【インタビュー】高崎晃 vs マーティ・フリードマン、出会い~ギター~音作り~そして未来への15,000文字超ロング対談

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■音作りは基本的に全部自分でする。テックが音を作ってくれても気になるところは微調整する(高崎)
■テックに頼むのは面倒くさいし自分で全部できれば一番いいと思うけど僕は音作りは大嫌い(マーティ)


――メタリックなデザインのPRSを弾くマーティさんの姿も、いつか見たいですね。ギターの基本的な音作りの面で、それぞれ意識していることは?

マーティ:ギターの音作りに関しては、僕は人に頼っています。テクニシャンですね。正直に言いますけど“餅は餅屋”だと思っています(笑)。

高崎:ハハハ! なんで、そんな日本語知ってんねん(笑)。

マーティ:いや、本当に餅は餅屋ですよ。僕はギターを弾くことが役割で、音作りをしたり、どのギターを使うかといったことを考えるのは機材のプロフェッショナルの役割だから。だから、レコーディング・スタジオに行って、今日はこの曲のこのセクションをやると、ギター・テクニシャンに言う。それで、こういう音で、こういうプレイをするから、それに合う音を作ってくださいと頼んで。その間に僕は食事をしたりして、スタジオに帰って音ができていたらレコーディングをスタートします。

高崎:ギターとかアンプとかに、こだわらないんだ?

マーティ:一切こだわらないです。機材は完全に道具です。

高崎:すごいな。

マーティ:僕は、音作りのためにギターを弾くのが大嫌いなんですよ。だって、音作りのために弾くということには、なんの意味もないじゃないですか。僕は、ギターを弾くことに意味が欲しいです。音作りのためにデタラメなギターを10分、20分、30分、ヘタすると1時間も弾いていると、ウンザリするから。

高崎:なるほど(笑)。それで、その辺は全部テックに任せると?

マーティ:そう。その辺は、人によると思いますけど。僕は機材のことや音作りのことがサッパリ分からないから楽しめないけど、日本では意外とテックよりもプレイヤー本人がそういうことが大好きなことが多いみたいですね。実際、音作りも上手ですし。でも、僕は違うんです。テックに頼むのは面倒くさいし、自分で全部できれば一番いいと思うけど、音作りは大嫌いです。スタジオに入ったら全部用意ができていて、今日はそれまで全然ギターに触っていなかったのに、1音鳴らしたら素晴らしい音がするというのが一番気持ちいい(笑)。

高崎:チューニングもしない?

マーティ:しません。正直、1人ではなにもできません(笑)。

――テクニシャンが作ってくれた音が、自分がイメージしていた音と違っていて困ることは?

マーティ:ほとんどないです。僕が音作りについて一番言うのは、バーで演奏するカバーバンドとかを仕事にしているギタリストの音色を作ってください…ということなんですよ。いわゆる、普通のロックの音色ですよね。そういう音なら、基本的にどんなプレイにも対応できるから。ただ、僕は耳が鈍いわけではなくて、アホみたいに音には厳しいんですよ。だから、テックが作った音が自分がイメージしている音と違っているときはすぐに分かる。でも、どうすれば、それが出したい音になるかが全く分からないんです(笑)。高崎さんは、自分で音作りをするタイプですか?

高崎:基本的に、全部自分でする。テックが音を作ってくれても最終的には自分で確認して、気になるところがあると微調整するし。音作りの面でこだわっているのはすごく感覚的なことで、言葉にはしにくいんやけど。ギターをゴンゴンゴンと弾いたときに、股間に響いてくる音というか。自分の身体の中心だったり、女性の身体の中心に“ゴン!”と響くような音。それを目指すね。

――歪みは、アンプのナチュラルな歪みを活かしているのでしょうか?

