままで…。

<清木場俊介 10th Anniversary Acoustic Live>
5月1日(木)グランキューブ大阪
[問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
5月3日(土)愛知県芸術劇場
[問]キョード―東海 052-972-7466
5月5日(月/祝)TOKYO DOME CITY HALL
[問]H.I.P. 03-3475-9999
5月6日(火/祝)TOKYO DOME CITY HALL
[問]H.I.P. 03-3475-9999

<10th Anniversary Acoustic Free Live>
3月8日(土)千葉 イオンモール幕張新都心 グランドモール1F グランドスクエア
3月9日(日)神奈川 ラゾーナ川崎プラザ 2F ルーファ広場 グランドステージ
3月15日(土)愛知 ナディアパーク 2F アトリウム・イベントスペース
3月21日(金/祝)大阪 千里セルシー 1F セルシー広場
3月22日(土)福岡 キャナルシティ博多 B1F サンプラザステージ
3月29日(土)北海道 サッポロファクトリー アトリウム
3月30日(日)兵庫 阪急西宮ガーデンズ 4F スカイガーデン・木の葉のステージ


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