【インタビュー】DOLL$BOXX、ハード&ラウドなのにキュートなガールズバンドの完成形

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インディーズシーンで活躍中のガールズロックバンド、ガチャリックスピンと、嬢メタルシーンを牽引するライトブリンガーのFuki(Vo)が、最強のガールズバンドを結成。DOLL$BOXXという一見するとスウィートなバンド名に可愛らしいルックス。しかし、サウンドはヘヴィかつハード&パワフル。華のあるポップなメロディとFukiが書く女性らしい叙情感のある歌詞が見事に融合して生み出す世界は華も毒もある。そんなデビューアルバム『DOLLS APARTMENT』を引っさげ、12月12日、ロックシーンに華麗に登場する。

◆DOLL$BOXX~拡大画像~

――まずは結成のいきさつから聞かせてください。

 ▲Fuki
 ▲TOMO-ZO
 ▲FチョッパーKOGA
 ▲はな
 ▲オレオレオナ
 ▲『DOLLS APARTMENT』初回限定盤
 ▲『DOLLS APARTMENT』通常盤
FチョッパーKOGA:出会い自体は、去年の夏くらい。ライトブリンガーとガチャリックスピンの対バンで出会ってるんですよ。DOLL$BOXXを結成する直接のきっかけになったのは、2012年が始まった途端、ガチャリックスピンはヴォーカルが体調を崩して脱退ということがあったりいろいろ大変で。ヴォーカルがいないということで、サポートヴォーカルを入れてツアーをやろうとガチャピンチツアーというのをやったんですが、その時に何箇所かで唄ってくれたのがFukiで。

――それが始まりなんですね。

FチョッパーKOGA:Fukiは、私たちがツアーをやろうとしていることを風の噂で聞いて、「何かやれることがあったら言ってください」って、一番に声をかけてくれたんですよ。実際に一緒にやってみたらすごくシックリきたから、何かまた新しい形でやれたらいねということで生まれたのがDOLL$BOXXなんです。

――どういうところで響き合ったの?

Fuki:年齢も近いですからね。最初にサポートヴォーカルをやったときから自然にスーッと(笑)。

FチョッパーKOGA:安心できる部分もあるし、これがバンドとして形になったら凄いものが生まれるんじゃないかっていうドキドキ感というかワクワク感もあったし。Fukiからも「一緒にやりたいね」っていう話もあったし。今年の夏くらいから話がどんどん進んで行って、今に至る感じですね。

――DOLL$BOXXという名前はどうやって決めたの?

Fuki:二つの単語をくっつけて、略したときに4文字になるっていう縛りでみんなで色々出し合って。DOLL$BOXXで略して“ドル箱”。

FチョッパーKOGA:私は「ヤング熟女」っていう案を出したんだけど、それにならなくて良かったです(笑)。女の子5人がやるバンドだから、女性を感じる言葉を入れたかったんですよね。

Fuki:うん。熟女よりはドールだよね(笑)。

■「fragrance」って曲は2人で一つの香水を分け合っている
■でもそんなの実体験ではないですから(笑)


――で、デビューアルバム『DOLLS APARTMENT』が完成しましたね。5人で作る最初のアルバムですが、2人でひとつ、表裏一体、自分のアイデンティティー、なんとなくそんなテーマを感じたんですが。

Fuki:特に意識はしてないですけど、私っていうひとりの人間が歌詞を書いているから、自然と共通点が出て来ちゃうっていうことじゃないかな。歌詞は、メンバーが曲を上げて来たときに、なんとなくイメージを伝えてくれるんです。なので、そのテーマに沿って書いていった感じです。全部の曲に対しての一貫性とか共通点は意識していなくて、曲ごとっていう感じに作ったつもりです。私、歌詞はフィクション主義なので、自分の想いとか、そういうものは書いたりしないんです。

――すごくリアルだから、どれも実体験から来るものなのかと。

Fuki:私の場合、こういう性格のこういう人が唄っているって設定するんです。

FチョッパーKOGA:主人公を決めるの?

Fuki:そうそうそう。登場人物は男なのか女なのかとか、こういう口調の人とか。自分じゃない誰かを見立てて主人公にした歌詞を書いているので。どっちみち、Fuki自身の気持ちは投影されるところはありますけどね。

――プロの作詞家さんの感覚に近いのかな。

Fuki:そうかもしれないですね。例えば、「fragrance」ですが、2人で一つの香水を分け合って使っていたとか、ないですから(笑)。そんな人いるのかな? いたら素敵だなっていう妄想の中で……。自分の中ではあり得ないから、ある意味ファンタジックなんですよ。

FチョッパーKOGA:でも好きな人の香水とか匂いって忘れないよね?

