【ライブレポート】中島卓偉、15周年記念ツアー終了。「自分の人生後悔ないように、お互い頑張ろうぜ」

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「15周年っていうことで、14年目からね「来年は15周年ですね」と、たくさんの方に言ってもらいました。それはあの、10周年の時もやっぱりそうで、9年目の時は「来年は10周年ですね」と。そういうふうにたくさん言ってもらうことが嬉しい事にありました。そういう長く続けていくたび、周年が大切になってくるのも、もちろんわかってる。15年やってこれて、今日こんなに集まってくれて、こういうライブができること。本当に感謝してます。だけど、ひとつ言わせてほしい。俺ね、そういうこだわり、あんまりないのよ。それはやっぱりもっともっと先を走っている先輩たちがたくさんいるってことだと自分は思ってます。20周年行けばもっと素晴らしいだろうし、25周年まで行けば、四半世紀って言葉がついてくる。そこまでやれたら、ああ自分も、もしかしたらこの道、間違ってなかったかなって思うかもしれない。それは決して、全然ネガティブな意味でもなんでもなくて。やっぱり本当に現状に満足しちゃいけないって常に思って、15年間やってきました。まだなんも夢が叶ってません。まだやりたいことがたくさんあります。何ひとつ叶ってません。何ひとつとは言わないけど、ほとんど叶ってねーよ。そのくらい自分の夢に貪欲に生きてるつもりです。欲張っていいと思っているから、こんな人間です。でも本当に、生きていく上で自分の夢をどんどん大きくしていくことはすごく大切だと思う。」

「みんなも生きてく中で、すごく辛いこといっぱいあると思う。人間関係もそうでしょう。もしかしたら、学校とか仕事場でも苦しいこともたくさんあると思う。でも、もし夢があるなら、そんな小さなことで、自分にとっては小さなことではないかもしれないけど、あえて言わせて。“小さなこと”で、決して諦めたりしないでください。そして、決してさじを投げたりしないでください。続けていけば、少なからず中島卓偉と同じくらいになれる。俺も全然、大したことない。本当に。だけどなんで15年間やってこれたかというと、みんなの支えも、もちろんあったと思う。だけど、本当に性格がしつこかったんだね。諦めなかったから、今日ここにいると俺は信じています。そして、ついてきてくれたみんなを信じて、歌い続けてきたからこそ、今日、このステージがあると思っています。こんな同じ時代に今、生きていて、中島卓偉の音楽に出会ってくれること。今日会いにきてくれること。本当にありがとう、感謝してます。」

「みんなも決して夢をあきらめないでください。しつこいようだけど、絶対に諦めなければ夢って叶うようできてるって俺はそう信じてるし、そう頑張ってる人を俺は応援したいと思ってる。」

中島卓偉が、今の気持ちを吐き出したのち、本編ラストを飾った曲。それは、彼が子供の頃に体験した実話を赤裸々に綴った「3号線」だった。リアルな言葉の数々と卓偉の卓越した歌唱力で、聴く者にその情景を浮かび上がらせ、大きな反響と共感を呼んだ曲。あまりにリアル過ぎるがゆえに、同じ体験をした人たちの中には最後まで聴くことができないという人もいる。決して誰かを勇気づけるような歌詞ではない、むしろ悲しい曲。しかしこの瞬間、恵比寿リキッドルームには、3号線を越えられなかったあの頃の卓偉少年も、この日のステージで熱唱し続ける中島卓偉へとつながっていることを強く認識させるような、そして、悲しみや寂しさ、孤独も、また人が生きる理由であるかのような、そんな強さを優しさを含んだ会場一体の大合唱が巻き起こっていた。


「どんなことがあっても」からスタートしたアンコールでは、早くも16年目に向かっての新曲が次々生まれていること、その次のアルバムまでも一応完成していることを明らかにする(今は完成度を高める作業を行なっているとのこと)。

さらに「ファイナルということで、グッズ買っていって!」と、卓偉はファンに呼びかける。しかしフロアの約1000人は、これまでの盛り上がりとは一体なんだったのかというほどに微妙な反応を一斉に返す。すると卓偉、「なんだとコラ。お前らのしょーもない人生いくらでも救ってやったじゃねーか! いい歌いっぱい歌ってやったじゃねーか!! グッズぐらい買っていってくれよ!!! 安いもんじゃねーか!!!!」「在庫!」「人生救った!」「消費税上がっても値段変えてねーんだよ!」と、これまたさっきの感動的なMCとは一体なんだったのかというほどの悪態をつきながら完全暴走。

もちろん観客は、こんな卓偉にも手を叩いて大爆笑し続けていた。

そして気を取り直して「蜃気楼」「イノヴェイター」とライブの定番曲を並べ、15周年ツアー最後に持ってきた曲は、ファンにとっても特別な曲である「ピアス」。メロディーを歌うのではなく歌詞を撃ち続けた卓偉のボーカルは、20周年、25周年、30周年、いつになるかはわからないが、きっと夢のステージへとつながっている。そんな力強さをいつまでも放っていたのだった。

  ◆  ◆  ◆

激しさと鋭さを備えた中島卓偉のライブ。一方で、彼のライブには一貫して優しさが流れていることにあらためて気づかされる。終演後、オーディエンスを満たした様々な感覚。ライブで歌い踊って発散したことから生まれたのが満足感や爽快感だとするならば、多くの人が本公演の感想としてTwitterなどで溢れかえっていた多幸感は、卓偉の歌に流れ続ける優しさに包まれたことに由来しているのだろう(そしてこれらの感覚を充実感として、ひとつにまとめることができる)。ちなみに、卓偉の単独ライブではオーディエンスは熱狂するも、過度なモッシュや(特に)ダイブは発生しない。これはノリが足りないのではなく、卓偉を「兄貴」と慕う男性ファンたちが、女性ファンに配慮して自ら抑制しているからである(現に男限定ライブではモッシュもダイブも存分に飛び交う)。そういうファンを抱えているところからも、中島卓偉というアーティストを知ることができるはずだ。

そして、そんな中島卓偉の15周年最後を飾るGIGは、自身の誕生日となる10月19日、赤坂BLITZにて。<謝恩祭!! 15周年ファイナル「REQUEST OF BEST」>と題されたこの日の公演は、ファンからのリクエスト曲だけで構成される予定だ。

「俺、頑張ってる人大好きだから。みんなも、お互い頑張ろうぜ。つまんない奴の意見なんて聞かなくていいんだよ。自分の人生だから。自分の人生なのに人の言うことばっかり聞いて。まぁ、聞かなきゃいけない時もあるだろうけど、自分にビジョンがないときにはね。自分の人生なのに誰かの意見聞いて人生失敗した時に、その人のせいにするっていうのが一番最悪なわけよ。それだったら自分の人生後悔ないように、お互い、これ今、15周年だけど、20年、25周年、30年、一緒に頑張ろうぜ!」── 中島卓偉

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆BARKSライブレポート
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