【インタビュー】タンカード、「日本のメタル・キッズ全員と“カンパイだ”」

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ジャーマン・スラッシュ・メタル四天王の一角をなすベテラン・バンド、タンカードが16作目となるアルバム『R.I.B.』を発表した。攻撃的なスラッシュ・メタルとユーモア、そしてありったけのビール愛を込めたサウンドは健在だ。往年の名キャラ“クレイジー・プロフェッサー”を蘇らせ、メタルによる世界泥酔化計画を企むタンカードのボーカリスト、アンドレアス“ゲッレ”ゲレミアが語ってくれた。

◆タンカード画像

──ニュー・アルバムでは、どのような音楽性を志しましたか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:タンカードのスタイルはいつだって、スラッシュ・メタルと楽しさを共存させるというものだ。攻撃的なスラッシュ・メタルの中にも、常にユーモアがある。『R.I.B.』は、ここ数枚のアルバムでは最もストレートなものだと思う。曲は短く、5分以上の曲は2曲しかない。「ウォー・クライ」「エネミー・オブ・オーダー」「クロックワイズ・トゥ・デッドライン」がそうだけど、3分台でパン!パン!パン!と突っ走る曲だ。前作『ア・ガール・コールド・セルヴェサ』(2012)も良いアルバムだったけど、振り返ってみると、曲が長すぎたと思う。今回はそれを避けたかったんだ。ただ、一本調子にならないように気をつけた。サウンドはよりヘヴィだけど、メロディもある。バンドが成長していき、それでも不変であることを証明するアルバムが『R.I.B.』なんだ。

──『R.I.B.』ジャケット・アートとタイトル曲では『ケミカル・インヴェイジョン』(1987)の“クレイジー・プロフェッサー”が復活していますが、何故このアルバムで再び登場させることにしたのですか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:それはもはや運命としか言いようがない。プロフェッサーが墓の下で何をしていたかは、本人に訊いてみるしかないだろう。バンドは、物語の語り部に過ぎないんだ。…俺たちは毎回、ビールや酒にちなんでアルバム・タイトルを名付けてきたけど今回、『R.I.B.』(Rest In Beer)としたのは、“R.I.P.=安らかに眠れ”という墓碑銘のパロディだったんだ。だからプロフェッサーが墓から蘇ったら面白いと考えた。生き返ったプロフェッサーはみんなに無料でビールを振る舞うんだけど、実はそのビールは汚染されている…というストーリーなんだ。

──『ケミカル・インヴェイジョン』ではセバスチャン・クルーガーがアートワークを手がけていましたが、『R.I.B.』ではパトリック・ストログルスキーがジャケットを描いていますね。

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:そう、プロフェッサーが復活してジャケットを乗っ取っているんだ。オールド・ファンだったら、ジャケットを見ただけで拳を突き上げるだろうな。セバスチャンは数年前、アメリカに引っ越してしまったから、連絡が途絶えている。実はパトリックはセバスチャンの弟子だったことがあるんだ。彼は若くて才能にあふれるアーティストだし、バンド全員の友人だ。彼のスタイルの方がコミック風だけど、バンドの音楽性とピッタリだよ。

──『R.I.B.』のソングライティングで、どんなところに気をつけましたか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:俺たちがやっているのは、スマイルのあるスラッシュ・メタルなんだ。だからエキサイティングな曲と、楽しい歌詞を書くように心がけたよ。「ノー・ワン・ヒット・ワンダー」は、いかにもタンカードらしい曲なんだ。よく“ワン・ヒット・ワンダー=一発屋”って、バカにされるバンドがいるだろ? でもタンカードは、それどころか1曲もヒットしていない。それがどうした? 悪いか!って開き直っているんだ。レコード会社の『ニュークリア・ブラスト』に「『ノー・ワン・ヒット・ワンダー』大ヒット中!」ってステッカーをジャケットに貼ってくれと頼んでみたら、困った顔をしていた。彼らはバンドの良き理解者だけど、さすがにそれはNGだったみたいだ(苦笑)。ただ、俺たちはコメディ・バンドではない。シリアスな歌詞もあるんだ。「ホープ・キャン・ダイ」は2年前に亡くなった友人についてのシリアスな曲だ。悲しみと希望を抱きながら、人生は続いていく。30年前だったら、こんな曲は書けなかっただろうな。

──タンカードといえば“ビール飲み”というイメージがありますが、『R.I.B.』のレコーディング中にもビールは飲んでいましたか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:俺は自分自身に厳しいルールを課しているんだ。アルバムのレコーディング中は、一滴も飲まないようにしている。1980年代にはまだ十代だったし、自分たちが何をしているか分かっていなかった。だからスタジオで酔っ払うことだってあったよ。でも今では大人だし、そんなことはない。そりゃもちろん、飲みたくて仕方なかったよ。でも、その欲求をすべて音楽にぶつけたんだ。『R.I.B.』で最後にレコーディングしたのは「クロックワイズ・トゥ・デッドライン」のコーラスだった。それを終えて、プロデューサーのマイケル・マインクスと乾杯したとき、本当に幸せな気分だったね。人生には楽しいことだってあっていい。でもそれは、やるべきことをやってからなんだ。

──定期的に健康診断は受けていますか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:ああ、ロック・スターらしくないと言われても、健康は大事だからね。肝臓はパーフェクトな状態だと言われた。ノー・プロブレム、まだ飲むぜ!

──痛風とかは気になりませんか?

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:まあ、俺だってビールばかり飲んでいるわけじゃない。たまにシードル(リンゴ酒)を飲むこともある。ビール腹になってしまわないようにね。ノンアルコールビールは飲んでみたことがあるけど、正直うまくなかった。やっぱり本物のビールには敵わないよ。

──『R.I.B.』を引っ提げての来日公演、期待しています。

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:おう、日本は最高だよ! 前回日本でプレイしたのは1999年だから、もう15年前なんだ。日本中のスラッシャー達がバンドと一緒に首を振っていた。陳腐な言い方だけど、言葉や文化の違いを、音楽で超えることが出来た瞬間だった。最高のスラッシュ・メタルを日本のファンと共有出来るのを楽しみにしている。ライブが終わったら、日本のメタル・キッズ全員と“カンパイだ”。

──15年も日本に来ていないのに、よく“カンパイ”なんて日本語を知っていますね…。

アンドレアス“ゲッレ”ゲレミア:実はそれしか知らないんだ。でも、カンパイさえ知っていれば日本でパーティーするには十分だよ!

取材・文:山崎 智之



タンカード『R.I.B』
初回限定盤CD+DVD+Tシャツ ¥5,000+税
初回限定盤CD+DVD ¥3,300+税
通常CD ¥2,300+税
01.ウォークライ
02.フールド・バイ・ユア・ガッツ
03.R.I.B.(レスト・イン・ビア)
04.ライダース・オブ・ザ・ドゥーム
05.ホープ・キャント・ダイ
06.ノー・ワン・ヒット・ワンダー
07.ブレックファスト・フォー・チャンピオンズ
08.エネミー・オブ・オーダー
09.クロックワイズ・トゥ・デッドライン
10.ザ・パーティー・エイント・オーヴァー"ティル・ウィー・セイ・ソー"

◆タンカード・オフィシャルサイト
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