【インタビュー】聴いた人の数だけ生まれる世界。ああでもない、こうでもないバンド、フレデリックの小宇宙

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これはリアルかファンタジーか。ひとたび耳にすれば、その独自性を極めた世界観に否応無しに引き込まれてしまう。ユーモラスでヘンテコでシュールで、かと思えばソリッドなサウンドをギュンギュンに鳴らすという、この多面的な音楽性がとにかく聴き手の想像を掻き立てることこの上ない。初の全国流通盤となるミニアルバム『うちゅうにむちゅう』は、まさしくフレデリックの小宇宙だ。

◆どんなヤツが来るのかワクワクでしたよ。
だって、名前が赤頭隆児ですよ!?


──BARKS初登場ということで、まずはバンド結成の経緯をさくっと。

ミハラケンジ(Vo&G)(以下/ケンジ):はい、さくっと。双子のミハラ兄弟が結成したバンドに、ネット社会を通じてドラムとギターが入って今に至ります(笑)。

──なるほど、オンラインで。イマドキですね(笑)。

ケンジ:そうなんです(笑)。もともとバンドをやりたいと言い出したのは僕で、誰とやろうかと考えたときに、まずは家族であるこーじがいいなという僕にとって普通の流れがあって。そして次に考えたのが、バンドとして形にするためにはドラムが必要だな、と。僕は音楽系の専門学校に通っていたんですけど、学校内や近場で探すとなれ合いになってしまいそうだったので、ネット掲示板でKaz.さんがバンドをやりたいと発信しているのを見つけて、一度セッションした後にそのまま一緒にやることになりました。

Kaz.(Dr):それが誰も見ないようなマイナーな掲示板だったんですけどね(笑)。反応があったのが1件だけで、それがケンジだったんです。僕はそのとき社会人だったんですけど、またバンドやりたいなと思っていて。

ケンジ:隆児は同じ専門学校のギター科に通っていたんですけど、面識はなかったんです。とはいえ、学校で話しかけてくれたらよかったものを、わざわざネット社会を通じて(笑)僕らのホームページにメールをくれたんです。

赤頭隆児(G)(以下/赤頭):僕はケンジの顔は知っていたんです。たまたま彼らのバンドのホームページを見て、音を聴いたらすごくよかったんですよね。で、そこにメンバー募集って書いてあったので、めっちゃ迷った末にメールしました。

ケンジ:僕はまったく隆児の存在を知らなかったから、どんなヤツが来るのかワクワクでしたよ。だって、名前が赤頭隆児ですよ!?

──スキンヘッドに鼻ピアスにタトゥーでも驚かないですね(笑)。

ケンジ:そうですよね!? ちょっと怖い人が来ると思い込んでましたもん(笑)。

◆自分のいちばん好きなフレーズなりを持ち込んで作っている。
そこが自分たちでも面白いなと思う。


──そして無事にフレデリックが結成されて、その時点で音楽的な方向性は見えていたんですか?

みはらこーじ(B&Cho)(以下/こーじ):いや、まったく見えていなかったですね。考えることもしていなかったんじゃないかと思います。その当時は曲作り自体も始めたばかりでしたし、単純に自分が好きなものを作っていた感じなんです。

ケンジ:基本的にはずっと変わっていないんですよね。こーじが作ったものがベースになって、そこにみんなで色々肉付けをしていくというやり方なんです。

──普段、曲はどういうプロセスで作りますか?

こーじ:いろんなやり方で作るんで統一性はないんですけど、急にメロディが思い浮かんで歌から作ったりとか、そこにまずベースラインからつけようとか、アコギで作ってたらそのまま全体像が見えてきたり。なんだろう、天気みたいな感じですかね、毎日違うっていう。あとはバンドでアレンジしてまったく変わる曲もあるし、変わらない曲もあるし、変わり過ぎて結局元の場所に戻ってくる曲もある。ほんと、いろいろです。

──聴き手におもちゃ箱を覗かせるかのような音楽ですよね。色も形も全部違って、そこにいろんな仕掛けがある。1曲の中に数曲分のネタが詰まっているような印象です。

ケンジ:影響されている音楽がみんなバラバラで、自分のいちばん好きなフレーズなりをそれぞれフレデリックに持ち込んで作っているので、そういう印象があるのかもしれないです。そこが自分たちでも面白いなと思うところで。

◆音源聴いた後にライブに来てもらうと、
まったく印象が変わってしまうかもしれないですね。


──確かに、リズム隊ですら、ベースとドラムが時に全く違うベクトルを持っているような。

こーじ:そう、そこのグルーヴ感がギリギリなのがフレデリックだと思うんです。ギリギリのラインが好きなんです。そこ、実はバンドにとってすごい大事なんですよ。

──まさにギリギリという形容詞がピッタリです。ライブだと特に、メンバーが誰ひとり控えめじゃないので(笑)音がせめぎあっていますもんね。

こーじ:確かに控えめじゃないですね(笑)。

Kaz.:音源を聴いて、ライブに来て、またビックリしてもらえたらいいですよね。

──すこぶるアグレッシヴですから。

Kaz.:もう、バッチバチですから。

──ギターは不協和音のごとく爆音で鳴り続けるし、ツインヴォーカルか!?というくらいの激しい掛け合いが聴けたりもするし。

こーじ:ステージに立つと自然にテンション上がっちゃうんですよね、楽しすぎて。だから、音源聴いた後にライブに来てもらうと、まったく印象が変わってしまうかもしれないですね。特別意識しているわけではないですけど、音源とステージではアプローチの仕方が全然違うと思います。

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