【インタビュー】Charisma.comが明かす“社会VS自分”の本音。 「自分から行動するきっかけになってもらえたら」

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昼間はそれぞれ会社員、夜と休日はエレクトロラップユニット。いろいろ個性的で何かと愉快で、各方面から絶賛されているCharisma.com(カリスマドットコム)。『アイ アイ シンドローム』で衝撃のデビューを果たしてから約1年、待望の1stフルアルバム『DIStopping』が発表された。尖ったところはますます鋭利に、前作にはほとんど見られなかった透明感や柔らかさは新鮮なスパイスとなり、実に幅と奥行きが感じられる作品に仕上がっている。確かにエレクトロだし、明らかにラップなのだけど、今作で開け放たれたドアの大きさを思うに、これは正真正銘のポップミュージックだ。

◆レコード会社がOLとして私たちを売り出したなら、その型にはまって行こうと思ってて。
実は「それはちょっと違うと思います」とか案外言えないタイプなんです


──前作『アイ アイ シンドローム』から約1年、Charisma.comを取り巻く環境はずいぶん変わったと思うんですけど。

いつか(MC):そうなんですか?変わったのかどうか、ちっともわからないです。人に応援してるとか言われて、ありがたいなぁと思うくらいですかね。相変わらず実感はないんですよね。まぁでも、OLとして打ち出されたなら、その期待には応えていこうと思って。

──え。えっと、誰がOL?

いつか:え? あの、私たちが。

──そんなにOLの肩書きを前面に打ち出した感じではなかった気が。

いつか:あ、そうなんだ?そうなんですね!?

──だって2人とも、丸の内のオフィス街を歩いていたら浮くでしょ?

いつか:はい。だって今の会社でさえ浮いてますから。

──OLの制服が衣装だったわけでもないしね。

いつか:ほんとですね!?

ゴンチ(DJ):そうだね、言われてみれば。むしろ世の中のOLさんたちに怒られるかもしれない(笑)。

いつか:そこから間違ってたのか。ま、でも最初は、レコード会社がOLとして私たちを売り出したなら、その型にはまって行こうと思ってて。実は「それはちょっと違うと思います」とか案外言えないタイプなんです、私。

ゴンチ:生真面目なので。

いつか:だから今回のアルバムは当初、OLの1週間的なコンセプトアルバムにしようか、と。ただ、1曲で挫折しましたね。2曲目を書こうとしたら、なんか書けなかった。

──ああ、「no datte」ですね。日曜日のOLの歌。

いつか:そうです、あれ書いて終わったんです、もうダメだ~って(笑)。

ゴンチ:OLなのに、会社に行く前に終わっちゃった(笑)。

いつか:そこからは、自分が書きたいものを書こうってところに戻って、こうなりました。けっこう煮詰まって、時間が足りなくて、すごい大変だったんですけど。

◆白黒はっきりつけられない自分がいて、半端だな、
グシャグシャだなっていうところから抜け出せなくて


──資料には“社会vs自分”がテーマである、と。つまり、今作も本質に忠実に作られたということですね。

いつか:はい、そうです。今考えてることを歌ってます。

──相変わらず怒りスイッチはオンになったままなんだけれど、前作に比べるとやさしさの割合が多くないですか?

いつか:たぶん、迷いがあったからだと思います。『アイ アイ シンドローム』は、楽曲それぞれに描いた物語が全部過去のことだったんです。だから振り返りつつ、今現在の自分はこう思ってるよっていうことを冷静に書けたんですね。今回はリアルタイムで見えたことを、答えが出てないままに書いたんです。毒を吐いてはいるけれど、それに対しての自分の答えさえ出てなくて、消化もできてないんですね。その迷いがやさしさに感じてもらえるのかな。でもまぁ、要は振り切れてないんですよね。

──発言がことごとくマイナスプロモーションになってますけど。

いつか:そうですね。でも、過渡期なんです。

──過渡期を残せるというのも、音楽のいいところです。

いつか:自分でもそう思ってます。なので、ディスをストップするのかトッピングするのか、迷ってるのがそのままタイトルに出ちゃった感じです。白黒はっきりつけられない自分がいて、半端だな、グシャグシャだなっていうところから抜け出せなくて。

ゴンチ:葛藤してるなってところは曲からも感じますよね。例えば「イイナヅケブルー」を聴いても思うことなんだけど、情に厚い人間だから、いろんな人のことを考えちゃうんだと思うんですよね。自分のことよりも他人を考えがち。

いつか:そうじゃないと動けないんです。自分のために立ち上がるって、ちょっと難しい。

──うん、つまり己よりも、友だちをディスられるほうがムカつく。

いつか:そういうことですね。自分が大事に思っている人に何かされるとスイッチ入ります。

ゴンチ:いつかは最近、胃の調子が悪いらしいですよ?

いつか:散々ディスったあとに、なぜか傷ついたりします。自分に返ってきちゃう。っていうのが今回のアルバム。でも、ここ過渡期ですから、それはそれで正直な迷いのアルバムなんですよね。楽曲の登場人物に自分を重ね合わせてしまったので、結果そうなった気がしないでもないんですけど。

──より自分が色濃く出た?

いつか:そうだと思います。今、それしか書けなかったんです。自分に見えてるものしか書けないですしね。

──裏を返せば適当なことは書けないということで、そこに生真面目さを感じますね。

いつか:もうちょっと気楽にやれないものかと、自分でもそう思うんですけどね。だから、面白さでいったら前作のほうがユーモアは効いてると思うんです。今作はそういう意味では、重い作品になったな、と。理想でいうと、ユーモアをもって毒を吐きたいんだけど、これが“今”なので、当然ですけど納得してます。

──ただ、音楽的にはぐっと底上げされていると思いますよ。振り幅もずいぶん大きくなったし。

いつか:幅を広げていくっていう、それしかやりようがなかったんですよ。

──コーラスワークも多いですよね。

いつか:曲を作ってて、最初にメロディが浮かんだことが多かったんです。ラップのサビというよりも、歌メロみたいなのが多かった。でも私そんな歌唱力がないんで、かぶせてハモって広げるしかなかったんです。

──制作の仕方が消去法すぎますけど(笑)。

いつか:そうなんです(笑)。

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