【インタビュー】滴草由実、10周年記念ベストアルバム発表「自分の歌が生きる力に」

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■5thシングルに“10年後のわたしたち なにしてるかな”という歌詞が
■それから10年が経って、再びスタートできたことがうれしい

──過去の曲に関しては、1曲ごとの制作過程をすぐに思い出せるものですか?

滴草:結構フラッシュバックしましたね。曲順やクレジットを見ていると、走馬灯のように10年間がばっと振り返ったし。感慨深くて。支えてくれる人たちがいて、ここまでこれたんだなということを痛いくらいに感じました。

──その中で、滴草さん自身が特に思い出深い曲というと?

滴草:もちろん全曲に思い入れがありますよ。あえて挙げれば、「証」と「アルバム」が真っ先に浮かぶかな。「証」は結婚する姉へ向けて書いた曲なんです。私が凄く辛かったときにメモしていたサビをそのまま使っていたり、自分の存在意義とかを考えていた時期の曲でもあります。カップリングなんですけど、私も凄い好きな曲だしファンの方たちからの支持も高くて。これまでどんなことがあっても自分の支えになったのはファンの人たちの声だったので、そういう人たちの声を取り入れたいと思って収録した曲です。「アルバム」は10年を振り返って書いた曲なので、やっぱり思い入れが深いですね。

──ワイクリフ・ジョンと共演した「I’m in Love」も収録されていますが、滴草さんはもともと、彼とグループ(The Fugees)を組んでいたローリン・ヒルが好きだったんですよね?

滴草:そうです。この曲はワイクリフ・ジョン側からいただいたお話で。アジアの女性シンガーと一緒にやりたいというコンセプトを立てて、いろんな女性シンガーの中から私を選んでくださったそうなんですね。だから、そのお話をいただきたときは、「えぇっ、マジですか!?」っていう感じで(笑)。連絡をいただいてから、すぐNYへレコーディングしに行ったんですけど、実感もそんなに沸かないままで、後々凄いことだったんだなって(笑)。

──レコーディングはどんな状況でした?

滴草:まず、ワイクリフの実家に行ったんですけど、ワイクリフのママもハイチから飛んできてくれたりして。音作りとかレコーディングは、ワイクリフの妹弟であるメルキー&セディックとほとんど一緒に行いましたね。で、レコーディングスタジオは、ローリンが『ミスエデュケーション』を作ったところ。当時、彼女がレコーディングに行く前には必ずジャージに着替えて、ワイクリフのママの手料理を食べていたそうで、その通りにしてくれたんですよ。ママの作ったスペアリブとかをわんさか食べましたから、日本に戻る頃にはこんなに太りましたけど(笑)。空気感とかスタジオの作りや音も日本と違ったし、影響を受けましたね。

──その後の楽曲制作にも影響が?

滴草:直後にリリースしたシングルが「花篝り」なんですけど、この曲は凄く“和”なんです。本場のアーティストと触れ合ったことで、私自身が日本を意識したというか。日本人から出るソウルとかカラーが出せたらどんな風になるんだろうという気持から挑戦したのが「花篝り」だったんです。この曲で私のことを知ってくださった方も多かったですし、この曲も思い入れがある曲のひとつですね。

──2008年のシングル「CALLING ME」からはご自分で作曲した作品も発表していますが?

滴草:作曲自体は10代の頃からやっていたんですけど、アルバム『THE PAINTED SOUL』(「CALLING ME」収録)あたりからステップアップした自分を見せたいというのもあって。自分でイメージしたことは自分で作るのが一番早いですし、そういう楽しさも知っていたので。もう楽しくて、曲を作りたくて走って帰るような感じ(笑)。曲作りに目覚めた感じでしたね。

──音楽的な嗜好の変化も10年を総括したアルバムに収録されていますね。

滴草:はい。昔よりいろいろな感じ方ができるようになったかもしれないですね。根本的なところは変わらないですけど、考え方とか価値観はだいぶ広がったというか。表現の仕方とか許容範囲が広くなったと思います。

──それはベストアルバム制作で、改めて実感した部分でもありますか?

