【ライブレポート】桑田佳祐、番組リスナーを前に熱唱。サザンからクラプトンまで

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桑田佳祐のレギュラーラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TFM / JFN系列)の放送1000回を記念したライブイベント<桑田佳祐のやさしい夜遊び~夏にサザンないの!? いいかげんに1000回!! ファンやめたるわ!! 生歌ライブ~>が、7月11日、TOKYO FMホールにて開催された。

◆<桑田佳祐のやさしい夜遊び~夏にサザンないの!? いいかげんに1000回!! ファンやめたるわ!! 生歌ライブ~>画像

番組での「生歌コーナー」の延長線として、今までも節目ごとに行なわれてきた生歌ライブ。しかし、今回は1000回記念ということ、そして夏にサザンのライブがないということもあり、「せめて2日間ヤらせんかい!」という桑田佳祐の想いを受けて、7月11日と翌12日の2Days公演が実現。各公演500人、計1000人のリスナーがこのプレミアムライブに招待されるとともに、1001回目の放送となった7月12日夜の『桑田佳祐のやさしい夜遊び』特別番組にてライブの模様がオンエアされた。

初日公演。開演時間となり、集まった観客の手拍子と桑田佳祐を呼ぶ声が期待感を高めていく。ライブの1曲目を飾ったのは、2011年後半から2012年いっぱいまで番組のエンディングを飾っていた「古の風吹く社」だ。イントロで、扇子を手にした桑田佳祐がステージに飛び込んでくると、ひときわ大きな歓声がTOKYO FMホールを揺らす。普段はマイクの向こう側にしか存在しないリスナーが、この日は目の前にいるということで、桑田も歌いながら笑顔で歓声に応える。さらに「2階!!」と、視線を少し上げて手を振ってみせる。いや、このホールに2階席なんてないのだけど……なんて野暮なツッコミは無用だ。

「古の風吹く社」の曲終わりに、このライブイベントのために集められたバンドメンバーがステージイン。斎藤誠(Gt)、琢磨仁(Ba)、小田原豊(Dr)、片山敦夫(Key)、角谷仁宣(Mp)そして原由子(Key)。桑田佳祐は、ひとりずつハイタッチで迎える。

今回のライブは、コーナーごとに展開していく。ライブタイトルが「夏にサザンないの!? いいかげんに1000回!!」ということで、最初からいきなり『サザンコーナー』。桑田のライブではおなじみ、ダンサーのイクミちゃんもラウンドガールとしてボードを掲げてステージを右へ左へ練り歩く。

『サザンコーナー』は、サザンオールスターズとして初めて作った曲という「茅ヶ崎に背を向けて」からスタート。さらに「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」と立て続けに披露すると、観客はそれだけで大興奮。「初日だからアガってる」と語っていた桑田佳祐だったが、「栞(しおり)のテーマ」では、原由子との絶妙なハーモニーを切なく響かせる。

夕焼けのような光に包まれながら、桑田もブルースハープを奏でた「夕陽に別れを告げて」。そして「Oh!クラウディア」。まるで、「サッポロ プレミアムアルコールフリー」の後味のようなほろ苦さと爽やかさを残して、『サザンコーナー』は終了するのだった。

原由子からの「緊張しますけど、みなさんよかったですね。楽しんでください。」というコメントもありつつ、桑田はMCで、年内完成と宣言したサザンオールスターズ15枚目のオリジナルアルバムについても触れる。シングルばかり出してもしょうがないのでオリジナルアルバムも出そう、ということになったこと。8曲くらいにしようと思ったら、“作ってるうちに盛り上がってしまっている”ということ。客席側から飛んだ「待ってまーす!」の声に「マッチでーす?」と聞き返すなど、合間に客いじりを差し込むことも忘れない。

『サザンコーナー』の次は、桑田が一番好きな曲だという「砂に消えた涙」からスタートした『邦楽~真夏の名曲コーナー』。さらに「恋のバカンス」と、桑田は気持ちよさそうに古き良き日本の流行歌を歌い上げていく。

「夏のお嬢さん」では、ビキニ姿のダンサーふたり(イクミちゃんとケイちゃん)もステージに登場。目移りしそうな眩しさで、半蔵門は常夏気分。そんなムードを引き継いでの「青い珊瑚礁」では「みなさんご一緒に!」と、会場全体での大合唱となる。

