【ライブレポート】BANKS、スタイリッシュでクール、気分はふんわり

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2014年注目の新人女性シンガーBANKSが、3月終わりから4月初めにかけてUKツアーを行った。デビュー・アルバムのリリース前ながらソールド・アウトが相次ぎ、ロンドンでは当初予定されていた1公演を2公演に追加、2晩で5,000人近くを動員した。

◆BANKS画像

LA出身の25歳。15歳で曲を作り始めたというBANKSは2013年春に『Fall Over』、続いて秋に『London』の2枚のEPをリリース。そのダークでありながら優しく温かみのあるソングライティングとサウンドがたちまち話題になった。BBCが選ぶ2014年最も活躍が期待される新人リスト「Sound Of 2014」で3位に選ばれたほか、MTVの<Brand New Nominee>でノミネート、『Billboard』誌は「ディテールにこだわる魅力的なソングライター」と称賛している。

ライヴ・パフォーマンスは、代表作「Waiting Game」の世界観に等しいシンプルでミニマルだが優美なスタイルで行われた。バック・バンドはドラムとギター(兼キーボード)の2人のみ。彼らは客席に向かって立つのではなく、ステージの左右両端でお互い向き合うよう(客席から見ると横向きのポジションに)配置され、その間にできたスペースで黒いシースルーのロングドレスを着たBANKSがときに優雅に、ときに激しく踊りながらマイクに向かう。その姿は、深い海の中を泳ぎまわる人魚のようで、神秘的かつ麗しかった。ライティングも派手ではないが、曲ごとに赤、ゴールド、ブルー、ホワイトと色を変え、単色のスポットライトでステージを照らし出す。それだけで1曲ごと雰囲気が変わり、特別なセットや映像を使わずとも演劇的で美しいパフォーマンスを作り出すことに成功している。

この夜は、すでにEPでリリースした「Fall Over」「Waiting Game」「Bedroom Wall」など12曲をプレイ。エレクトロニックなグルーブにダークなR&Bのボイスが重なるサウンドは、ライブで聴くと、より優しく暖かい。語りかけるような歌声に伸びやかで可愛らしい高音が混じり、繊細で優艶なディテールを織りなしていく。決して感情をむき出しにするわけではなく、ビジュアル的にはスタイリッシュでクールなのだか、気分はふんわり。体感温度は下がるも心は温かくなるような心地いいライブだった。

BANKSは<Summer Sonic 2014>で来日。喧噪の日々を忘れさせてくれる、静と美、柔が調和するパフォーマンスは是非お見逃しなく。


Ako Suzuki, London

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