【インタビュー】Asriel、復活と再生という意味を込めた第二章が始まるアルバム『Resurrection』

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■難解なフレーズも多いし唄うのも大変なんですが
■そこがAsrielの個性なのかなとも思っています


 ▲『Resurrection』初回限定盤
 ▲『Resurrection』通常盤
──なるほど。しかし、今回のアルバムも実にコンセプチュアルだよね。

黒瀬:はい。実は、1曲目の「EMBRYON」というのは、『Resurrection』というテーマに基づいてタイトルも曲調も考えているんです。いまKOKOMIが言ったように、『Resurrection』は復活という意味を持つ単語なんですが、「EMBRYON」は胎児という意味なんです。曲の冒頭がピアノなんですが、そこは、3曲目のアルバムリード曲「Resurrection」のサビと同じメロディーになっています。ただ美しいモノの始まりとか、美しいモノの誕生というところではなく、何か毒のある怖いモノが生まれてくる印象を持たせたかったので、リズムが入ってきたあたりで、不協和音のピアノが被って来て、だんだん怖い印象に持っていき、何かが迫ってくる感じの展開にしたんです。

──7曲すべてが物語として繋がっているということでもあるんだね。

黒瀬:そうなんです。まず、大きなテーマとして復活(Resurrection)を立てて、そこから広げていった感じです。

──歌詞は?

KOKOMI:歌詞は全部私が書いているんですが、歌詞も1曲1曲が物語になっているんです。「MASOCHISTIC DREAMER」はハサミで、「Resurrection」は花で、「THE CAPE OF DYSTOPIA」は港で、「fp」はピアノ、「揺蕩う月の吟遊詩」は月、「Chronus」は時計なんです。そのテーマを知った上で聴いてもらうと、また一歩深く噛み締めて聴いてもらえるんじゃないかなと思います。

──なるほど。「Chronus」は時計の音から始まるものね。

KOKOMI:そうなんです。歌詞を書く段階で、黒瀬とアレンジャーさんには歌詞のテーマを伝えてあったので、そういう音だったり、「fp」はピアノの音を多めに入れてもらったりしました。

──歌詞のテーマが少し変わってるよね。“恋”とか“愛”をテーマにした歌詞はよくあるけど、“ハサミ”とか“時計”とかって珍しいのかなと。

KOKOMI:そうかもしれないですね。具体的な物体というか。そういうのを歌詞のテーマにしているのは、なかなか珍しいのかもしれないですね。Asrielには、もちろん、人の気持ちや恋愛を唄ったものもあるんですが、“駅のホームでアナタを待ってるわ……”的なザ・現実! みたいなモノは曲の世界観と合わないので、書いていません。あくまでも、曲の世界観を大切にしているので、伝えたいことが恋愛の感情であっても、あえて現実的な言葉を使わずに歌詞を書いている感じですね。ハサミをテーマにした「MASOCHISTIC DREAMER」も、具体的にハサミのことを唄っている訳ではなく、ハサミというモノを人の傷ついた気持ちや切り離したい気持ちに例えて唄っているんです。

──聴き手に想像力を与える歌詞でもあるよね。

KOKOMI:そうなんです。聴いてくださる方が想像力を膨らませて、私が思い描いた世界以上の世界を広げていってくれたら、と思いながら歌詞を書いています。

──黒瀬くんの生み出すサウンドとの相性がいいのはそこもあるんだね。

黒瀬:そうですね。楽曲も歌詞もすごくファンタジックだと思います。

KOKOMI:かなり難解なフレーズも多いし、唄うのも大変なんですが、そこがAsrielの個性なのかなとも思っています。

──そうだね。しかし、黒瀬くんのルーツがヘヴィなバンドサウンドということもあり、今作はかなり攻めてるよね。「fp」も、ピアノっていうテーマだけを聞いたら、バラードかと思うけど、かなりメタル推しだし。個人的にはすごく好きな1曲。

黒瀬:ありがとうございます(笑)。曲調的な話しをしますと、「MASOCHISTIC DREAMER」「Resurrection」「Chronus」は、わりとテンポが速いメタル曲といった感じなんですが、さらに重いメタル曲というのも欲しくて作ったのが「fp」なんです。そんな楽曲の雰囲気を生のバンドサウンドで再現してもらうには、ミュージシャンの方たちの力が必要でしたし、とても重要だと考えました。まさに、自分の中で思い描いた「fp」の世界観を具現化してくださるのはササブチヒロシさんしか居ないなと思って、今回お願いしたんです。スネアのピッチの音とかちゃんと理解してくれて、さすがだなと思いました。

──まさに、ササブチくんらしいアプローチだよね。今回他にもPANTHER(the CYCLE)、村井研次郎(the CYCLE・cali=gari)、Tomoi(C4)、Junji(C4・HALATION)、MiA(MEJIBRAY)、ササブチヒロシ(CQ)、海野真(VIGILANTE)といった実力派ミュージシャンが参加してくれているんだよね?

黒瀬:そうなんです。PANTHERさんは、本来ならば速弾きのメタル曲が合う方だと思うんですけど、今回は重めのどっしりとした曲調を弾いてほしくて「fp」のギターをお願いしたら、やっぱりさすが。大正解だったんです!

──“これぞメタル!”なアプローチでもあったよね。

KOKOMI:ギターソロとか本当にカッコ良くて感動しました。

黒瀬:自分がそこまでギターを弾ける訳ではないんですが、とにかくギターにはこだわりがあって。「fp」は、MEJIBRAYっぽいアプローチの曲でもあったので、MiAくんにも合うと思ったんですけど、今回は敢えてMiAくんには速弾きのギターを弾いてほしくて。

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