【インタビュー】THE PRIVATES、結成30周年「求められる音でなく、自分たちの求める音楽を」

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結成30周年を迎えたTHE PRIVATESが8月6日、第二弾配信シングル「キッスを、もう一度」をリリースした。この春発表された第一弾配信シングル「ONE MORE TIME」が危険な香りをまき散らすロックナンバーだったのに対して、「キッスを、もう一度」は夏の終わりの恋心を切なく奏でるミディアムポップチューンだ。作詞作曲はボーカル&ギターの延原達治によるもの。浜辺の記憶を綴る歌詞が60年代テイストサウンドに乗せてドラマティックに届けられる。また、サウンドメイクへのこだわりは深く、バンド30年の歴史は時代に流されない確固たるTHE PRIVATESのサウンドを作り上げたようだ。

◆「キッスを、もう一度」ミュージックビデオ

現在も彼らは年間100本以上のライブ活動を行なっているという。この夏は、<ROCK IN JAPAN FES.2014>や<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO>など大型フェスへの出演も決定した。さらに、10月には結成30周年を記念した2枚組のオリジナルアルバムをリリースするなど、ますます精力的な活動が約束されているTHE PRIVATESの延原に「キッスを、もう一度」はもちろん、音楽を取り巻く環境の変化やムーブメントの変遷、そしてアルバムについて訊いた。

■新しいデジタルな音に対して“NO”という感覚もない
■50年代や60年代の音が好きだけど、全部音楽という感じだからさ

──配信シングル第二弾「キッスを、もう一度」は、エッジーなロックロールだった第一弾「ONE MORE TIME」とはがらりと雰囲気が変わって、甘い夏ソングですね?

延原:曲はアルバム用にいろいろと作ってるところだったし、第一弾があんな感じだったこともあって、第二弾はかわいい曲にしようよって(笑)。そんな感じで決めたんだけど、そしたらスタッフも「いいね」って言ってくれて。リリースが夏だから、ぴったりじゃない?

──夏の夕暮れ時を思わせる、すごく心地よい楽曲です。音作りや歌詞を書く上でこだわったことは?

延原:俺は7インチのレコードを聴くのが好きなんだけど、そうするとA面がダンスだったらB面はバラードだったりするから、第一弾と第二弾にはそのイメージがあったかな。

──第一弾「ONE MORE TIME」と今回の「キッスを、もう一度」の歌詞の両方に、“ONE MORE”というワードが出てきますが。

延原:これはほんと、偶然です(笑)。申し訳ないけど、まるで意図してないんですよ。

──何か深い意味があるのではないかと勘ぐりましたよ(笑)。

延原:だったら、深い意味があるってことでそうしておいてください(笑)。

──“キッス”というワードも延原さんならではだなと。

延原:え、そう?

――多くの歌詞やタイトルを目にしますが、キスかKISSと表記することが圧倒的に多いですから。

延原:あ、そっか、なるほどね。それも全然気付かなかった。意図しないところで不思議なミラクルが起きまくってるね、今回のシングルは(笑)。

──レーベルがワーナーになったことで、レコーディングの環境に変化はあります?

延原:それはないかな。さっきも言ったけど、アルバムのレコーディングを同時に進めてて、ずっと前からの仲間でNEATBEATSのMr.PANのスタジオで録っているんです。彼も同じように50年代や60年代のサウンドが好きだから、それを再現しようってことじゃないけど、……ちょっと長い話になるけどいい?

──もちろんです。むしろ興味津々です。

延原:僕らは80年代、90年代、2000年代、2010年代って活動してきて、そうやって区切るのもなんだけど、自分たちのことを言えば80年代や90年代は、60年代の音楽が好きでそのもとに音楽をやってきたけど、その時代を再現したいって言う発想は全然なかったんだ。ちょうどあの頃はレコーディング機材も急成長していて、僕らも20代でそこに呼吸を合わせるようにして進歩していったわけで。90年代になるとデジタル機器や、サンプラーが格段に進化して、結構ストロングな音が出せるようになったりしたんだよね。僕は50年代や60年代の音が好きだけど、かといって新しいデジタルな音に対して“NO”という感覚もなくて、全部音楽という感じだからさ。

──時代とともに音楽を取り巻く環境が変化して、延原さん自身の向き合い方も自然に変遷していったと。

延原:そうやっていくうちに、2000年くらいになってかな。自分たちがやっている、やりたい音楽に対して一番合う音ってやっぱりあるんじゃないかなって気付いたんだよね。最新機材だとか、デジタルでストロングな音も出るってことになっても、目の前に時代に関係なく、くぐり抜けてきた機材がある。全ての機材が出揃った感じがあるし、そのうえで50年代や60年代のものを「やっぱりこれがベストなんだな」ってチョイスする気持ちになれたように思うんだ。

──テクノロジーの進化から目を逸らしたわけではなく。

延原:うん。たとえば、90年代の終わり頃で言うとPODっていうアンプシミュレーターがあったじゃない。それをレコーディングで使用することが流行ってさ。PODの中にはオールドから最新のものまで、シミュレートされたギターアンプが20個とか入ってて、つまりは多彩なアンプから自分の好みが選べたわけだよね。でもさ、結局のところ何十種類もあるアンプのなかから使うのってツイードのフェンダーだけだったりして(笑)。ただ、それは自分自身が選んだものでさ。それに僕らのバンドって、いろんな場所に行って音楽をやるけど、その場で求められる音じゃなくて、自分たちの求める音楽をやる、それがスタイルなんです。そんな僕らが音を出す時に、シミュレーターで出す音と実際のツイードのフェンダーがあれば実際のツイードを選ぶし、サンプリングされたVOXジャガー・オルガンの音と本物のジャガーが並べば、そりゃ本物を手に取るよね(笑)。そのほうが絶対にいい音だし、僕らの好みだから。その考えに則って、自分たちが求める環境でやるのが一番じゃないかと今は思ってますね。

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