【インタビュー】滴草由実、10周年記念ベストアルバム発表「自分の歌が生きる力に」

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■自分にとって耐える期間だった“冬”を越えた
■桜が咲くように前向きな気持ちで一歩を踏み出すという思い

──一方、DISC2のオープニングナンバー「dope」は新曲ですが、自身のナンバー「Rock in the club」をサンプリングしているという面白いアイデアも。

滴草:はい。「Rock in the club」は2ndアルバム収録曲なんですけど、ベストに入れる曲を選んでいるときに、感覚的にカッコよくなるんじゃないかと思いまして。

──この曲は、“媚びてるだけのいい子ちゃんはあたしにはいらない”という強烈な歌詞が……滴草さん、結構辛辣な歌詞を書きますよね。『A woman's heart』でもそう思いましたけど。

滴草:なんかたまに、ぶっちゃけちゃいますね(笑)。「dope」のトラックをいただいたときから、中途半端よりは行き切ったほうが良いなと。歌詞も、メロディに関してもそうですけど、遊び心を持って作っていきました。“媚びてるだけのいい子ちゃんはあたしにはいらない”というフレーズを書いたとき、自分自身ぶっちゃけ過ぎたかなとは思ったんですけど、ま、「dope」(※カッコいい/深いという意で使われるスラング)だから良いかと(笑)。歌詞は、音からできることが最近は多いので、音も引き立つようなメロディの作り方とか、言葉の選び方とかは意識していますね。

──「dope」と対照的なのがDISC2の11曲目に収録された新曲「さくらのぬくもり」です。

滴草:“和”の雰囲気が入った心憂い曲の中にも、前向きなメッセージを入れたいなと思って2013年の春に作ったナンバーです。ちょうどその頃に、自分にとって大切な存在だったおばあちゃんが亡くなってしまったんです。いつかまた私自身がスタートしたら、生歌を聴かせる機会を作りたいと思っていたんですけど、それが叶わなくて。でも、地元の鹿児島でおばあちゃんを最後に見送るとき、この曲が自然と流れてきたんですよ。その日は桜が満開で。涙が止まらなかったんですけど、おばあちゃんから前に進むという意味のメッセージをもらった気がするんです。それから東京に戻って、その時の思いを込めて後半の歌詞を書きました。

──自身の現在を歌った曲でもあるわけですね。

滴草:やっぱりそれまでの間は、自分にとって冬というか耐える期間だったんです。でも、冬を越えた。その経験を活かして、桜が咲くように自分自身が前向きな気持ちで一歩を踏み出すという思いも込めています。個人的におばあちゃんへの気持ちもありつつ、自分のスタートでもあるという。

──それがすごく伝わりました。では、リアレンジバージョンの2曲について。「Don’t you wanna see me<oh>tonight?」のリアレンジバージョンが「don't u wanna c me<oh>tonight ? ~ReArr ver.~」だったり、「TAKE ME TAKE ME」のリアレンジバージョンが「take me take me ~ReArr ver.~」だったり、原曲とはタイトルの綴りを変えたという遊び心も。まず、2003年リリースの「Don’t you wanna see me<oh>tonight?」をリアレンジした理由は?

滴草:まずデビュー曲であるということ。それに、この曲に私のイメージを強く持ってる人もいると思ったし、今との変化を一番出せそうな曲だったので。感覚的に、ファンクっぽくしたらすごくカッコよくなりそうだなと思ったので、この曲はすぐにリアレンジの方向性が決まりました。原曲の冒頭からサンプリングしていたり、コーラスワークを全部崩して作り直しました。今の滴草由実がこの曲を歌ったらどういう表現になるかということが、自分でも楽しみだったので、原曲は一切聴かずに1から作ったんです。

──原曲にはスクラッチが入ったりしていますけど、当時はヒップホップやクラブシーンを意識していたんでしょうか?

滴草:あんまり意識していなかったですね。むしろ言葉とか自分の歌を一生懸命突き詰めるというところを考えてました。

──リズムアレンジもだいぶ変わりましたし、歌うのが難しかったんじゃないですか?

滴草:部分的に難しいなと思ったところはコードを変えたりしましたね。元のイメージがあるので歌を崩すというのは難しいところもあったんですけど、そこはトラックを作ってくれた方といろいろ試しながら。

──「TAKE ME TAKE ME」のリアレンジバージョン「take me take me ~ReArr ver.~」はダンスホールレゲエに変化していてビックリしました。

滴草:こっちは本当にノリが全然違って、難しいなと思いましたね。歌の主旋律のフレーズが決まらないと自分で入れるコーラスも決まらず、みたいな(笑)。何回も家で試しました。結果、サビのキャッチー感は残しつつ、それ以外はよりクールになるように作ったんです。この曲はリズム以外、全部10年前の原曲素材(ギター、シンセベース、ストリングス)を使って、トラックを制作しているんですよ。それと現代のリズムと合わせているんです。

──2曲ともリアレンジというよりは新曲みたいな変化ですよね。

滴草:そうですね(笑)。もう別物になるくらいがいいなと思っていたので。原曲を知っている人には違いを楽しんでもらえると思いますし、初めて聴く人には新曲として聴いてもらえたら。

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