高崎:レコーディングは、ほぼアンプ直やね。ライブではデカいボードも使っているけど、レコーディングは基本的にダイレクト。

マーティ:マーティ:高崎さんの音はすごく気持ちいいし、歪み方も気持ちいいですよね。レコーディングで使う機材はいつも同じ組み合わせですか、それともレコーディングのたびに変わるんですか?

高崎:アンプは、もうずっと変わらない。それこそ、20年くらい変わらないシステムを使ってる。プリアンプは、マーシャルのJMP-1という薄っぺらい1UタイプでMIDI対応のヤツ。俺は根っからのマーシャル好きで、マーシャルが新製品を出すたびにチェックするようにしてる。JVMは結構気に入ったけど、やっぱり最終的にはJMP-1に戻ってしまうんだ。パワーアンプはロジャー・メイヤーが作ってくれた6550で、すごくレンジが広くて気に入ってる。それに、'70年代からずっと愛用しているキャビネットがあって。キャビネットは、すごく音を大きく左右するよね。そのキャビネットに放り込むと結構自分の音になるから、もうずっと使ってる。そういう感じで、アンプ周りはずっと変わってなくて。ギターは、時期によって変わっているけどね。マーティは、ライブで使うアンプも特に決めてないの?

マーティ:ライブでは、エングル(ENGL)を使っています。エングルは、もう最高です。すごく現代的なヘビィメタルの音だし、PRSのEMGピックアップとの相性も良くて。なんて言うんだろう……特殊な音ではなくて、とても普通のベーシックなヘビィメタルの音がするから。“裏切られないアンプ”という印象がありますね。それに、僕も高崎さんと同じように、アンプの歪みを活かしています。実は、エフェクターはあまり使わなくて。この間のヨーロッパ・ツアーで1曲だけBOSSのオクターバーを使ったけど、それ以外は一切使わないですね。

高崎:エングルのフットスイッチみたいなのが、足元に置いてあるの?

マーティ:置いていたんですけど、今回のライブではクリーンの音色がなかったし、僕はずっとソロを弾いてる感じだから(笑)。チャンネルを切り替える必要がなくなったからフットスイッチもなくしました。他のアーティストのサポートとかでギターを弾くときは、いろんな音が出せる、ちゃんとしたスイッチング・システムを使っていますけど。自分のライブに関しては演奏で音を変えられるから、チャンネルを切り替えなくても対応できるんです。ちょっと不思議な説明ですけど。

高崎:いや、分かるよ。

――シンプルなシステムで上質なトーンを引き出しているところは共通していますね。今日の対談で、お二人が長いキャリアを誇りつつ、今なお意欲的な姿勢で音楽に取り組んでいることを再確認しました。それぞれ、今後はどんな存在を目指しますか?

マーティ:僕は、自分がティーンネイジャーだった頃からギタリスト/ミュージシャンとしての目標は全く変わってなくて。昨日より少しでも新しいところにいければ良いと思っています。僕は、子供の頃から大きな目標を掲げたことはなくて。いつか武道館でライブができれば良いな…くらいで、“絶対に成し遂げてみせる!”みたいな目標は一切なかったし、今でもないんですよ。こだわっているのは、新しいアルバムを出したときに、前のアルバムのほうが良かったと言われないように、前のバンドのほうが良かったと言われないように、最新のものがベストと言われるようにしたいということだけです。ビジネスとしての成功だったり、トレンドだったりといったこととは関係なく、自分が前作よりも良いと思える作品を作っていきたい。だから、次に作るアルバムも『インフェルノ』よりも少し良いものになると思います。

高崎:俺はロックを、ずっとやってきていて。ロックというと日本のロックとかアメリカのロックとかいろいろあるけど、俺の中ではロックというのは一つしかなくて。それは、世界で言うロックで、その音楽がロックか、ロックじゃないかというところでロックと言われるもの。そういう意識のもとにロックをずっと追究してきたから、AC/DCとかエアロスミスみたいにロックの殿堂入りするくらいのところを目標にしていきたいね。そういう意気込みでやっていきたいと思ってる。


取材・文●村上孝之


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