【ライブレポート】INORAN、熱狂のツアーファイナル終了!「今日は感じるまま動いていくから。最後まで飛ばしていくぞ!!」

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もっと、みんなの体温を感じたい。もっと、二度とないこの瞬間を楽しみ尽くしたい。そんなINORANの想いが超ダイレクトに伝わってきたのが、ミニアルバム『Somewhere』を携えての東名阪ツアー〈INORAN TOUR2014-Somewhere-〉のファイナル公演。4月13日(日)にLIQUIDROOMで行なわれたライヴだった。

◆INORAN~拡大画像~

客電が落ち、SEに合わせてハンドクラップが自然とわき起こる中、次々にメンバーがステージに登場し、ライヴは新作に収録されているスピード感たっぷりの痛快なロックチューン「Song 3」からスタート。Oiコールで盛り上がるオーディエンスの熱をそのまま返すように強靭なビートが本能を直撃する

キラーチューン「Hide and Seek」へとなだれこみ、ヘヴィなグルーヴに身体が揺らされる「No Name」へと。クールでキレのあるギターソロを響かせたINORANは片手でギターを高く掲げ、“もっと声を聞かせてくれよ”と言わんばかりに耳に手を当てるジェスチャー。約2年ぶりのリリースとなったソロアルバム『Somewhere』は“ライヴがやりたい”という衝動に忠実に作った作品だということだが、新曲のみならず、放たれるおなじみのナンバーも熱量を増している。LUNA SEAとしてアルバム『A WILL』をリリースしたこと、Muddy Apesでの活動──。この数年のアクティブな動きがヴォーカリストであり、ギタリストであるINORANをさらに加速させ、ドライブさせているのではないだろうか。

「もうファイナルなので、今日は感じるまま動いていくから。最後まで飛ばしていくぞ!」と煽り、メンバーとのあうんの呼吸が成せる技のロックンロール「Super Tramp」はRyo Yamagataのすさまじいドラミングで爽快なエンディングを迎え、ユニゾンが肝の「Your Light Is Blinding」でさらに場内の温度を上げていく。トリッキーなギターとアグレッシヴなパフォーマンスで沸かせるYukio Murata、グランジ/オルタナティブロックのツボを知り尽くしたu:zoとRyoのリズムセクション。型にハマらない精神で熱い音を鳴らすメンバーとの化学反応がINORANを解き放っていく。もちろん、参戦しているオーディエンスも共犯者だ。

「足りないんだよね。もっともっとイキたいんだよね。次のブロックはもっと身体をエロく動かして、腰で感じて聴いたり、歌ったりしてくれ!」

「no option」で始まった中盤戦ではINORANの煽り通り、スリリングで大人のムードを感じさせるナンバーが披露された。特に『Somewhere』の中で最も官能的でグルーヴィーな曲「Candy」はオーディエンスを昇天させたのではないだろうか。サックスを入れたヴァージョンも聴いてみたくなるような横ノリのグルーヴとINORANの色気のあるヴォーカルは新たな境地を切り開き、最後はフィンガースナップでキメるという粋なパフォーマンス。

そして、桜舞い散る季節を彩るリードトラックのミディアムバラード「Sakura」は「Joshua」からのメドレーという形で披露された。たぶん、そこには大切な人を忘れないという彼の特別な想いが込められていたのだろう。そのメッセージを受け取るように気がつくとフロアーにも無数の灯火が揺れていた──。続いてINORANが12弦ギターに持ち替えてのインスト「HOME」ではオーディエンスそれぞれが思い浮かべる景色に連れていくようなスケール感たっぷりの演奏を披露。それは懐かしい故郷かもしれないし、風が吹きわたる草原かもしれないし、何もない砂漠かもしれない。音楽がどこまでも聴き手のイマジネーションを広げてくれることを体感させてくれるのが中盤のセクションだった。

バンドのメンバーの自由奔放なセッションコーナーでは最後にINORANもメガホンを持って登場し、ここで後半戦に突入するのかと思いきや、「オマエらにスパイスを届けたいと思います」とサプライズゲストとしてカンニング竹山と安めぐみが(BSフジの番組『カンニングのDAI安吉日』にINORANがゲスト出演して以来の付き合い)ステージに登場し、大歓声。竹山が「俺、ひとつ言いたいことあるんだけど、すっげえカッコいい」と叫び、安も「すっごいカッコいい!」と大興奮。INORANもジョークを飛ばしまくり、その場で番組のライヴイベントに出演するという約束が交わされるハプニングも飛び出した。(スペシャルなことで付け加えれば、この日のライヴではドリンクカウンターではPATRON(テキーラ)との共同企画として特製カクテル”SAKURA PALOMA”と名付けられたリキュールが販売され、カウンターの前には東日本大震災復興支援のためFenderと共同開発したSAKURAギターが展示されていた)。

そんなファイナルならではの予想外の企画をはさみつつ、ライヴは熱い熱い後半戦に。今、現在の意思表明でもあるナンバー「A Days Goes On By」はライヴヴァージョンとして、パワーアップ。シンガロングとハンドクラッピングで盛り上がる中、「Rightaway」ではハンドマイクに持ち替えたINORANが上手、下手のフロアーに降りて、みんなに支えられて歌い、これまで以上に踏みこんだアティチュードで本気のメッセージを投げかけた。その勢いはまだまだ止まらず、コール&レスポンスで一体になる「Get Laid」では「俺の後に続いて、喉が切れるまで叫んでくれ!!」と煽りまくる。気持ちを全開にして、みんなと向き合い、声がかすれようとおかまいなしに叫び、ギターをかき鳴らす姿が集まったみんなの心の扉を開く鍵そのものだと思った。

最後のMCでは9月にツアーが決定したことを報告し、「今年はもっともっとたくさんライヴをやりたいと思います。それまで今日の思い出を大切に。あと1曲、ライヴで楽しむために作った曲をやりたいと思います。今、このときのために書きました!」「REDISCOVER ON ANOTER」で熱狂のライヴを締めくくった。この日のライヴがUstreamを通じて国内のみならず、海外にも生中継されていたこともあって、すべての演奏を終えたINORANはメンバーと肩を組んで「Thank You For Good Time! See You Next Tour!」と挨拶。声援が鳴り止まないフロアーのスクリーンにアンコールがわりに映し出されたのは「REDISCOVER ON ANOTHER」の最新PVだった。

INORANの音楽の旅は続いていく。まだ見ぬ“Somewhere”へと向かってーー。好奇心のおもむくまま、変化を怖れることなく、挑戦し続けてきたからこそ、INORANの前にはつねに新しい景色が広がっているのだと感じた。

取材・文●山本弘子
撮影●Keiko Tanabe

「REDISCOVER ON ANOTHER」のMVはYouTubeにて公開中
http://youtu.be/Y6OI5rFvEIU


◆INORAN オフィシャルサイト
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