【ライヴレポート】PENICILLIN、ツアーファイナルでオーケストラと初コラボ「ファンの人が支えてくれて繋がったことが一番の変化」

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結成22周年を迎えた今もPENICILLINの勢い、華やかさ、冒険心は少しも変わることはない。と文章にするのはたやすいが、よく考えるとそれは奇跡的と言ってもいいぐらいすごいことである。当然、月日とともに全員がスキルアップし、ライヴは強力になっているのだが、HAKUEI、千聖、O-JIROの3人は容姿からして時が止まったかのようだ。といって、メンバーがPENICILLINであることを背負って生きているような重さを感じさせるわけでもない。なんというか、超自然体なスタイルで“初期衝動”をキープし続けているバンドなのである。そのことを改めて感じたのが4月12日(土)、Zepp DiverCity Tokyoで行なわれたライヴだった。

◆PENICILLIN 画像

約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『瑠璃色のプロヴィデンス』を携えて行なわれた全国ツアー<SPRING TOUR 2014瑠璃色のプロヴィデンス>のファイナル公演。映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲が高らかに鳴り響く中、メンバーが登場し、最後に姿を現したHAKUEIはド派手な白い羽根のストールをまとい、想像を超えるファッションで今回も期待を裏切らない。オープニングナンバーはPENICILLINのDNA全開のメタリックなアップチューン「イナズマ」でセンターで千聖が速弾きを鮮やかにキメてみせる。

間髪入れずニューアルバムの中で最もヘヴィかつカオティックな「記憶の固執~融けゆく時間~」で爆発的な演奏を聴かせ、哀愁のあるメロディとPENICILLINサウンドが刺激し合いながら融合するシングル「幻想カタルシス」へと。このシングルで昭和を代表する歌謡曲をカバーをしたことがアルバムの世界観に繋がり、懐かしくて新しいPENICILLINの楽曲が次々に生まれていった。HAKUEI流エロティシズムが爆発するロックンロール「秘蜜のデザート」は、今後のライヴの定番曲になりそうな予感の盛り上がり。ストレートに聴こえるけれど、楽器隊の絡みあいは複雑で、千聖、O―JIRO、HIROKI(サポートベーシスト)のバンドアンサンブルにも耳を奪われる。

「ファイナルです! 今日は天気がいいですね。いつも10回に7回は足下の悪い中、ありがとうございますって言ってた気がする(笑)」とHAKUEIがオーディエンスを笑わせ、アルバムの曲たちが次々に披露されていく。O-JIRO作曲の「プリンセスアカデミー」は6/8拍子になる展開も含めてドラムの見せ場も満載。そして宇宙スケールの世界が広がるメロディックな「ファンタスティック・ファンタジー」は、千聖のダイナミックなギターも絶妙に絡み合い、これまた新たなPENICILLINの代表曲になりうる名曲だと感じた。そんなアルバムの曲たちにドラマティックで退廃的な「バラ」などの過去の曲が織り混ぜられたセットリストも練りに練られていた。

トークタイムでは変わらぬ光景が繰り広げられた。雨男の千聖がHAKUEIのMCを受けて「オレ、晴れ男なんだよ」と話すと、ファンからはブーイングの嵐。お台場ということもあり、O-JIROがガンダムの中に入れるかという話題で盛り上がり、「ここはダイバーシティなのに、なんでみんな潜水服とかシュノーケル付けてないの?」という千聖のギャグも、もはやPENICILLINの風物詩と化している。そして、そんな空気を一変させたのがHAKUEIのMC。

「アルバム聴いてくれました? 自分で言うのも何ですけど、名盤ができたと思ってます。バンドは今年で22周年を迎えて、気持ちは結成当初と変わらなくて、ホントに音楽が好きで、バンドが好きで……。でも、僕らのまわりや支えてくれるファンが増えて、繋がって……それが一番の変化だと思います。どうもありがとう。今回のアルバムの最後の曲で母の愛について歌った曲を聴いてください」

そんなふうに感謝の想いを伝え、桜が舞い散る季節にピッタリの情感豊かなバラード「優しい声」を披露した。そこからライヴは再び、温度を上げていった。「聖・MARIAN HURRICANE」では千聖とHIROKIがステージ両脇の台にのぼって煽り、スピード感たっぷりのスリリングなサウンドを響かせ「快感∞フィクション」ではHAKUEIと千聖のヴォーカルの掛け合いに血が騒ぎ、「JUSTICE」ではO-JIROがドラム台から立ち上がって煽る場面も。後半に進むに連れ、開放感全開、オーディエンスを引っぱっていき、空気を艶やかに染めあげていくライヴ運びはさすがで、ライヴの鉄板曲「天使よ目覚めて」で本編終了。

そして、アンコールでは幕が開いたとたん、オーディエンスが驚きの歓声をあげるサプライズが。ミラーボールの光が回る中、アルバムの1曲目を飾る「少年の翼」がオーケストラをバックに演奏されたのだ。意外に思う人もいるかもしれないけれど、PENICILLINが生のストリングスを従えて演奏するのは初めてのことだ。これまで過ごしてきた日々を慈しむようなHAKUEIの温かいヴォーカルとバイオリンやチェロの音色と千聖のギターが溶け合う心地よさ。このオーケストラスタイルのまま、大ヒット曲「ロマンス」が披露され、22年目のスペシャルプレゼントがファンに贈られた。

ダブルアンコールでは「最後、もうひと暴れしようか!?」と「Imitation Queen」で爆発。盛り上がりに盛り上がったオーディエンスの熱いコールに応えて、トリプルアンコールでは予定になかった3曲を披露し、HAKUEIはフロアに降りて、みんなとハイタッチ。最後までステージに残った千聖は「終りたくないね。今日は瑠璃色の世界を見られたなと思ってます。ありがとう」とステージを去った。

取材・文◎山本弘子

■<SPRING TOUR 2014瑠璃色のプロヴィデンス>ファイナル
2014年4月12日(土)@Zepp DiverCity Tokyoセットリスト
SE.ツァラトゥストラはかく語りき/リチャード・シュトラウス(2001年宇宙の旅)
1.イナズマ
2.記憶の固執~融けゆく時間~
3.幻想カタルシス
4.秘蜜のデザート
5.プリンセス アカデミー
6.ファンタスティック・ファンタジー
7.LOVE DRAGOON
8.バラ
9.優しい声
10.限りなき夢 限りある春 闇を彩り 満ち欠ける月
11.シリウス
12.聖・MARIAN HURRICANE
13.快感∞フィクション
14.Justice
15.Rosetta
16.天使よ目覚めて
encore
17.少年の翼
18.ロマンス
19.Quarter Doll
encore2
20.Imitation Queen
encore3
21.FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE
22.Desire
23.Fly

■リクエストライブ<REAL FINAL AX>
2014年5月24日(土) SHIBUYA-AX
OPEN 17:00 / START 18:00
1F Standing ¥6,500(税込)
2F 指定 一般価格 ¥7,000(税込)
2014.4/26(土) 発売
※入場時ドリンク代別途必要になります。
※ご入場には3歳以上からチケットが必要になります。
[問]サイレン・エンタープライズ 03-3447-8822(平日12:00~18:00)


◆PENICILLIN オフィシャルサイト
◆PENICILLIN オフィシャルFacebook
◆PENICILLIN オフィシャルTwitter
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