【イベントレポ】<ポタフェス>結城アイラfeat. TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、fhanaのステージ詳細レポ

ツイート

国内外メーカーの最新イヤホン・ヘッドホンを中心としたポータブルオーディオ機器を体感できるイベントとして、2012年に始まった<ポタフェス>も早や5回目。2万人を超える来場者を迎えた第4回と同じく、今回も秋葉原ベルサールで6月28・29日に開催され、地下1階の特設ステージでは15本のフリーライブがオーディエンスを楽しませた。さまざまなジャンルのエッヂィなアーティストが参加した豪華ラインナップの中から、BARKSでは6月29日に行われた結城アイラfeat. TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、そしてfhanaをピックアップ。アニソンシーンに縁の深い3アーティストによる2ステージのレポートをお届けしよう。

まずは午前11時、この日のステージ一番乗りを果たしたのは結城アイラfeat. TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND。数々のアニソンを歌ってきた女性シンガーと、TVアニメ「ウィッチクラフトワークス」の劇伴やエンディング等でも知られるテクノポップユニットによるスペシャルなコラボステージだ。

最初にビシッとスーツでキメたTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの3人が舞台へあがり、大人気アニソンをリミックスした「もってけ!セーラふくEX.Motte[k]remix」を披露すると、朝イチにもかかわらずフロアはドッと沸騰。石川智久(Key)とフジムラトヲル(B)にサポートギター&ドラムを加えたバンドサウンド、サンプラーを操りながらマイクに向かう松井洋平のストレンジなエフェクトボイス、そして背後のモニターに次々浮かぶ文字とカラフルな照明のコラボに、場内にはサイケでミステリアスな空気が充満する。そこに結城アイラが加わって、歌詞の通りTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND十八番のピッピコサウンドが炸裂する「ウィッチ☆アクティビティ」(「ウィッチクラフトワークス」エンディングテーマ)を歌い上げるが、そのパフォーマンスも本家のKMM団に勝るとも劣らないキュートさ加減だ。

「みなさん、おはようございます! 私は朝が大の苦手で、普段は11時でも“おはようございます”なんです。でも、今日は6時に起きて気合を入れてきたので、たくさん盛り上がっていくぞ!」――結城アイラ

そう煽った後も2アーティストがそれぞれに発表してきたアニソンを、コラボレーションという新たな形態でセルフカバー。その中には松井が作詞を、石川が作曲を手掛けたアニメ「機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN」のエンディングテーマ「未来の模様」もあり、壮大な宇宙が広がる映像の下、流麗に鳴り響く珠玉のピアノバラードで、結城の滑らかなヴォーカリゼーションを堪能させてくれた。

「TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDで一切ピッコピコしない曲を作ってくださった」という彼女のMCからもわかる通り、これまでも何度か共に楽曲制作をしてきた彼ら。コラボステージも3度目だけあり、結城のデビュー曲「Colorless Wind」で夏らしく爽快にトバしたあとは、結城・松井・石川が小気味よいフリと妖しいスキャットをユニゾンさせる「LOOP LOOP LOOP」でシュールな空間を創り出す等、息の合ったライブを展開してゆく。また、どの曲でも演奏中に楽曲のムードとリンクする映像が映し出されていたのも特筆すべき点。それが場内の空気を多彩に変容させてポイント高い。

「みんなで歌ってくれますか?」という結城に応え、フロアから声があがるダイナミックな最新シングル「愛しき抗いよ、導け光へ」(TVアニメ「ブレイクブレイド」エンディングテーマ)に、サンプラーの代わりにギターをかき鳴らす松井と2人でヴォーカルを掛け合う「Saturday Night Witches」を繋いで、ラストは「愛しき抗いよ~」のカップリング「Mind Limit」へ。作詞に結城アイラ、作曲にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDがクレジットされている、いわば4人のコラボの究極形たるテクノポップチューンで拳をあげると、曲終わりには結城が「ジャンケンポン!」とパーを出して笑顔でフィニッシュ。軽やかなリズムと熟練の演奏&歌唱で自然に身体を弾ませるオシャレでバラエティ豊かなライブに、朝の眠気も完全に吹き飛んでしまった。