滴草:10年はいろいろとあったので長かった気もしますけど、この作品を作ることができたことで、苦労も報われた感じがします。今までの経験を自信に変えて、これからの10年を新たにスタートする区切りのときだと思うし、より音楽を楽しむときなんじゃないかな。5thシングル「Missing you」の歌詞には、“10年後のわたしたち なにしてるかな”というフレーズがあるんです。それからちょうど10年が経って、『A woman's heart』という新たなアルバムで再びスタートできたことがうれしいんですよね。

──10年前の自分に聴かせたい、誇らしいベストアルバムでもありますね。

滴草:10年前の自分は“10年後も歌を歌っていたい”という思いが強かったので、このベストアルバムを手に取った時は凄く感慨深かったですね。諦めずにやってきたからこそ、この作品があるし、重みがあると思います。10年以上ファンでいてくれる方々もいらっしゃるので、「この曲のときは学生で」とかそれぞれの思い出を重ねてくれたらうれしい。

──それが、滴草さんの歌う理由でもある?

滴草:自分が歌い始めた理由は、“誰かのために”ということなんです。自分が歌に救われたように、自分の歌が生きる力になれたなら、それが自分の生きる意味になると思うし、そうなれたら幸せだと思っています。迷ったり立ち止まったり、上手くいかなくて悩んでる人たちの力になれたらという思いでこれからも歌っていくと思います。

──アルバムタイトルの『#10 story ~Best of Yumi Shizukusa~』には、自身の音楽変遷的なストーリーはもちろん、ファンと歩んできたストーリーも封じ込めらたわけですね。そのアートワークはSTOIQUEが手掛けたものですが、ここにも物語があるような。

滴草:ジャケットのカバーには私が写っているんですけど、そのカバーを取ってジャケットが姿を表したときに私が消えて、イスと黒い羽根が舞っているという。新しい滴草由実が舞い降りたというイメージを表現したものです。ジャケットの中では、今までの道程を階段で表していたり。STOIQUEの方々には最初の打ち合わせでイメージを黒にしたいことは伝えていまして。黒って何色を混ぜても黒になる。その唯一無二な感じが、自分にしか出せない音楽と重なっていいなと。洗練されたイメージは音にも反映させたかったですし、「スタイリッシュにお願いします」という風にお伝えしました。

──ベストアルバム発売後にはライブの予定もあるそうですが?

滴草:『A woman's heart』をリリースしたときに、ライブを観たいという声も多くいただいて。これから期待に応えられるような活動をしていけたらなと思っています。CDだけじゃなくて生の歌声を聴いてもらいたい。そういう思いもあってベストアルバムの最後に「I don’t Love You @目黒BAJ 2014.03.28」を入れているんです。

取材・文◎岡本貴之


■ベストアルバム『#10 story ~Best of Yumi Shizukusa~』
2014年6月11日(水)発売
VNCM-9022~23 ¥3,500+税
<DISC.01>
01. Rainy
02. don't u wanna c me <oh> tonight ? ~ReArr ver.~
03. take me take me ~ReArr ver.~
04. I’m in Love (featuring Wyclef Jean)
05. 証
06. I still believe ~ため息~
07. Missing you
08. 心はいつもRainbow Color
09. Lucky Girl
10. 時よ
11. 花篝り
12. 眠れぬ少女
<DISC.02>
01. dope
02. Don’t you wanna see me <oh> tonight?
03. TAKE ME TAKE ME
04. 砂になる言葉
05. 君の涙を無駄にしたくない
06. 傷ついても
07. GO YOUR OWN WAY
08. CONTROL Your touch
09. CALLING ME
10. Keep it Love
11. さくらのぬくもり
12. アルバム
13. I don’t Love You @目黒BAJ 2014.03.28

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