【ライブレポート】9mm Parabellum Bullet×THE BACK HORNの贅沢な宴 「お互いにこの時代に鳴らすべき音楽をやっている」

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ものすごい熱量が渦巻いていたライブだった。

◆9mm Parabellum Bullet×THE BACK HORN  <決闘披露宴> 画像

3月27日にZepp Tokyoで9mm Parabellum BulletとTHE BACK HORNとの2マンライブ<決闘披露宴>が行なわれた。2009年の<大惨事目眩対戦>以来、5年ぶりの2マン対決。ライブのMCで明らかになったのだが、本当はもっと早く実現させたかったらしい。3月からスタートしたツアーはZepp Tokyoがファイナル公演となるはずだったが、いわき公演がTHE BACK HORNの菅波(G)のインフルエンザ発症により延期になったため、急遽、4月10日のいわきclub sonicがファイナルに変更された。それにしても期待を裏切らず、今回も濃いツアータイトルなのが嬉しい。両バンドが盛り上がって考えている光景が浮かぶようだ。

19時。決闘の火ぶたはついに切って落とされた。先攻は怒濤の歓声に迎えられ青い光の中、ステージに登場したTHE BACK HORNだ。オープニングは日常のシーンをリアルに描き、生命のキラめきを浮き彫りにさせる「光の結晶」。続く「声」では、Oiコールが沸きあがり、松田の力強いドラムで始まる「バトルイマ」で山田がど本気のボーカルを叩きつける。岡峰のベースがうねり、菅波のカッティングが空気を切り裂いていく。ストレートチューンに思えて、間奏の一筋縄ではいかないキメの嵐の展開もTHE BACK HORNならではだ。

ここでリーダーの松田がドラム台から立ち上がって挨拶。

「決闘披露宴ということで、ついに東京に戻ってくることができました。タイトル通り、THE BACK HORNと9mmの音楽のぶつかりあいを披露して、宴として酔わせるライブにしたいなと」とタイトルに込めた想いを話し、これまで何度もまた2マンをやろうという話は持ち上がっていたけれど、スケジュールの兼ね合いでなかなか実現に至らなかったというエピソードも披露した。「でも、5年たって9mmは結成10周年、THE BACK HORNも15年といい感じのタイミングなんじゃないかと思います。どちらのバンドを見にきた人も最後まで、この宴を楽しんでいってほしいと思います」と締めた。

変わることのない衝動と熱さでオーディエンスを熱狂の渦に巻きこみ、同時にバンドのキャパシティのデカさ、しなやかさをも提示してくれたのが、この日のTHE BACK HORNのライブだった。山田がローボイスでラップする最新シングル(「シンメトリー/コワレモノ」)収録曲の「コワレモノ」は最低限の音数で鳴らされるグルーヴィーなサウンドから、いっきに視界が開けるサビへと移行する展開が最高にスリリングだったし、そこから、ダークサイド・バックホーンの真骨頂といってもいい初期の曲「ジョーカー」へとなだれこんだのも興奮を倍増させた。かと思うと「世界中に花束を」では大きなメロディーとメッセージで場内をふわっと包みこんでしまう器の大きさ。

「ホントに楽しいツアーを全国でやってきて、Zeppがファイナルだったんですけど、お互い、東北出身が多いので、神様が福島にしろということで、いわきでファイナルを迎えます! なので今日は旧ファイナルです(笑)」と報告すると、菅波が「すみません」とばかりに頭を下げ、続けて松田が「9mmのメンバーはみんな、まっすぐで熱くて優しくて、ツアー中により仲良くなりました。俺たちは5年先輩だけど、お互いにこの時代に鳴らすべき音楽をやってると思っています」と宣言。4月9日にリリースされるアルバム『暁のファンファーレ』についても触れた。

そして、ライブは早くも後半戦に突入。「シングルやります。みんな、歌ってくれるか!?」とギターを持った山田がみんなに呼びかけ、THE BACK HORN史上、最もブライトな光が降り注ぐ曲「シンメトリー」を披露する。続く「コバルトブルー」ではイントロが始まった瞬間、場内から叫び声が上がり、ダイブが飛び出し、大熱狂。「シンフォニア」では“共鳴”としかいいようのない空間が広がっていた。決闘を締めくくる曲は、THE BACK HORNの男気が炸裂する「刃」。汗が飛び散るナンバーを解き放ち、すがすがしいエンディングを迎えた。

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約1時間のTHE BACK HORNのライブが終了し、20時27分、赤い照明の中、“待ってました”とばかりの声援が飛び、9mm Parabellum Bulletのメンバーが登場。菅原が「9㎜です。こんばんは」と挨拶し、「イエー!! 東京!!」と叫び、ジャムセッション的なイントロダクションから「Answer And Answer」に突入し、早くも場内はアクセル全開の盛り上がりだ。

