【インタビュー】THE PRIVATES、結成30周年「求められる音でなく、自分たちの求める音楽を」

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■メンバーに対しては愛憎入り乱れて、すごい愛してる
■と同時に誰よりも憎んでもいる(笑)。それほど知り尽くしているわけでさ

──30周年を記念するアルバムの完成を楽しみにしています。その30年キャリアを振り返ると、1980年代~2010年代までで、延原さんご自身はどの年代が面白かったと感じますか?

延原:そうだな……ずっと面白く生きてきたからなぁ(笑)。それにね、今から見れば80年代もだいぶ違って見えるかもしれないけど、俺が音楽を聴き出した70年代の終わりごろからみた60年代って、圧倒的な“時差”を感じたんだよ。写真なんかを見ても“人種が違うんじゃないか?”ってくらいファッションも何もかもが違って見える。ステージも機材やシステムも全然違うよね。それに比べて、今、80年代をみてもさほど変わってないように思うんですよ。

──進化のスピードが違うんでしょうか。

延原:まず60年代はステージにモニターもなかったし、今とは全然違うよね。コンサートやってる会場もいわば◯◯会館みたいな場所で、女の子たちがキャーって絶叫してるわけでしょ(笑)。80年代からわずか15年くらい遡っただけで、すごい違いなわけ。今から15年を遡ると1999年だけど、携帯電話やスマフォを誰もが持つようになったとか、レコーディングがアナログからデジタルになったとかツールの進化はあれど、あのときほどの差異は感じないですね。

──個人的には90年代後半はCDが驚異的に売れたり、それ以降はメディアがCDからデジタルへと移行したり、情報伝達手段としてWEBが躍進を遂げたりと、聴き手側の音楽への受け止め方や消費の仕方が変わったように感じます。

延原:そういう変化はあるかもしれないよね。僕も個人的には2000年くらいをさかいに、トレンドがなくなったと感じてます。それってネットで世界が繋がっちゃったからなんだろうね。自分が10代や20代の頃は“今、ロンドンでこれが熱い”とか“シアトルに新たな波が集まってる”って、嘘か本当かも分からないような、なにやらいかがわしい噂に乗っかって、それにいい意味で躍らされていた(笑)。実際はレコード会社とか洋服屋が仕掛けたことかもしれないけどね(笑)。それを知ったうえで面白がってた面もあったと思うんだよ。

──確かに、そうやってムーブメントが起きていましたね。

延原:そう。90年代のテクノでもそれに似た感じを僕は持っていて。あの頃はドラムンベースが出てきたときで、“うわ、すごいのが来た”って衝撃的だったし、その先もどんどん新しいものがテクノで果てしなく広がるんだろうって期待してたんですよ。けど、実際は2000年くらいに落ち着いちゃって、そこにダブステップがついたりとかって小さい進化はあるけど、劇的な変化ってなくなったなって思う。

──表現者としては新しい選択肢や表現方法を見つけるのが難しい時代なのかもしれませんね。それとはまた別の方法論が面白くなってきているというか。では、若い世代のミュージシャンをどう見ていますか?

延原:最近のバンドの傾向は、レイジ(OKAMOTO'S/延原氏のご子息)とかから、いろいろ教えてもらう(笑)。たとえば、「最近はみんな高音まで声が出せる」とか(笑)。

──この夏は、そのOKAMOTO'Sも出演する<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014>や<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO>などの大型フェスにも相次いで出演しますね?

延原:<RISING SUN>は前にも出たからどんな感じか分かるけど、<ROCK IN JAPAN>はどうなるか未知だから、それもある意味で楽しみだね。フェスではOKAMOTO'Sと一緒で、しかも同じステージでセッションできるから、それがすごく楽しみで(OKAMOTO'Sは斎藤有太と共に<RISING SUN>の「FRIDAY NIGHT SESSION~ROCK'N'ROOL CIRCUS~」のホストバンドとして、延原達治をはじめ、奥田民生や仲井戸麗市、中村達也らとの競演が決まっている)。2014年は縁あってお互いに大きな舞台が用意されたから、「お互いに出るなら、一緒にやるか」って話になったんだよね。普段も電話して、「一緒にスタジオ入ろうぜ」って言えばいいだけのことかもしれないけど、そういうことも別にしないし、一緒にやる機会ってありそうでなかなかないから、なにげにすごく楽しみです(笑)。それを観てくれる人も楽しんでもらえたらいいなって思う。それに、フェスだといろんなバンドの友達にも再会できるし、たくさんの人の前でやれるし、楽しみは多いね。たださ……、<ROCK IN JAPAN>や<RISING SUN>もそうだけど、ステージがいくつもあるじゃん。だからあるステージには何万人も詰めかけて、俺らのステージには10人くらいだったらどうしようって(笑)。

