【インタビュー】VALSHE、“転生”が鍵のニューシングルに「迷いがないんです」

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VALSHEが7月16日、7枚目となるシングル「TRANSFORM / marvelous road」をリリースする。前シングル「Butterfly Core」にて初めて実写によるアートワークを打ち出し、直後にファンクラブ限定ライブを開催。2月にリリースされたアルバム『V.D.』は完全ノンフィクションのもとにありのままのVALSHEをさらけ出した。そして、リリースされるニューシングルのキーワードは“転生”だ。新たな一歩を踏み出した彼女の次なるステップは、ファンへ向けた決意に溢れたものとなっている。

◆「TRANSFORM / marvelous road」クロスフェード 動画

一方の「marvelous road」はVALSHE王道のデジタルロックサウンド全開のナンバーであり、同曲は自身が声優として出演している大型メディアミックス作品『WRITERZ』テーマソング。また、初回限定盤Aの特典DVDにはバラエティ企画「ばる散歩 ~川越編~」を収録したほか、初回限定盤Bの特典CDはラジオ番組仕立てで構成されており、テレサ・テンの名曲「つぐない」をカバーするなど意表を突いた企画も盛り込まれた。VALSHE曰く、「他の誰でもなく、あなたへ向けた」というシングルについて、じっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

■“よかったら聴いてください”なんて言いたくない
■毎回、身を削るようにして作ってきたものだから

▲初回限定盤A VALSHE盤
▲初回限定盤B WRITERZ盤
──「TRANSFORM」は“転生”がキーワードだそうですが、それを歌いたいと思ったのは?

VALSHE:『V.D.』は、自分の中にあるもの全てを白日の下に晒すことに挑戦したアルバムでした。そして、『V.D.』を作らなければ経験できなかったであろうことや、作品を実際にリリースしてから芽生えた感情がたくさんあって。それはこれまでに自分が感じてきたものとは全く違うと言ってもいいほどのものだったんです。まるで違う自分というところから、“転生”という言葉が浮かんでいきました。

──まるで違う自分を感じたときに、どんな感情が芽生えたのでしょう?

VALSHE:VALSHEはVALSHEでしかない、という思いでしょうか。思い起こせば2013年の1stライブから、それは始まっていたと思うんです。以前は、VALSHEの楽曲制作に関わって来た“チームVALSHE”のみんなで、VALSHEを創り上げてるという気持ちが強かった。だから、表に立つ立場である自分自身が制作陣の思いを受け止めて、“スタッフの誰々が、VALSHEとして発信したいことはこれなんだ”とか、“誰々は今こうやって表現したいんだ”ということを逐一言葉にして伝えることが、自分の義務のように感じていたんですね。でも、実像のあるVALSHEとして自分が矢面に立った時、チーム全員の思いを自分が全て説明する必要はないのかなと思うようになりました。

──先頭に立って発信する人=VALSHEとして、より責任を持つようになったと?

VALSHE:実写を公開したり『V.D.』をリリースしたことで、それぞれの立ち位置が明確になったのはあると思いますね。それによって、自分が発信したいことや何をすべきかをより考えるようになりましたから。そして、生まれたのが「TRANSFORM」です。これまでもチームの思いをひとつにして楽曲を作ってきたので、自分が想像していたものと違う作品が出来てしまったことはなかったんです。それ以上に、『V.D.』で嫌が応にも自分と向き合うことになったからこそ、想像を超えるものを感じることができた。「TRANSFORM」がこうして生まれたのは必然なのかなと思いますね。

──立ち位置が明確になったことで、自覚的になったものも?

VALSHE:今までは、どこか遠慮していたところがあったような気がするんですよ。でも、誰かに言われたわけでもないのに遠慮なんかする必要はないってことを、最近改めてチームで話し合ったりもしたんです。より良い形になっていけるという感覚がますます生まれましたし、そういう意味での“転生”でもあるんです。

──では、歌詞として“転生”を描く際に心がけたことは?

VALSHE:今回はファンの方に向けて歌詞を書くと事前に明言していたので、“言い切り”の表現を意識して使うようにしました。「◯◯だろう」ではなく「◯◯だ」と。これまでも言い切りの言葉を使ったことはありますが、歌う対象が明確ではなかった。

──顔の見える相手に対して歌ったものであり、断言したものというのはVALSHEさんにとっては初のこと?

VALSHE:そうです。たとえば、誰かと会話していても断言することが難しかったりしますよね。なので、自分にとって大きいことでしたし、書いてる時に“これは強過ぎる表現かな”と迷うこともありましたね。

──確かに、歌詞には“君は僕を選ぶから”とか“君を迎えに行くから”という絶対的な表現があります。“君”と“僕”の関係性も明確ですね?

VALSHE:“君”という言葉は今までも使ってきましたが、どこかの誰かを示す抽象的な“君”だった。ですが今回は、君=ファンの皆さんという以外に解釈の余地はない。そして、そこに向けて伝えたいことが明確にある。“僕”は“君”に絶対の信頼を寄せてます。だからこそ、“君は僕を選ぶから”という歌詞も書けたんだと思います。そこに至るまで正直、悩んだりもしたんです。ギリギリまで悩んだけど、自分が言いたいことはそれだったし、自信を持って自分が先導していきたいという思いも込めました。

──さっきの話とも繋がってくると思うのですが、実像を晒したり、1stライブを行なったり、アイデンティティを証明するアルバム『V.D.』を作ったことによって、伝える対象がはっきりしたことが、VALSHEさんの言葉をより強いものにしたんでしょうね。

VALSHE:そうですね。これまで自分が発して来た言葉って無難だったなと思ったんですね。歌詞でもTwitterのようなものでも、当たり障りの無い表現をしてきたように思います。でもそれって、もしファンだけのために書いていたら違う表現だったんじゃないかと思ったんです。不特定多数の誰かを意識し過ぎて、無難になり過ぎてたんじゃないかなって気が付いて。

──TwitterのようなSNSは世界中の人が見られますし、影響力のあるアーティストという立場なら気を遣っても当然です。

VALSHE:はい。決して今までの言葉が間違っていたというわけではありません。でも、発信者としてファンの方に向けると決めた時に、今までのような言葉では物足りないというか。自分の気持ちとの温度差があると思ったんです。誰が聴いても読んでも、火傷しないけど熱量が足りなくて何も残らないものよりは、いったんいろいろなことを取り払って、自分が伝えたい思いの丈をそのまま歌詞に書きたいと。何も遠慮がなければこう書く、という歌詞に仕上がったと思います。書いた歌詞に、逆に“自分ってそうだったんだ”と気付かされたこともあったほどで。

──言葉は不思議なもので、口にしたり文字にすることで無意識が表に出て来たりしますよね。

VALSHE:そういうことがありますね。毎回、身を削るようにして作ってきたものだから、“よかったら聴いてください”なんて言いたくないんですよ。今までもそうやって断言を避けていたところもありまけど、今は、迷いなく“良いものが出来たから、絶対に聴いてください”という気持ちですね。

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