宇多田ヒカル、移り変わりの早い時代の中でも輝き続ける5つのライブ映像

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1998年12月にシングル「Automatic/time wiil tell」でデビューし、数多くのヒット作を放ち続けてきた宇多田ヒカル。1stアルバム『First Love』が900万枚を超える前代未聞のセールスを記録するなど、いくつもの大記録を打ち立ててきた彼女は、その才能を誰もが認めている日本を代表するシンガー・ソング・ライターと言えるだろう。また、「人間活動に専念したい」と、2010年末から現在に至るまでの約3年半は表立った音楽活動を行っていないにも関わらず、彼女の音楽は愛され続け、本格的な音楽活動の再開が待ち望まれている。WOWOWで6月から3ヶ月連続で放送が予定されている宇多田ヒカルのライブ映像5作品は、あらためて宇多田ヒカルというアーティストが唯一無二の存在であることを再確認できるライブ映像であり、宇多田ヒカルの楽曲が、この移り変わりの早い時代の中でも輝き続けていることを証明してくれるはずだ。

◆宇多田ヒカル~拡大画像~

●「Luv Live」Zepp Tokyo

デビュー・シングル「Automatic/time will tell」、2ndシングル「Movin‘on without you」がロングセラーを続け、1stアルバム『First Love』が発売から1週間で100万枚を超えるセールスを記録するなど、宇多田ヒカルへの注目度が日を増すごとに高まる中で大阪(梅田HEAT BEAT)と東京(Zepp Tokyo)で行われた「Luv Live」。デビュー前に人前で歌った経験がほとんどなかった宇多田ヒカルにとって、このライブは正真正銘の記念すべきファースト・ライブとなった。初めてづくしのステージに高揚している姿や飾り気のないMCからは、等身大の宇多田ヒカルが見えてくるが、ひとたび歌い始めると、その表情は“歌姫・宇多田ヒカル”へと一変。圧倒的な存在感を持った歌声と歌唱で観客を魅了した。また、スペシャル・ゲスト、スチャラダパーとセッションした「今夜はブギー・バック」も見どころのひとつ。宇多田ヒカルのライブの原点を、ぜひチェックしてほしい。

●「BOHEMIAN SUMMER 2000」千葉マリンスタジアム

デビューから約1年8ヶ月後にようやく実現した初の全国ツアー「BOHEMIAN SUMMER 2000」は、宇多田ヒカルにとって初のアリーナ・ツアーだったが、追加公演の千葉マリンスタジアム(9月21~23日)のみ野外ライブとなった。というのも、チケットが入手できない人たちがあまりにも多くいることを知った宇多田ヒカルからの提案で、急遽、追加公演が決定したといういきさつがあったからだった。会場の確保はもちろんのこと、バンド・メンバーのスケジュール調整など、様々な問題をクリアしなければ実現できなかった追加公演は、いくつもの奇跡が重なったからこそ実現できたライブと言っていいかもしれない。全国ツアーのファイナルということもあり、メニューにはa-ha「Take On Me」、尾崎豊「I LOVE YOU」、山口百恵「プレイバック・パート2」など、何曲もカバーを盛り込み、「Wait&See~リスク~」では、この楽曲のプロデュースを手がけたJam&Lewisが登場するなど、スペシャルなパフォーマンスが満載。デビューからまだ1年半ほどしか経っていない“新人"が、初スタジアムのライブで何万人ものオーディエンスを前に立つプレッシャーは相当なものだったと思うが、そんな不安を感じさせないほど、のびのびとパフォーマンスするその姿はとても頼もしく、初アリーナ・ツアーでひとつひとつのライブ積み重ねてきた経験が集約したファイナル公演らしいステージを作り上げた。

●「Utada Hikaru in Budokan 2004 ヒカルの5」 日本武道館

「ヒカルの5」というライブ・タイトルは、デビュー5周年、日本武道館5DAYS、そして、宇多田ヒカルがマンガ「ヒカルの碁」のファンだったこともあって、そう名付けられた。選曲はバラエティに富み、デビュー当時のシングル曲はもちろんのこと、2001年から2003年にかけてリリースしたシングル曲、これまで発表した3枚のアルバムからピックアップされた楽曲が並んだメニューからは、15歳から20歳までの約5年間の宇多田ヒカルの軌跡が浮かび上がってきた。宇多田ヒカルは決してライブ経験の多いアーティストではない。しかし、このライブを見ると、彼女が“アーティスト・宇多田ヒカル”としてやりたいライブのイメージを、より明確に形にできるようになっていることに気づかされるだろう。武道館のような大会場で行うライブでありながら、その舞台セットはとてもシンプル。まさに、宇多田ヒカルと音楽をストレートに感じられるライブがここにある。

●「UTADA UNITED 2006」さいたまスーパーアリーナ

4thアルバム『ULTRA BLUE』がリリースされた約3週間後にスタートした、2度目の全国ツアー。約2ヶ月間で全国11ヶ所22公演を行ったこのツアーは、宇多田ヒカルにとって最大最長規模のツアーとなった。全国ツアーは約6年ぶりということもあり、デビュー曲から最新シングルまでのヒット曲がずらりと並び、そこにUTADA名義で2004年に欧米で発表したアルバム『EXODUS』からピックアップした英語詞の3曲をメニューに盛り込んだステージは、まさに“宇多田ヒカル”と“UTADA”をUNITED(融合)させたものになった。また、曲に連動した映像や鮮やかな照明など、エンタティンメントな演出が作り上げる華やかさと相反するようなアルバム『ULTRA BLUE』のデイープでパーソナルな世界、宇多田ヒカルの音楽が持つ陰と陽をひとつのライブに見事に共存させたライブになった。

●「WILD LIFE」横浜アリーナ

2010年8月に、「人間活動」を理由に年内で音楽活動を一旦休止すると発表した宇多田ヒカル。その発表から約4ヶ月後、活動休止直前に行われた横浜アリーナ2DAYS公演は、これまでのステージとは明らかに異なる景色を持っていた。アリーナフロアの中央に設えられた360度観客に囲まれた円形ステージは、今の私をすべて見てもらいたいという思いを形にしたものだった。デビューから12年という月日を思えば、宇多田ヒカルはライブ経験がとても少ないアーティストだろう。けれど、曲ごとに多彩に変化するライブ・アレンジの中で、繊細かつ力強く歌声を響きかせ、全身でオーディエンスを受け止めている姿には、ライブにおける宇多田ヒカルの大きな成長と進化を感じることができた。この横浜アリーナ公演は、確かに宇多田ヒカルとして歩んできた12年間の道のりを一旦締めくくるライブではあったが、いつの日か活動再開をするとみんなに約束をしたライブであり、新しい旅立ちの始まりでもあった。そんな終わりと始まりを刻んだライブが、12年前に宇多田ヒカルがデビューする前日の12月8日とデビュー日の12月9日に行われたというのは、とても感慨深い。

文●松浦靖恵

3カ月連続!宇多田ヒカル LIVE 5作品、WOWOWで一挙放送
<ラインナップ>
・宇多田ヒカル「Luv Live」 6月8日(日)午後3:00
・宇多田ヒカル「BOHEMIAN SUMMER 2000」 6月8日(日)午後4:15
・宇多田ヒカル「Utada Hikaru in Budokan 2004 ヒカルの5」 7月放送予定
・宇多田ヒカル「UTADA UNITED 2006」 7月放送予定
・宇多田ヒカル「WILD LIFE」 8月放送予定

◆放送チャンネル
WOWOWライブ(BS192ch)

◆WOWOW特設サイト
◆オフィシャルサイト
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