【インタビュー】柴咲コウ、新作「ラブサーチライト」と音楽活動10年を振り返る

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◆振り返ると愚かだったなと思いますよ。大人になった今のほうが
全然楽しんでるし、今のほうが生きやすい


――ダメダメ。まだここは戦っていきましょう。では、シングル「ラブサーチライト」のお話を。曲は最初から内澤さんにオファーしようと?

柴咲:何曲か候補があったなか、みんなも自分も一番気に入ったのがこれだったんです
。―
―この曲は“ずっと”、“遠く”をループするところが肝だと思うんですが。ここにはめる言葉はすぐに閃いた感じですか?

柴咲:ここは同じ言葉をループさせたほうが歌的にもいいなというのは思ってたんですけど。歌詞は、最初に書き出したときはネガティブなところから始まっていたんですが“コナンなのにネガティブじゃだダメダメ、希望の歌にしなきゃ”ってことで1番と2番を入れ替えてみたり。パズルのように並べ替えをして、けっこう難しかったんです。コナンだから難しい言葉も使いたくなかったので、ループする言葉も簡単な言葉にして。歌詞の内容はそのまま映画のことを書くのではなく、少し曖昧にすることでいろんなことに当てはめやすいようにしています。

――この曲のミュージックビデオはどんなテーマで撮影したものなんですか?

柴咲:タイトルの“ライト”というのは、ずっと照らし続けるとか、探し当てるという希望なので、明かりをテーマに、特殊なライティングで撮影しました。バトンみたいな棒はバーサライトというんですけど。それを振っていると、信号を受けて文字を描き出したりするんです。実は私、小学校の頃にちょっとだけバトンクラブだったから(笑)。

――えっと……、誰が?

柴咲:私が(笑)。バトンを振り振りしてたんです。だから、手首は結構柔らかいんですよ(笑)。

――バトンに興味があったんですか?

柴咲:友達がやりたくて、誘われたときに“んんっ……いいよ”って断れなくて入ったんです。バトンクラブは運動会のときに前のほうで振り振りしなきゃいけなくて、目立ちたくないのになんでこんなことしているんだろうって思ってたんですけど。とはいえ、スカートがはけたからよかった、みたいな(笑)。

――じゃあ、そのときに培った手首の柔らかさが、今回の映像に生かされていると。

柴咲:はい。何十年ぶりにですけど(笑)。

――その頃と較べるとコウちゃんも大人になって、少しは大人しくなってきた。

柴咲:全然大人しくなんてなってないですよ(笑)。なるつもりもないですし。“大人”と“大人しく”は違うでしょ? 大人というのは自分の扱いが分かることで、大人しくというのは周りを気にして静かにしているだけですから。全然意味が違うじゃないですか

――鋭いツッコミ……まさにおっしゃる通り。では、自分の扱いは分かってきました?

柴咲:10年前よりは遥かに分かってきました。10年前は自分は自分を生きているんだって必死になっていましたけど、上手いこと自分を生かせていませんでしたから。振り返ると愚かだったなと思いますよ。大人になった今のほうが全然楽しんでるし、今のほうが生きやすい。

――10年前の自分とどんなところが変わりました?

柴咲:人間関係に関しては、諦めなくなりました。前は“嫌だ”って一言いって閉ざしてたんです。自分を傷つけないために。でも、今は“まぁいいや”って。もちろん今だにいちいち小さなことに傷つくけど、許容範囲は広くなった気がします。

◆私は男に生まれた方がよかったんですかね(笑)
でも、女に生まれたからには、そこには意味があると思う


――コウちゃんはすごく人との関わりをディープに分析したような歌詞を書きますけど。
基本、すごく人が好きですよね?

柴咲:好きです(きっぱり)。ここはいまだにうまく説明できないんですけど、(人に対して何かを)してあげたいって気持ちがすごく強いタイプではあるんですよ。それはある意味お節介でもあるんだけれども、してあげたいと思って何かをしたことで拒否されるか受け入れられるかは分からないけど、どちらでも自分は学べるので。人付き合いは“学びの場”だと思っていますね。

――なんで人に何かをしてあげたいと思う気持ちが自分のなかから溢れ出るんだと思います?

柴咲:なんででしょうね……慈愛?(微笑)困ってる人を見ちゃうとダメなんです。でも見返りは期待してないです。

――愛されるより愛するほうだ。

柴咲:愛するタイプですね。恋愛でも友情でも、その人が愛されて(気持ちが)豊かになっていくことに幸せを感じるタイプ。それは、自分が愛されてそうなることを知っているから。

――コウちゃんの人になにかをしてあげたいとう気持ちの根本には、人を幸せにしてあげたいという思いがあるんですね。柴咲:そうですね。だから、女のコの友達の誕生日とかもいろいろお祝いを考えちゃうんですよ。プレゼントも1つだけじゃなくて3個セットすれば3回喜べるじゃんって3つあげたり(笑)。

――それで「コウちゃんみたいな彼氏がいたらいいのに」とか言われるんでしょ?

柴咲:言われる!!!! それよく言われます(笑)。私は男に生まれた方がよかったんですかね(笑)。でも、女に生まれたからには、そこには意味があると思うんですよね。

――というところで話をシングルに戻しまして。次はカップリングの「誓い」について。

柴咲:これは、男だったら……という今の話じゃないですけど、男性目線で歌詞を書いてるんです。意外と臆病なんだよねって。男性のほうが、そうやって踏みとどまってしまうことってあるのかなと思いながら書いた歌詞です。

――内澤さんとはこれまでも作品を作ってきていますけど。彼が作る曲をコウちゃんなりに分析すると?柴咲:ライブで歌っていて何より気持ちいいんです。感情がすごい乗るんですよ。お互いの心の中のガラス細工みたいな部分、形は分からないですけど刺激を受けるポイントというのが似ているところにあるんだと思うんですよ。と、私が勝手に思ってるだけですけどね。

――なるほど。内澤さんとのコラボ以外には、DECO*27、TeddyLoidとのエレクトロ・ダンスユニットgalaxias!があり、そこから派生したgalacoをコウちゃんプロデュースのボカロに仕上げて『galaco SUPER BEST』を出したり。ネットカルチャーとのコラボも積極的にやってますよね。

柴咲:ネットカルチャーは自由なところがいいんですよ。素人もプロも関係なく、いいものがいいという世界がいいですよね。“なにそれ、知らない”という新しいものは、何でも1度はやってみたいんですよ。

――そのなかでも斬新すぎると思ったのは、以前、トランス界の大御所、あのJuno Reactorとシングル(「Intoxicated」)を作り、ライブで共演したこと。びっくりしましたよ。

柴咲:そうなんですよっ! 18歳から好きだった人と同じ舞台に立ったこと、Juno のステージで一緒に歌ったこと、不思議でしたけど、本当にうれしかったです。

――では最後に、ここまで役者と平行して音楽を続けてくるのは大変でした?

柴咲:簡単ではないんですよ。結果として大成していれば“簡単だったわ”と言えるのかもしれないですけど、まだまだ発展途上ですから。

――日本武道館ライブがやれても、まだまだという感じですか?

柴咲:はい。あれができたのは奇跡だなと思うので。まだ“あのときはよかった”というのではないです。だから、今後ももっともっと曲を作って(発展して)いかないとですね。

インタビュー&文◎東條祥恵


◆柴咲コウ オフィシャルサイト
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