下北沢の失われ行く魅力を浮き彫りにする『下北沢ものがたり』
書籍『下北沢ものがたり』が、3月31日に発売となった。音楽好きにとって、ライブハウスに行ったり、CDやレコードなどを買いにレコード屋さんに行ったりするのも楽しみのひとつ。そんなアンテナ感度高き音楽好きにとって、下北沢という街はちょっと特別な町ではないだろうか。
音楽関係はもちろん、演劇や古着、カフェや居酒屋など様々な要素がコンパクトにまとまった“サブカルの町”下北沢は、多くのアーティストたちに愛されている町だ。この『下北沢ものがたり』は、曽我部恵一、金子マリ&KenKenといったミュージシャンはもちろん、リリー・フランキー、よしもとばなな、柄本明などの著名人から、ライヴハウス「シェルター」を運営するロフト・プロジェクト代表の平野悠、本多劇場グループ代表の本多一夫、レコード店「フラッシュ・ディスク・ランチ」店主の椿正雄、そして知る人ぞ知る地元の人気とんかつ屋「とん水」の野口光二まで、総勢16人が“シモキタ愛”を語りまくった書籍である。
リリー・フランキーは「もし青春映画を撮るとしたら、舞台にするのはたぶん下北沢だよ」と熱い想いを吐露。金子マリが「この町はお店というより学生さん相手の賄い付きの下宿が主でした。演劇も音楽もない箱庭みたいなところだったんです」とかつての下北沢の様子を明かす一方で、息子のKenKenは「結局今、地元の奴が何をしておくかだと思うし、ここからどうなるかを俺らぐらいの世代の子がちゃんと考えないと」と、未来への決意を表明するなど、名言が続出している。
インタビューの他にも、50~60年前の駅周辺の写真(何もない原っぱを走る、一両編成の井の頭線)、地上最後の日の駅の写真、そして町の歴史を振り返る年表やエッセイなどで、下北沢を多面的に知ることが出来る。駅が地下化され地上が再開発されていくことで、大きな変化を迎えつつある下北沢の現在までの姿を記録した、貴重なドキュメントでもある。
音楽ファンはもちろん、下北沢という町に興味がある人なら存分に楽しめるだろう一冊だ。
『下北沢ものがたり』
発行日:3月31日
1,400円+税
監修:播磨秀史
判型:四六版
頁数:240ページ
駅の地下化、駅舎跡地を中心とした周辺の大規模再開発などで、大きな変化に向かう下北沢。これまでの街とは全く違うものになる可能性が高いが、逆に過去を懐かしみ、変わることを残念がる空気も生まれている。本書では下北沢で生まれ育った人、住んでいる/住んでいた人、長くお店をやっている人、縁のある人らに話を聞き、昔の写真や歴史概説などと共に下北沢の失われ行く魅力を浮き彫りにする。リリー・フランキー、よしもとばなな、柄本明、金子マリと息子のKenKen、曽我部恵一、東方力丸、本多劇場グループ代表本多一夫、ロフトプロジェクト代表平野悠、フラッシュ・ディスク・ランチ店主椿正雄ほか16名が登場。
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