──そんな心配は間違いなく無用です(笑)。

延原:あはは。何が起こるかわかんないからさ、ブランBとかCも用意しておいたほうがいいじゃん。太字で書いといてよ、「来てくれないと困るんだ!」って(笑)。

──全国で30周年を祝うトリビュート盤が作られるようなレジェンド・バンドが何を言いますか(笑)。

延原:それについては、本当にうれしいし、ありがたいよね。大阪と北海道で作ってくれたトリビュート盤が届いたときは、友達のうちに行くたびに「これが今、THE HOTTEST ALBUMです!」って自慢しながら一緒に聴いてた(笑)。すると、普段は音楽とは関係ないところで生活してるような友達が、俺よりも喜んでくれて「すげぇな」って言ってくれるんだよね。だから秋に出る東京盤も楽しみだし、それに参加してくれたやつらが30周年を迎えたら俺も必ず参加する気持ちでいます。

──30周年もTHE PRIVATESや、延原達治としては1つの通過点という感覚なのでしょうか?

延原:そうだろうね。2013年10月に50歳になったんだけど、これからの10年間を人生の山場にしたいなって思ってるんですよ。山場を迎えて「サイコーだぜ」って勢いのまま60代を迎えるのか、50代で燃え尽きて60代はどうやって枯れていくのかをプランを練るか(笑)。そんなこと20代には思いもしなかったけど、50歳になってすごく考えたし、すごく楽しみになった。バンドに対してもすごく期待してます。

──“五十にして天命を知る”と言われますが、歌うことが天命だと?

延原:そうだね。あと演奏すること。それをずっとやり続けたいと思うし、その気持ちがどんどん増してるんですよ。メンバーに対しても愛憎入り乱れて、すごい愛してる、と同時に誰よりも憎んでもいる(笑)。メンバーの悪口なら、電話帳3冊分くらいなら書ける自信があるね(笑)。それくらい知り尽くしているから鳴らせる音があるわけでさ。

取材・文◎橘川有子



■2014年配信シングル第2弾「キッスを、もう一度」
2014年8月6日(水)配信スタート
iTunes URL https://itunes.apple.com/jp/artist/the-privates/id74570440?at=10l6Y8
レコチョクURL http://recochoku.com/w0/theprivates/

■結成30周年記念オリジナル・アルバム『Les beat』
2014年10月1日(水)発売
WPCL-11967/68 \3,000(税抜)
●収録内容:2枚組 Disc1オリジナル楽曲/Disc2洋楽カバー曲
<Disc1 全13曲収録>※曲順未定
※M1.エレベーター No.9
※M2.ONE MORE TIME
※M3.あいつはさかさま
※M4.DOGGIN' AROUND
※M5.キッスを、もう一度
※M6.リメンバー
※M7.どこかにときめき
※M8.誰もいない街
※M9.GAKKO SHUFFLE
※M10.ブギウギ一晩中!
※M11.バビロンの歯車
※M12.君が君に
※M13.最後まであきらめるな
<Disc2 全10曲収録>※50S‐60Sの洋楽カバー※曲順未定 ※Guestパートは後日発表
※M1.Memphis train (オリジナル:Rufas Thomas) Guest:Dr.kyOn
※M2. I’m ready (オリジナル:Fats Domino) Guest:花田裕之
※M3. Black night (オリジナル:Arthur Alexander) Guest:仲井戸“CHABO”麗市/オカモトショウ (OKAMOTO’S)
※M4. Rollin’ stone (オリジナル:Muddy Waters) Guest:柴山“菊”俊之 /甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)
※M5.Mojo workout (オリジナル:BOBBY LONG&HITS SATELITES) Guest:オカモトショウ (OKAMOTO’S) /オカモトレイジ (OKAMOTO’S)/岡本雅彦
※M6. Donna (オリジナル:Ritchie Valens) Guest:下山 淳
※M7.Heart beat (オリジナル:Buddy Holly) 
※M8.I feel good (オリジナル:Benny Spellman) Guest:真島昌利 (ザ・クロマニヨンズ)
※M9.Ko ko joe (オリジナル:Don&Dewey) Guest:Takashi "Mr.PAN" Manabe (THE NEATBEATS)/Dai "Mr.Gully" Ura (THE NEATBEATS)
※M10.Wang dang doodle (オリジナル:Howlin’ Wolf) Guest:チバユウスケ (The Birthday) /加藤“Yotchan”義明 (Ex.村八分)

◆THE PRIVATES オフィシャルサイト
◆THE PRIVATES レーベルサイト

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