昭和歌謡をステージで披露しながら、ふと、客席の男子が目に止まった桑田佳祐。「何歳?」と、いきなり19歳男子にインタビューを始める。一方、42歳だという女性にマイクを向けたところ、女性がバツイチであることを告白。桑田は「憧れちゃうわ。」と、こともあろうに原由子の横で口走ってしまい、バツの悪そうな仕草。もちろんそんな様子に観客は大ウケだ。そして加山雄三の喜寿を祝って、「僕は加山さんがいてくれるだけで最高に幸せなんだ。」と、セリフを変えながらの「君といつまでも」で同コーナーは締めくくられた。

「(ステージ下手に設置されたメクリを目にしながら)テレビでもないのに字を出してる。ラジオなのに絵にこだわる。大事なんですよ。今ね、こう(と、スマホを横にして撮る仕草)…今日禁止? 撮っちゃっていいよ? スマホ持ってないの? 撮っちゃって撮っちゃって、本番明日だから‼︎」

こんなふうに、桑田佳祐は、歌の合間にサービス精神たっぷりのジョークやリップ・サービスをも挟みながらライブを展開していく(※ 実際は撮影禁止)。「All My Loving」から始まった『お客さん置いてきぼり、ビートルズコーナー』では、「Norwegian Wood(This Bird Has Flown)」「Nowhere Man」などをバンドメンバーのコーラスとともに披露する。「Hey Jude」では、客席を巻き込んでのピースフルな光景が広がる中で、ステージ上では“柔道”の取り組み。感動を見事なまでに爆笑へと変えていく。

このまま『さらにディープに、お客さん放置プレー…エリック・クラプトンコーナー』へ。真っ赤に染まったステージで、クラプトンの「I Shot the Sheriff」をブルージーに、エモーショナルにパフォーマンスする。さらにデレク・アンド・ザ・ドミノスの「Layla」へ。ディープだといいながらも、30代以上のファンにとっては、少なくとも一度は耳にしたことがあるであろう、ポイントを突いた選曲。それはまるで、桑田が「世界にはまだまだこんな名曲がある」ということを、自分の喉を通して若いリスナーに伝えているかのよう。言い換えるなら、昨今の“音楽が好き”ではなく“アーティストが好き”という風潮の中で、“音楽そのものに対する興味”を広げてあげたいという、桑田の番組リスナーに対する想いすら感じられるコーナーであった。

そして最後は『その他諸々』としつつも、フジテレビ『最高の離婚』主題歌だった、桑田佳祐ソロの「Yin Yang(イヤン)」から、KUWATA BANDの代表曲「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」。音で作り込まれた妖しげなムードに観客は興奮。頭の上でクラップしながら、ひとりひとりが気持ち良さそうにビートに体を委ね、そしてともに歌う。ステージへの求心力が、グッと高まった瞬間だ。

そこからボルテージは下がるはずもなく、むしろ上がり続けるばかり。「天国への階段」かと見せかけての童謡「赤い靴」といった遊び心をチラ見せしたかと思えば、「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」からのメドレーでは、先日までBARKSを担当していたビクターの女性スタッフらをアナと女王に仕立てての「レット・イット・ゴー~ありのままで~」や、原由子が「恋するフォーチュンクッキー」を歌うなど、完全にお祭り状態へと突入する。そして最後は、アロハシャツにスカーフをはためかせて桑田佳祐が歌う「波乗りジョニー」。会場の熱狂は一気に爆発した。

完全に上がりきってしまったボルテージは、そのまま「アンコール」を求めるアクションへと転換される。「イカしてあげる」と、ラウンドガール・イクミちゃんからのボードも出て、再度、桑田佳祐とバンドがステージに登場する。

アンコールは、アコースティックアレンジの「LOVE AFFAIR ~秘密のデート」。そして、まさにこの日、議員辞職した“話題の元・県議”の号泣記者会見モノマネを唐突に行ないガッツリ笑いと取ってからの「栄光の男」。さらにラストナンバーは、サザンの公演でもラストを飾る機会が多い「心を込めて花束を」。

全27曲(メドレーは1曲としてカウント)をたっぷり2時間以上にわたって繰り広げた桑田佳祐。拍手喝采の中で、最後はステージから身を乗り出して、観客たちと握手。そして「また会いましょう!」「頑張れよ!」と、エールを送って、プレミアムなライブを終えたのだった。

先日、9月のニューシングルや年越しライブ開催など新たな展開を発表したサザンオールスターズ。この日、桑田の口から語られた言葉の数々は、ファンの期待をさらに高めるものになったに違いない。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆BARKSライブレポート
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