それから約4時間後、午後4時になってステージに現れたのはfhana。


2013年夏にデビューした男女4人組ユニットで、佐藤純一(Key)のピアノフレーズから始まる「街は奏でる」でライブが幕開けるや、まずハッとさせられたのが心のツボをグッと押す叙情的メロディと、紅一点towanaのクリアなハイトーンボーカルだ。佐藤とkevin mitsunaga( Sampler / Synthesizer / Glockenspiel )が誘う手拍子を経て、さらに、吹き抜けるような疾走感が心地よい2ndシングル「tiny lamp」(TVアニメ「ぎんぎつね」オープニングテーマ)へ。yuxuki wagaのギターがエモーショナルに唸ると、先程までジッと耳を傾けていたオーディエンスも一気に沸きかえって、楽曲が持つ即効力の高さを物語る。

MCでは「ポタフェスのポタって何かな?」(towana)「ポータブル……?」(佐藤)というちょっとした小芝居から、本ステージの主催であるハイオーディオ機器メーカーORBとコラボしたポータブルヘッドフォンアンプのリリースを告知。「メチャメチャ音いいんですよ」とkevinが、さらに「iPhoneを繋いだら、音がよくなって返ってくる!」とyuxukiが絶賛し、その後は立て続けにシングル曲を披露してゆく。透明感の高いサウンドに清々しさがあふれる最新作「いつかの、いくつかのきみとのせかい」(TVアニメは「僕らはみんな河合荘」のオープニングテーマ)、kevinのグロッケンがキラキラと煌めくデビュー曲「ケセラセラ」(TVアニメは「有頂天家族」のエンディングテーマ)が続くと、徐々に会場が熱気に包まれていくと。実は、、これまで発表してきた4枚のシングル全てがでTVアニメとのタイアップを果たしている彼ら。その音は一つ一つが純で濁りなく、ファンタジックな世界を紡いで、なるほどアニメのテーマ曲にはうってつけだと納得させられる。

ここで10月に放送開始するTVアニメ「天体のメソッド」でエンディングテーマ「星屑のインターリュード」を担当することを発表報告。1週間前に北海道・洞爺湖で行われた「TOYAKOマンガ・アニメフェスタ」内のアニメ制作発表会で初披露したということで、もしや今日も……?と期待が高まるなか、「その曲を今日ね……ここではできないの」とtowanaが告げると落胆の声が漏れるが、続く言葉でそれは歓声に取って代わられた。

「前半ではTECHNOBOYSさんがエンディング曲でピッピコやられてましたけど、fhanaがやるのはオープニングです!」

そしてTVアニメ「ウィッチクラフトワークス」のオープニングテーマ「divine intervention」がリズミカルかつアッパーに放たれると、フロアからは一斉にサイリウムと拳があがり、kevinがサンプラーのパッドを激しく叩けば、Cメロでどこまでも高く伸びるtowanaのハイトーンと共にyuxukiもジャンプ! 涼やかでありながら熱いサウンドが人間味たっぷりにうねり、同じ作品の曲でも朝に聴いた「ウィッチ☆アクティビティ」とはまるで違うベクトルへと駆け抜ける、その振り幅こそがアニメというカルチャーの懐の深さを示しているように思えた。一転、ラストはエレクトロチューン「kotonoha breakdown」でフラットからエキセントリックへと上りつめて、劇的なエンディングを迎えることに。浮遊感に満ちた音世界に酔いしれ、イマジネーションを刺激されっぱなしの40分に、ジャンルを超えたfhanaのポテンシャルを見た。


ポタフェスに招かれるアーティストのパフォーマンスは毎度クオリティが高く、予備知識が無くとも楽しめることは確実。次回の開催は未定だが、だいたい年に2度のペースで行われているので、次の機会にはぜひ貴方も足を運んでみてほしい。

取材・文●清水素子

<ポタフェス PORTABLE AUDIO FESTIVAL>
2014年6月28日~6月29日
ベルサール秋葉原

◆ポタフェス オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス