【ライヴレポート】MUCC、[Alexandros]との対バンはとても大きな収穫──<ARMAGEDDON>詳細レポ

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3月11日の恵比寿LQUIDROOMからスタートした7ヵ月間連続で毎月異なる全6種類のツアーを各9公演行っていくという『SIX NINE WARS~ぼくらの七ヶ月間戦争~』も、いよいよラストスパート。8月6日のZepp Nagoyaを皮切りに、最終章となる<Episode6.「ARMAGEDDON」>がスタートした。先日公開した速報レポートに続いて、同公演の詳細レポートをお届けしたい。

◆MUCC×[Alexandros] 拡大画像

<Episode6.「ARMAGEDDON」>の初日の対バン相手となったのは、[Alexandros]。UKロックをルーツとする[Alexandros]との対バンは、今ツアーの対バン相手の中では、特に異種格闘技と言えるであろう。初日にここまでのアウェイ戦をぶつけるとはなかなかのもの。アウェイ戦を怖がらず、構えることなく、手放しで突っ込んでいけるMUCCは、自分達の音楽性にしっかりとした手応えを感じ、自信をつけたからこそのことであろう。

[Alexandros]もまた同じ。ジャンル問わず積極的に闘ってきたバンドゆえ、彼らの放つ音は素晴しく個性的で揺ぎない。[Alexandros]が今、多くの若者から支持されているのは、自らをアウェイな場所に置き、何にも媚びず頼らず、自分達の音と唄のみで闘ってきたからこその結果であろう。そう、だからこそ彼らの音は潔く強い。異なるフィールドで活動するMUCCと[Alexandros]に共通点があるとするならば、“同じ志しを持つバンド”と言うところだろう。躊躇なく突き進むMUCCと、躊躇なく受け入れる[Alexandros]。両者のガチンコな闘いは、素晴しく遠慮のないぶつかり合いとなった。

18時半。先陣を切ったのは[Alexandros]だ。オープニングSEをバックにステージに現れた4人は、定位置につくと挨拶代わりに「Burger Queen」(インスト)を届け、1曲目に置かれた最新シングル曲「Droshky!」へと繋げた。

「暴れちゃって下さい!」

ヴォーカル&ギターの川上がこう叫ぶと、曲は間髪入れずに2曲目の「Stimulator」へ。独特なスナップ感を基盤としたドラムが攻め立てるようにリズムを押し進めていく上に、弦楽器隊の凄まじいユニゾンリフが重なりあう。圧巻のサウンド感である。庄村の生み出すタイトなハイハットと絶妙なタイミングで刻まれるスネアと、息継ぎなく畳み掛けられる白井と川上のギターと磯部のベースがフロアにタテノリのダンス空間を描き出した「Waitress,Waitress!」。この音は、もはや4人にしか生み出せないと言っても過言ではない唯一無二のパフォーマンスである。

インタールードにMETALLICAの「Master of Puppets」を挟んで届けられた「Cat 2」、「Kick&Spin」という流れは、前半戦とは違う熱さを放ち、フロアの景色を染め変えた。思わず、UKロックがルーツだったのでは!?と突っ込みを入れたくなってしまうほど、最高のメタル感で攻め立てた「Kick&Spin」の間奏など、ジャンルレスに音楽を愛する彼らの、どこまでも純粋なミュージシャン魂を見た気がした。[Alexandros]、彼らは最高のバンドだ。

「MUCC先輩に呼んで頂いて感謝してます! MUCC先輩は寛大で、持ち時間が同じなんですよ。これなかなかないことですよ。すごいことです。普通はメインアクトの持ち時間の方が長いものなんでね。これ、本当にガチンコなんです! 対バンというより、闘いなんです。ライヴ前に逹瑯さんと対談させてもらったんですけど、すごくナイスガイで」と、川上が言いかけたところで、フロアの夢烏(ムッカー:MUCCファン)たちに苦笑の波紋が広がった。

「あれ? なんかマズイこと言ったんじゃない?」。ベースの磯部がそんな一言を発すると、夢烏たちの苦笑は爆笑へと変わった。お世辞でもナイスガイとは言いがたい逹瑯ゆえのこと。このくだりは、[Alexandros]のあまりにすご過ぎるパフォーマンスに身動き出来なくなっていた夢烏たちの体を和らげてくれた一幕となった。そして、彼らは、このイベントに敬意を称し、普段ワンマンでしかやらないという、美しい景色を放つミディアムナンバー「Travel」を特別に届けてくれたのだった。

「またいつか、我々のライヴにお招きしたいと重います。今日、このイベントに誘ってくれたMUCCに捧げます」。そう川上が言って届けられたのは「Adventure」。オーディエンスは、その音に声を重ね、ステージから放たれる柔かな光と音に手を掲げた。

さぁ、圧巻のライヴを魅せてくれた[Alexandros]にMUCCはどう立ち向かうのか。ワンマンとは違った期待が彼らにかかった。20分の転換時間を挟み、20時ちょうどMUCCがステージに登場した。[Alexandros]の挑発によって、やはりテンションはいつも以上に高めである。しかし。それは、the telephones、THE BACK HORN、ROTTENGRAFFTY、FAKE?、SEBASTIAN X、ストレイテナーという異なるジャンルの音楽性を持つバンドとの対バン形式で行われた<Episode2.「VS」>や、SuG、MERRY、LM.C、vistlipらと闘った全国3マン対バンツアー<Episode4.「TRIANGLE」>とは、また違った空気感を放つモノだった。