名は体を表すというけれど、連射される研ぎすまされた音の鋭さが9mm Parabellum Bulletの核心を物語っている。かみじょうのパワフルなドラム、アクロバティックなパフォーマンスとともに鳴らされる滝の激しくも情緒的なギター、中村のツボを突くベースプレイ、そのバンドアンサンブルは完璧だ。

菅原が“目覚める前にもう一度 世界を変えるのさ”と歌う「The Revolutionary」でさらに熱を上昇させ、「Vampiregirl」では手拍子とみんなが歌う声が場内に響きわたる。Zeppに集結した全員が2バンドの決闘にやる気満々で参戦していることが空気からビシバシ伝わってくる。どっちのバンドを見に来たか、なんて判別不可能だ。

松田のMCを受けて「旧ファイナルにようこそ!」と場内を湧かせた菅原は「みんな燃え上がってるね」と熱い空間を作り上げてくれたTHE BACK HORNにお礼を述べ、「この1ヶ月だけで成長したと思うので、昨日の俺とはひと味、違うぞ」と、内側から放出されるエネルギーがまっすぐなスピードで届いてくる「The Lightning」を演奏。シャッフルビートと哀愁のメロディが独特のバランスで混ざりあう「悪いクスリ」も鮮烈な印象を残した。

そして、話はTHE BACK HORNのアルバムのことへ――。「一足先に聴きました。悔しかったら、みんなも対バンしようぜ(笑)。1曲目をかけた瞬間、これは名盤だと思った。音楽の冒険が詰まってる。『暁のファンファーレ』というタイトルはTHE BACK HORNに付けられるのを待っていたと思います」。 まるで自分のバンドのことのように語りまくったあとで「次は俺たちの曲をやろうと思います(笑)」と、中村がアップライトベースに持ち替えた「キャンドルの灯を」を演奏。情感豊かにシーンを浮かびあがらせ、音の洪水の心地よさに持っていかれる「The  World」へと。9㎜を初めて見る人もひきこむ代表曲や人気曲を盛りこんだセットリストも嬉しい。

「何が起こってもわからない世の中で鳴らすべき音楽を鳴らしているバンドだと(THE BACK HORNが)思ってくれて、非常に嬉しく思います。ミクスチャーロックということではなく、ミックスの仕方がTHE BACK HORNとは似てるのかなと思っていて、先輩だけど、仲間だと思っています」と、ここで初めて武道館ライブを収録した9mm Parabellum BulletのライブDVDが5月7日に発売されることを報告。

実際、菅原が話したようにTHE BACK HORNと9mm Parabellum Bulletの音楽は同じ匂いを持っているように思う。日本人の血の中にある情緒が根底にあった上で鳴らされる鋭利で緊張感のあるロックには爆発するダイナミズムと繊細さが同居している。そして、たぶん、両バンドとも音楽をやりたかったというより、やらずにはいられなかったタイプの人間が集まっているのではないだろうか。

かみじょうのスティックパフォーマンスも見所のひとつのアッパーチューン「Discommunication」で始まった後半戦は、「ハートに火をつけて」、大合唱になった「新しい光」など、キラーチューンの嵐。ドラマティックな「黒い森の旅人」から「The Silence」の緊迫感あふれる圧倒的な演奏へと移行する流れもみごとだった。

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アンコールではさらにオーディエンスを酔わせる宴が用意されていた。

「俺らから最大級のリスペクトを示すために今からTHE BACK HORNの曲を演奏します。みんな歌ってくれる?」と、“ウォォォォ~”という歓声の中、「刃」が演奏されたのだ。ハンドマイクでシャウトする菅原と決闘にふさわしい負けず劣らずの熱い演奏にダイブ続出。

そして「もう1曲やらせて。俺たちの仲間入りするヴォーカリストがいるんで」と、呼び込まれたのはTHE BACK HORNの山田で、この展開には熱気のみならず、オーディエンスの血圧まで上昇(?)。9㎜の鉄板曲「Black Market Blues」を2人で歌う夢のような光景が繰り広げられた。

「ありがとう! またいつかTHE BACK HORNと9㎜でみんなと過ごそうぜ!」と叫んだ菅原。リスペクトしあい、火花を散らし、強い結びつきを感じさせてくれた<決闘披露宴>。贅沢な宴はこうして幕を閉じたのだった。

取材&文◎山本弘子


◆9mm Parabellum Bullet オフィシャルサイト
◆THE BACK HORN オフィシャルサイト
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