【インタビュー】遊佐未森、ベストアルバムとライブDVDを基に25年を読み解く5つのキーワード

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【DVDレビュー】遊佐未森、時代を象徴する意味深いメッセージを含むライブDVD『mimo-real songs』

2013年10月27日に東京・渋谷公会堂にて行われた25周年記念コンサートを、DVD1枚に収まるギリギリのボリュームにぎゅっと濃縮。デビュー曲「瞳水晶」から最新アルバム『淡雪』収録の「欅~光の射す道へ~」まで、ただ代表曲というだけではなく、その時代を象徴する意味深いメッセージを含む楽曲を集めたベスト選曲がうれしい。

モダンバレエと無言劇を組み合わせたパフォーマーたちが登場する印象的なオープニングを経て、パステルカラーのふんわりワンピースの裾をひるがえしながら、ステップを踏んで「瞳水晶」を歌いだす、最初の1曲目からファンタジックな未森ワールドが全開。

トラック9「通り雨」からはシックな黒いドレスに衣替え、深い闇と光を組み合わせた幻想的なパートへ移行し、ゲストの栗コーダーカルテットも全員ダンディなスーツ姿で決めて、アコースティックなムードでしっとりと「ハープ」、そして軽やかに「街角」を披露する。

ピンクと白のスカート姿に着替えた後半は、「Floria」で開放感いっぱいに始まり、「夏草の線路」「窓を開けた時」と、古いファンを感涙させる名曲シングル二連発。大人しく座って手拍子をしていた観客も、いつのまにか総立ちだ。

ここまでたっぷり2時間以上歌っていても、透き通った伸びやかな歌声は優しい浮遊感にあふれたままで、軽やかにスウィングする「オレンジ」のみずみずしさが鮮やかに際立つ。

そして本編ラストは「欅~光の射す道へ~」。生まれ育った仙台の街を舞台に、涙あふれる出来事のあとも希望を忘れずにと、力強いリズムに乗せて歌う、25年の歴史の中でも特別な思いを乗せた1曲に、会場いっぱいのスタンディング・オベーションが鳴り止まない。

そしてアンコール。ゲストの西海孝(G)と楠均(パーカッション)を迎えて「ラジオスターの悲劇」を楽しくカバーしたあと、再び栗コーダーカルテット、旧友のWatusi(B)、そして数々の遊佐未森クラシックスを提供した外間隆史(G)も加わって、「0の丘∞の空」を。最初遭えた場所でもう一度、過去と未来作ろう──。明るいリズムとせつないメロディに乗せ、そう歌う言葉が今こそ胸に沁みる。

素晴らしい25周年の祝典と、そしてすでに始まっている26年目に向けて。遊佐未森の歌はますます、その輝きを増している。

文●宮本英夫

DVD『mimo-real songs』
2014年6月25日発売
YCBW-10042
1. Prologue
2. 瞳水晶
3. 暮れてゆく空は
4. 水夢
5. poetry days
6. 天使のオルゴオル
7. 地図をください
8. 僕の森
9. 通り雨
10. 潮見表
11. ハープ
12. 街角
13. Dance
14. Floria
15. 夏草の線路
16. 窓を開けた時
17. ロカ
18. オレンジ
19. 欅~光りの射す道で~
20. ラジオスターの悲劇 (encore)
21. 0の丘 ∞の空 (encore)

◆遊佐未森 オフィシャルサイト

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