【インタビュー】lecca、レゲエへのリスペクトや愛情がたっぷり詰まった魂のレゲエアルバム『tough Village』

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前作『TOP JUNCTION』からわずか8ヶ月にして、leccaがニューアルバム『tough Village』をリリース。今作は、彼女のルーツミュージックでもあるレゲエに焦点を当て、レゲエへのリスペクトや愛情がたっぷり詰まった一枚となった。背中を押すような力強いメッセージは、前作以上に大きく温かくリスナーを包み込んでくれる。この夏は、各地の夏フェスに奔走中という彼女に、新作について聞く。

◆lecca~拡大画像~

■leccaを入り口にしてレゲエにハマる人が増えたら良いし
■レゲエのコアなところまで聴いてくれる人が増えたら良いな


 ▲『tough Village』[CD+DVD]
 ▲『tough Village』[CD]
──2013年末にアルバム『TOP JUNCTION』がリリースされたばかりなのに、早くもオリジナルアルバムということで、このスピード感に驚きました。

lecca:私もです(笑)。実は『TOP JUNCTION』のリリース前から、この『tough Village』の曲を作っていて。だからもう今は空っぽの状態です。

──前作もかなり力強いメッセージがこもった作品でしたけど、その流れがあったからこそ、今作のタフさが出たんでしょうか。

lecca:それもあると思います。前作は「頑張れ、もっと!」っていう感じで、尻を叩くような感じの作品だったので、自分でも作品を作りながら、ライヴの準備をしながら、もっとできるんじゃないかって思わされることは多かったです。

──しかも、今作はレゲエアルバムということですが。

lecca:過去に色んなアルバムを作らせていただいたんですが、自分は結構雑食な人間で、ポップとかロック、カントリーミュージック、ヒップホップ……大好きな音楽ってたくさんあるので、アルバムを作ると、色んなジャンルが混ざり合ったアルバムになるんです。でも、今回は初めて「レゲエアルバム」と銘打って、そこに向き合って作りました。自分としてもこんなにレゲエに集中したアルバムはないです。

──レゲエの中でもいろんな種類がありますが、この作品は多岐に渡ってレゲエを表現しているので、そこにleccaさんの雑食性は出ていますよね。

 ▲『LIVE TOUR 2014 TOP JUNCTION』[DVD]
 ▲『LIVE TOUR 2014 TOP JUNCTION』[Blu-ray]
lecca:そうかもしれないですね。私の思うレゲエミュージックが色濃く出ている気がします。私はレゲエも好きだけど、他の音楽も好きっていうスタンスでレゲエを聴いているんです。だから、どうしてもそこに染まりきれない自分に後ろめたさを感じた時期もありました。そういう時は、レゲエのフェスに出るのもお断りをしたりしてたくらいで。でも、今作では、leccaを入り口にしてレゲエにハマる人が増えたら良いなという思いもこもってるんです。これをきっかけに、レゲエをむちゃくちゃ愛しているレゲエミュージック界のコアなところにいる人たちの格好良さや、そういう人が歩んで来た軌跡みたいなものまで含めて、たどって聞いてくれる人が増えたら良いなぁって。

──それは、レゲエへの愛情がないと作れないですね。

lecca:はい。たぶん自分の中で、良い意味での自信と使命感もあったんでしょうね。自分の知っている良いものを紹介したいし、それをやるために最大限の努力をしようという気持ちになっていました。

──leccaさんがレゲエにハマったきっかけは?

lecca:私が最初にハマったのはジャパレゲ(ジャパニーズレゲエ)だったんです。英語やパトワ語(ジャマイカ・クレオール語)がわからなかったので、10代の頃はレゲエにハマれなかったんです。でも、二十歳を過ぎて、日本人が日本語で唄ってるレゲエにすごく感銘を受けて。日本語で、「こんなに単刀直入に人を応援しようとする音楽が他にあるだろうか!?」と、すごく好きになったんです。今回、3曲目の「Vibes Up」で参加してくださったJUMBO MAATCHさんも「俺もそうやで!」って、私と同じところに引きつけられたみたいで。JUMBOさんは関西の方なので、土地柄や世代もあって浪花男さんに最初に憧れたらしいんですが、私は2000年代初頭の、JUMBO MAATCHさん、RYO THE SKYWALKERさん、MINMIさん、TOKIWA DEM CREWに感銘を受けて。関東で言うとFIRE BALLさん。音もカッコいい、メッセージも熱い、MCは真っすぐに伝わるし、「なんだろう、この音楽は!!」って思ったんです。ロックのライヴでは観られないような、政治家の演説に匹敵するような一人一人の魂の叫びみたいなものが伝わってくるのが衝撃でした。

──アルバムは、一曲目「上がるLIFE」からタイトル通りに上がりますね。

lecca:レゲエだと自然とメッセージがポジティヴで強くなりますよね。

──しかもピースで。

lecca:そう。相手を落とすとかじゃなくて、どうにかみんなでユナイトしながら上がってくっていう。レゲエって、そういうメッセージを唄っている方がほとんどなんです。歌詞の中でも人をディスるとかそういうことがない。目の前に現れた人を敵と見るようなことがなく、見た目や雰囲気が違う人でも、生まれた環境が違うからそうなっているんだよねっていう、相手に対しての最大限の理解とリスペクトがまずあって。こういう、人を責めないっていうピースな空気は、レゲエアーティストの中に脈々と流れているものなんです。自分が歌詞の中でも気をつけている部分って、ジャパレゲの方達から教えてもらったところが大きです。

──最後は必ず前向きで終わるっていうのも良いですね。

lecca:はい。歌詞の主人公が面している辛いところを唄うこともあるんですが、そこで終わらせない。辛い現実からどうしたらもっとよくなるか、必ず上向きなところで歌詞を終わらせる。そこが、言葉に関しては気をつけて書いているところかな。

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