【インタビュー】浜崎貴司「理屈じゃないけど音が持つ力みたいなものをつかまえたいというのが今回のアルバムの目標だった気がします」

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■このアルバムを聴いてくれた人が自分の人生を振り返って
■「今がゴールデンタイムなんだな」と思ってくれたらいい


──踏み込むしかないですね、これからも(笑)。あと、歌詞についても聞きたいんですけど、アルバム・タイトルにもなった1曲目の「ゴールデンタイム」。これは曲が先ですか。

浜崎:いや、アルバム・タイトルが先に決まってて、「タイトル・チューンがあるといいんじゃないですか?」って軽い気持ちで言われて、「そんな軽く言うなよ。でもまぁ一応作ってみるか」って。できなければ11曲でもいいやと思ってたんですけど、「あれ、できちゃった」と。

──この曲があるとないでは、全然違うと思います。

浜崎:そうなんですよ。だから、言ってくれた人には感謝してるんですけど。直接ありがとうとは言ってないですけどね。宣伝の山本さんというんですけど。

──じゃあここで大きく書いておきますか。

浜崎:いいです。調子に乗るんで(笑)。そのうち「あれは俺が作ったようなもんだから」とか言い出すから。

──(笑)ほかの11曲をまとめるような、見事なテーマ曲になってると思います。

浜崎:そうなんですよ。何かの始まりみたいな感じがあってね。

──この歌詞には、どんな思いを込めてますか。

浜崎:このアルバムを聴いてくれた人が、自分の人生を振り返って「今がゴールデンタイムなんだな」と思ってくれたらいいなということですね。いろいろあるけど、そういうことなんだと思ってもらえないかな、と。命あること自体がそういうことだと思うので。

──この曲は「今」ですけど、懐かしむとか、振り返るとか、そういうテーマの曲も多いですよね。青春の日々を描いた「僕は忘れない」「教室」とか。

浜崎:青春がテーマになっている部分はすごくありますね。要するに「時間」というものが、ひとつの大きなテーマにはなっています。それが人生という話にもなるし、そこがどうも気になってるんでしょうね、たぶん。過去をモチーフにした部分もいっぱいあるんですけど、それはパーツの一個なんですよ。

──ああ、確かに。いろんなことがあったけど「今自分はここで生きているんだ」という、そういうメッセージがどの曲からも浮かんできて、それは「時間」のことですよね。時間は残酷だし、同時に優しいという、そこを歌ってくれるのがとても勇気づけられるところだし、同時にものすごくせつなくもあるなぁと思います。

浜崎:忘れられないものをつかまえていく、それが永遠みたいなものにつながるような気がしていたというか、そういうもののしっぽをつかまえるひとつのアイテムになるんじゃない?というふうに、たぶん思ってるんですよね。普遍性みたいなものが、最終的にこのアルバムからあふれ出してこないかな、という願いがあって。その普遍性の中に、青春とか、時間とか、人生みたいなものが、どうしてもモチーフになってくる。そういう作り方だったと思います。

──そういう意味で、ラストの曲「あなたの言葉」は本当に素晴らしいです。

浜崎:喪失していくことと、存在していることが同時にあるというのは、まさに生きるということだと思うので。あなたの声は風でかき消されてしまうけど、それを言ってるあなたはそこにいる。プラスとマイナスが同時にそこにあるみたいな、そういう曲ですね。ほかの曲もそうなんですが、それがこのアルバムで自分が描きたかったひとつのポイントだった気はします。で、結末はないということなんですよね。結末を描くのはつまらないというか、普遍的にはならないなと思うので、常に結末は避けていく。というか、もともとないんですよ、結末なんて。それをちゃんと歌うということですね。

──「風に吹かれて」ですね。答えは風に舞っている、と。聴く人や世代によってたぶん受け取り方が変わりそうなところが、このアルバムが普遍的な音楽である証だと思います。個人的には今のところ、哀感がずっしりと身にしみる感じですけども。

浜崎:この間、いつも行ってる飲み屋で、聴きたいっていうからアルバムをかけたら、1曲目ですごい盛り上がってましたけどね。誰かと一緒にいる時の自分って、また違う自分だったりするじゃないですか。そういう時には盛り上がれる曲があったり、ひとりぼっちの時にはほかの曲がよかったり。今回、いろんな方にインタビューを受けてるんですけど、みなさん全然違うんですよ。「これがよかった」という曲が。それはうれしいなぁと思いますね。

──ですね。

浜崎:僕は全部に入魂したつもりなので、どれもすべていとおしいんですけど。でもやっぱり、最初に作った「あなたの言葉」ができた時に、そしてそれを録音した時に、「すげぇいい曲できたな」と思いましたね。チャボさんがたまたま「ガチダチ」のセッションの打ち合わせで、「どんな感じでやってるの?」って言うので、「あなたの言葉」をパソコンのちっちゃいスピーカーで聴いてもらったんですけど。「こういう曲ができたら安心だね」って言ってました。

──感じたんですね。手応えを。

浜崎:こういうのがあればアルバムも安心だねって。そこからすげぇ長かったですけど(笑)。できてよかったです。

──6月19日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのリリース記念ライブは? ひとりでやりますか。

浜崎:コーラスは入れようか、とか。どうしようか、今考え中です。

──そしてライフワークの弾き語りツアーも、相変わらずたくさんやっているので。最後に、ライブへのお誘いのメッセージを。

浜崎:ライブで一番気にしてるのは、帰りに、本当に楽しかったと思うことなので。そこにはいろんな感情が含まれるんですけど、最後は楽しかったというような、そんな夜を提供するように頑張ってますので、ぜひ一度足を運んでもらえたらと思ってます。

取材・文●宮本英夫


『ゴールデンタイム』
2014.04.23発売
VICL-64153 \3,000+税
01.ゴールデンタイム
02.家族
03.僕は忘れない
04.今夜カギリ
05.ショーウィンドウの影
06.so-mo so-mo
07.砂糖きび
08.果てしないスケッチ
09.さよならは終わりではなく
10.MY SUMMERTIME BLUES
11.教室
12.あなたの言葉

レコ発ワンマン「ゴールデンタイム」
6月19日 東京 shibuya duo MUSIC EXCHANGE

<弾き語りツアー“LIFE WORKS LIVE ~Since2011/終わりなきひとり旅”>
2014.05.23 (金)福岡 cafe Teco
2014.05.24 (土)熊本 ROLL CAFE
2014.06.05 (木)静岡 浜松エスケリータ68
2014.06.06 (金)愛知 名古屋りとるびれっじ
2014.06.08 (日)和歌山 OLD TIME
2014.06.10 (火)大阪 cafe Room
2014.06.11 (水)大阪 cafe Room
浜崎貴司誕生日スペシャル!ゲスト有
2014.07.11 (金)岡山 城下公会堂
2014.07.12 (土)広島 尾道 OYE COMO VA
2014.07.13 (日)愛媛 松山スタジオOWL
2014.08.01 (金)石川 金沢もっきりや
2014.08.02 (土)富山 村門 lazy loft
2014.08.03 (日)福井 CHOP
2014.08.16 (土)青森 CRAZY HORSE SALOON
2014.08.17 (日)秋田 カフェ・ブル-ジュ
2014.08.19 (火)宮城 SENDAI KOFFEE CO.
2014.08.20 (水)山形 Noisy Duck
2014.08.22 (金)福島 いわき burrows


◆浜崎貴司 オフィシャルサイト
◆レーベルサイト
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