【ライブレポート】me-me*、桜ここみ卒業式。「いつも、ステージでみんなでひとつになれるのが大好きでした。」
約30分のインターバルを経て、今度はイベントタイトルの<~るかるか★ナイトフィーバースデー~>にもあるように、佳苗るか生誕ライブへと突入する。卒業した桜ここみと、活動をセーブしている成瀬心美をのぞいた5人編成の新生me-me*。「me-me*行くぞー!」のMaikaの掛け声とともに、新衣装姿で飛び出してきたメンバーたち。「学園天国」で会場を盛り上げると、「You are addicted」「星になるのだっ!」イントロでの会場からのコールも「るーちゃん!」オンリーの佳苗るか生誕祭完全仕様。
中盤には佳苗るかを虐めるという名目で「箱の中身はなんだろな?」ゲームを展開。目隠しをされて“HAPPY BIRTHDAY”とデコレーションされた箱に手を入れて怖がっている佳苗を尻目に、会場の電気はオフ。客席はピンクのサイリウムが一面に広がり、「ハッピーバースデートゥーユー」の合唱。成瀬心美がケーキを運ぶ。さらに、再度、「ハッピーバースデートゥーユー」の合唱と、桜ここみがもうひとつのケーキを運び入れる。実は急遽イベント出演が決まった成瀬心美も3月生まれ。ということで、ふたりの誕生日をサプライズでお祝いしたのだった。
「最初、自分の誕生日っていう実感がわかなくて、すごい不思議な感じなんですけど、みなさんにお祝いしていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」── 佳苗るか
「私、そこ(客席最前列)にいたの、さっき。赤いサイリウム持って「Maika!」ってずっと言ってて。そしたら怒られたの(笑)。こんなことがあるなんて知らなかったです。嬉しい。もう、お酒飲んじゃってたからさー、ほんとに、みなさんありがとうございます。」── 成瀬心美
そのまま、成瀬心美と桜ここみはあらためてステージ最前へと誘導され、本編ラストにme-me*は新曲「DEVILOVE(デビラブ)」を初披露。ファンにとっては約2年ぶりとなる、本当にキリンの首のようにして待ちわびた新曲。AIJ校長がソングライターとしての才能をいかんなく発揮し、メンバーはラップにも初挑戦したこの曲が(かみしぉの胸元のボタンが外れるほどに激しく)パフォーマンスされると、「かっこいい!」「最高!」と、会場は大きな盛り上がりを見せた。
アンコールは、ZARDの名曲「負けないで」。最前列でステージを見つめる桜ここみへ“ふとした瞬間に 視線がぶつかる”と、アイコンタクトをしていくメンバーたち。もちろん、この曲のカバーは2月に初披露されており、桜ここみの卒業タイミングで特別に用意された曲ではない。ただ、“どんなに離れてても 心はそばにいるわ / 追いかけて 遥かな夢を”というフレーズは、偶然にも桜ここみへme-me*からの最後のメッセージのようであり、新生me-me*が自分自身に歌い聴かせているかのようでもあった。
そして実はもうひとつ、サプライズが用意されていた。“ゆいにゃん(?)”こと、波多野結衣が今日イベントを振り返っての感想を語る。「私が女優さんから初めて付けられたアダ名が“はたちゃん”だったのね。私、いつも“さん”付けで呼ばれるの。怖いのか知らないけど。私もかわいい名前で呼ばれたい、みたいな。熟女じゃないんだ私は! 25歳です! ゆいにゃんって呼ばれたいんです、私も!」と、いろんな人に戸惑いを覚えさせるようなトークをひと通り展開した“ゆいにゃん”は、「あと、もう一個だけ、感謝の気持を伝えたかったので。『スカパー!アダルト放送大賞2014・女優賞』を獲ることができました!」と報告。するとファンから女優賞をお祝いしてのプレゼント贈呈式へ。「実は今日、サプライズ4つあったんだよ。」とネタばらしをするMaikaに、“ゆいにゃん”は、「今日、みんな桜さんのこととかで忘れちゃってると思ってた。忘れられてるんだろうなって。だから最後に“ありがとう”だけ言おうって我慢してたの。」と、涙で顔をくしゃくしゃにする。その姿に最前列で爆笑している桜ここみと成瀬心美のWここみんだった。
◆ ◆ ◆
桜ここみの卒業。それは多くの人たちに衝撃を与えた。第一報を記者に伝えてくれたプロデューサー氏はあまりの出来事に笑うしかないような状態になっていた。その直後に顔を合わしたリーダーMaikaは、話を切り出すと、もうそれだけで今にも泣き出しそうな顔をしていた。
開演前、裏でAIJ校長とふたりっきりになった時、AIJ校長は「俺がme-me*に関わる理由が……」と、呟いて肩を落としていた。もちろんそれは冗談だろう。……いや、その後、「なんのために“せんとくん”と呼ばれてもステージに立ってたか!」とかちょっとよくわからないことをわめきはじめてたから、きっと8割くらいは本心だったのかもしれない。
また、佳苗るかが「本当のお姉ちゃんみたいに思っていて……」とステージ上で涙を落としていた頃、me-me*にダンスを教えているmary先生はというと、過呼吸になるくらいに号泣していた。現に、卒業式終了後、AIJ校長がずっとmary先生の背中に手を添えながら気持ちを落ち着かせてあげていた。
記者は、というと、この日のために新しく購入したカメラに少し感謝をしていた。カメラを構えると、少なくともステージ上のメンバーたちに、その表情を読み取られることはないからである。
時に、卒業証書を授与する際、AIJ校長はアドリブで一文付け加えていた。
「桜の木のふもとに、いつもみなさんが、いろんな人が集まって、そこで笑顔になる瞬間を作っていたのは、まさにあなたでした。」
そう、言ってしまえば、誰もが桜ここみのファンだったのだ。
卒業式。それは新たなる旅立ちの日。悲しいといえば嘘になる。寂しいといえば嘘になる。しかし時間は、お互いに存分に悲しみ合い、寂しがり合うまで旅立ちを待ってはくれない。だから、我々はそんな複雑な思いを胸に抱えながら最後の瞬間と、新たな一歩を踏み出さないといけない。
ステージ上の桜ここみは、笑顔だった。me-me*としてやり残したこと、やりたかったこと、メンバーと一緒に見たかった光景はたくさんあっただろう。道半ばでの卒業、誰よりも悔しい思いをしていただろう。でも、彼女は笑顔。それはまるで朝露に濡れた桜の花のように、輝いていた。
そんな笑顔があったから、残されたメンバーも、me-mer*も、彼女をちゃんと送り出すことができたし、そしてこの後に続いた佳苗るか生誕祭も含め、この日のイベントを無事に成功させることができた。最後まで、桜ここみは、桜ここみらしくme-me*をやり遂げたのだった。
桜ここみ、そして新生me-me*が新たな道を歩み始めた4月。東京は今、桜が満開だ。
text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
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