【インタビュー】lynch.「俺たちのダークな雰囲気であるとか世界観、メイク、黒づくめの服といった特徴を全部武器にしようと思った」

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結成以来、自分たちが持つ武器とは何なのか? どうすればその威力を増すことができるのか? 4月9日にリリースされたlynch.の3rdアルバム『GALLOWS』は、そんな自問自答を出発点に生まれた作品である。結果、ラウドなサウンドはさらにシャープに研ぎ澄まされ、ダークな世界観は激しく、そしてメロウに咲き乱れる色とりどりの楽曲を、さらに艶やかに彩っている。日本語詞による率直な表現を筆頭に、背伸びのない“自分らしさ”を追い求めた裏には、結成10年目を迎えた今を“背水の陣”と呼ぶストイックな姿勢が。4月23日のラスト渋谷AX、そして5月からの武者修行ライブハウスツアーを控え、退路を断った者だけが描くことのできる究極のポジティブがココにある。

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■昔から気づいてはいたけれど認めたくなかった要素を
■個性として認めて全部武器にしようと腹を括れたんです


――アルバム『GALLOWS』が完成して暫く経ちましたが、周りの反応に接するうちに作品に対する印象って何か変わりました?

葉月:変わったというか、より好きになったというか(笑)。客観的に自分たちを研究して作った作品なので、インタビューとかで誰の意見を聞いても、そんなに意識の相違が無いんですよ。

――つまり、客観的に自分たちの武器を分析し、それを押し出すべく作った作品ということですね。

葉月:そうです。前作の「EXODUS-EP」(2013年8月発売)のときから、とにかく代表作/勝負作を作らなければならないという想いがあって。割とロックシーンが盛り上がって強いバンドもたくさんいる今、頭一つ抜けるためには、やっぱり他と違う個性が無ければダメだろうと。そこでlynch.というバンドを省みたとき、もともとダークな雰囲気であるとか世界観、メイク、黒づくめの服といった特徴を持っていながら、メジャーデビュー後は暫く封印していたんですよね。そういった昔から気づいてはいたけれど、認めたくなかった要素を個性として認めて、全部武器にしようと腹を括れたんです。

玲央:単なる原点回帰に留まらず、自分たちが得意とするものを整理し、さらに広げて奥行きも持たせて、今のlynch.として押し出していこうと。ちょうど結成から10年という節目の年でもあるので、外の何かに寄せるんじゃなく、自分たちが得意とするもので今後のlynch.のスタンダードになりえるものを作らなければという使命感と、作りたいという願望。その両方が入り混じって、こういったサウンドに仕上がったという感じですかね。

――結果、ずいぶんと物騒なタイトルが並んで、サウンドもへヴィに激しくシャウトも満載なのに、とても聴きやすいのに驚きました。変な言い方ですが、耳に優しい。

玲央:音の構成といった部分でも整理してますし、これからlynch.を好きになるであろう人たちのためにも、やっぱり間口は広く取りたい。とはいえ自分たちの色を薄めるわけではなく、至るところに引っかかりを作ったという意味でも“聴きやすい”っていう表現は確かだと思います。

晁直:ドラムに関しても、エンジニアの方にも理想の音をバッチリ再現してもらえたんですよ。ズドッとシャキッとした音で綺麗にまとめてもらえました。

――シャッフルの「GUILLOTINE」も、かなり心地よい音ですよね。

晁直:あ、そうですね。全体的に結構ドラムが前に出てるんで、印象は変わってるかなと。

明徳:ベースは「EXODUS-EP」のときに、一歩引くことによって得られる効果というものを実感したんで、接着剤的な役割に徹しました。プレイとしてはドラムに従って、音はギターと合体して。ギターとドラムの間に隙間なく入り込んだ結果、バンド全体で聴いたときに立体感のある仕上がりになって良かったです。

――じゃあ、ベースが目立っているのは「GREED」のスラップくらい?

明徳:あれも“ペチ男”っていう名言が生まれた曲なんですけど(笑)。ホントは頭からスラップしっぱなしのアレンジを考えてたところ、より上手く曲を成り立たせるためにホントに最後の最後だけ入れることにしたんです。そういったことも通して出し方、引き方というものを、いろいろと学べましたね。

玲央:ギターの話をすると、前作までは悠介と僕でユニゾンするか全く別のことを弾いているかの二者択一だったのが、今回は二人で一つの音の運びだとか構成をしていることが多いんですよ。2本鳴って初めてこのコードになるとか、全景がわかるとか。サビに入ったときだとか、そういう手法のほうが広がるんですよね。そういった部分でもバンド感はすごく出てると思います。

――いわゆる構築美みたいなものがありつつ、だからこそ音が整理されて聴きやすい。

悠介:確かに、煌びやかな上物的なものは減ってるかもしれないです。原曲を聴いた段階で、そういうものは必要ないなと思う曲が結構多かったのと。でも、葉月くんのほうからホラーテイストというか、ティムバートン的なオドロオドロしい音が欲しいという話もあって、特に「GALLOWS」とかはテンコ盛りですね。「BULLET」も楽曲的に煌びやかなほうがいいだろうと判断しました。

――これまたクリーンのディレイが効いた、なかなか歌謡曲度の高い曲ですよね。

葉月:うん。アニソンみたいだなと。

――それがとんでもなく分厚い音の壁と組み合わさっているのが、またlynch.らしい。一方、「OBLIVION」のようにメロディックな4つ打ち曲もあって、これもlynch.の持っている引き出しの一つかなと。

葉月:こういう曲、多いんですよね。「an illusion」とか「CRYSTALIZE」とか、そのシリーズの中の一つ。

――ちなみに今回、葉月さん以外の曲は?

葉月:僕以外の曲を挙げると、5曲目の「ENVY」と12曲目の「RING」が悠介くんの曲です。今回は他のメンバーからは出て来なかったですね。自分の中のハードルが高かったのか(笑)。

悠介:とはいえ、「ENVY」は葉月くんとの共同作業みたいなものなんですよ。「EXODUS-EP」のときにワンコーラスだけあったものを“フル尺で欲しい”と言われて持っていってから、葉月くんの意見を取り入れつつアレンジを進めていったので。

葉月:サビは全然変わったよね。キーも上げてイメージも全然違うものになっちゃったんですけど、おかけですごく歌いやすい曲になった。たぶん、僕にとってはベストなキーなんじゃないかな。コントロールしやすくて、でも、絶対自分では“低い!”って作んない(笑)。

――結果、葉月さんの艶っぽさが上手く引き出された曲になって、スローな「RING」も抑揚おさえたメロ運びが、やはり葉月さんとは違う。

悠介:大人びた感じというか、アダルトなものを作りたかったんです。そういう楽曲だと葉月くんの声が絶対に合うだろうなと思ったので。実際、出来上がってみたら予想していた通りになって、もう、バッチシです!(笑)


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