「名古屋~! 始めようか!」。堂々たる風格でフロアに始まりを告げる逹瑯。4人はそこから「ENDER ENDER」を1曲目にライヴをスタートさせた。<Episode2.「VS」>では、対バン相手に寄せたセットリストで戦いに挑んでいた彼らだったが、今回は、どうやらさらにありのままのMUCCで勝負を挑もうという魂胆らしい。2曲目に「Mr.Liar」を置き、力強いマーチングドラムで始まった「G.G.」でフロアとの一体感を生み出すと、そこから一気に「謡声」へと繋げた。息をつく間もないほどに音を畳み掛けてきた[Alexandros]に対し、MUCC側も全面的に“攻め体制”で挑むであろうと思ったのだが、ここでメロディアスな歌モノである「謡声」を選んでいたとは。少々意外な流れだった。しかし、ここ最近、あまり本編では見られない流れとあり、オーディエンスは多いに盛り上がった。

また、この日、そこから新たなMUCCの扉を開いたとされるガレージ系ロック「WateR」に繋げていたのも印象的だった。わざと力を抜き、侮ったかのような唄い方をする逹瑯と、SATOちの前に集まり、音をダイレクトに掛け合わせていくミヤとYUKKEの無骨なMUCC感は、彼らを初めて観た[Alexandros]のファンたちの印象を覆していたに違いない。さらに、YUKKEがアップライトベースを使って魅せた中盤の「自演奴」「ピュアブラック」「ファズ」などの艶やかな世界観や、デジタルとバンドサウンドを融合させた世界観も、MUCCというバンドの印象を大きく広げたモノとなったことだろう。

「[Alexandros]のメンバーとは初対面なんですけど、みんなすごくナイスガイなヤツらで。このクソ忙しい時期に、こんな訳のわからないバンドのオファーに、二つ返事でOKしてくれたんですよ。本当にインテリジェンスなメンバーさんたちなんで、これからもぜひ仲良くさせて頂きたいと思いますが。初めてMUCCを観てくれた[Alexandros]ファンのみなさんも、本当にどうもありがとうございました」

自分のことを“ナイスガイ”と言ってくれた川上の言葉を借りて、[Alexandros]ファンの懐にスッと入ったMCを届けた逹瑯。そんな逹瑯の言葉からも、垣根なくこの対バンを楽しめていた様子がうかがえた。

そして、彼らはこの日、新曲「故に、摩天楼」を披露した。そこに描かれた景色はとても柔らかな色を持った世界。ミヤのメロディアスなギターフレーズが印象的なミディアムナンバーは、多くのオーディエンスの心を引き寄せた。そして、後半はMUCCらしく、「YOU & I」や「MAD YACK」という激しいナンバーでラストまで畳み掛けていった。

「楽しいね! 名古屋! 今日、一緒に闘ってくれた[Alexandros]に感謝。最後に難易度の高い遊びに付き合ってもらってもいいですか?」

逹瑯はラストに置かれた「蘭鋳」の間奏前に、オーディエンスを全員座らせ、4カウントで一斉にジャンプするという“難易度の高い遊び”を説明すると、SATOちの4カウントを合図に、そこに集まったオーディエンス全員と高くジャンプしたのだった。素晴しい初日となったこの日、[Alexandros]との対バンは、MUCCにとってとても大きな収穫となったに違いない。

取材・文◎武市尚子 撮影◎瀧本行秀

<Episode 6.「ARMAGEDDON」>
2014年8月6日@Zepp Nagoya
[Alexandros]セットリスト
SE~「Burger Queen」
01.Droshky!
02.Stimulator
03.Waitress, Waitress!
04.Run Away
05.Cat 2
06.Kick&Spin
07.Travel
08.Kill Me If You Can
09.city
10.Starrrrrrr
11.Adventure

MUCCセットリスト
※後日公開


■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」>毎公演異なるアーティストとの2マンTour
2014年8月06日(水) Zepp Nagoya VS [Alexandros]
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月09日(土) 新木場Studio Coast VS 氣志團
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月17日(日) 京都KBS HALL VS GRANRODEO
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月19日(火) Zepp Namba VS BUCK-TICK
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月20日(水) Zepp Namba VS シド
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月22日(金) 川崎CLUB CITTA' VS D'ERLANGER
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月24日(日) 大阪城野外音楽堂 VS ゴールデンボンバー
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月26日(火) Zepp DiverCity VS MICHAEL
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM VS geek sleep sheep
OPEN 17:30 START 18:30

■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」>
2014年9月23日(火・祝) 国立代々木競技場第一体育館
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケット一般発売日:2014年8月2日(土)

◆SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- 特設サイト
◆チケット詳細&購入ページ
◆MUCC オフィシャルサイト
◆[Alexandros] オフィシャルサイト
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