TOMO-ZO:何、オトメなこと言ってるの?(笑)

Fuki:でもそういう、女子の視点って、せっかくのギャルバンだから入れたいなぁって思ったんです。これは、女性視点の恋愛の歌詞じゃないですか。「fragrance」も、デモの段階でみんなから「恋愛の歌詞にして」とか、「さよなら」のイメージでとか言われてたんですよ。あ、でもKOGAは「欲望」とかだったかな?

FチョッパーKOGA:そうだっけ?

Fuki:一人だけおかしくて(笑)。みんなしっとり切ない恋愛系なのに。

FチョッパーKOGA:この曲、ラップが入ってくるでしょ。良い恋愛だけじゃなく、ドロドロした部分もあるのかなー?と思って「欲望」。

Fuki:ただ別れをしみじみ切なく思ってるだけではない歌詞ですね。実体験ではないです(笑)。

一同:ホントに!?

Fuki:おそろいの香水とか一緒に使ってみたいよねー?(笑)

はな:ホントにそういうのに縁がない5人なので……。

FチョッパーKOGA:そういうことをあえて口に出して傷を舐め合う……。

Fuki:じゃあさ、グッズで香水作ろうか。ファンの人も一緒に、みんなで同じ香水つけられるよ。

はな:もし香水がグッズで売ってたら、この話の流れで出来たということで(笑)。

■「Loud Twin Stars」はギターソロも全部ツイン
■だから歌もハモりじゃなく同時に唄うっていう


――ははは(笑)。自分達のバンド名がタイトルになっている「Doll's Box」って曲がありますね。これもフィクションなんですか? 子供時代から捨てられない人形とかぬいぐるみがある人は泣けますね。

Fuki:私はぬいぐるみが大好きで、家に大量にあるんで、新しいのを買うとベッドとかにも置ききれなくなっちゃうから……。

FチョッパーKOGA:ベッドにぬいぐるみ置いてるの? あ、選抜メンバーとか決めてるんだよね?

Fuki:そう。一軍二軍とか、押し入れにしまっておく補欠みたいな子たちがいるんですけど、それも捨てたりできないんですよ。で、「すごく懐かしいぬいぐるみ袋」みたいなのがあるんです。それを見たときに、「あぁ、この子いたー!」名前なんだっけ?ってつけけた名前も忘れちゃったりしてて。そういうことも思いながらこの歌詞を書いてたんですが、書きながら自分でウルッとしちゃって。自分が大事にしてたぬいぐるみとか人形がこういう風に思っていてくれたらいいなぁって。なので、この曲はFuki個人の思い入れが入っていますね。

――これはクリスマスの話ですよね。

Fuki:そうですね。クリスマスっていう単語自体を入れてないんですが、アルバムの発売が12月なので、敢えて季節感を感じさせないのもいいかなって。

――「Loud Twin Stars」はツインヴォーカルになってますね。

はな:曲を作っている延長で、全部ツインで行こうってことになったんです。ギターソロもツインにしちゃおうとか。どっちも唄っていたい、みたいな。だから歌もハモりじゃなく、同時に唄うっていう。

Fuki:Fukiとはなのツインヴォーカルでね。で、歌詞はTOMO-ZOが「二人で一つ」みたいなイメージを挙げてきたんですよ。

TOMO-ZO:ツインヴォーカルの曲でもあり、ガチャリックスピンとFukiが合体したっていうのもあったし、二つで一つの曲が出来たってイメージもあったので、それが歌詞にも出したらいいなぁと思ったんですよね。

Fuki:ヴォーカルに関してはレオナが唄っている曲もあって。基本はメインヴォーカルはFukiなんですが、ハモりもできるし、唄える人が3人もいるので、それは強みですね。

――デスヴォイスも使ってるよね。

Fuki:それはKOGAとはなの担当ですね。

FチョッパーKOGA:私は初挑戦です。はながメロを唄うとデスボイスができないから私がやりましょう!と。

Fuki:ライヴではTOMO-ZOもデスヴォイスを出します。

TOMO-ZO:おじいちゃんみたいな声ですけど(笑)。

Fuki:声を聴いて、この声誰だろうって想像しながら聴くのも面白いかもしれないですね。特にガチャリックスピンとライトブリンガーを知らずに、このバンドから知る人にも聴いてほしいので。その場合は、誰がどの声を唄っているんだろうってわからないと思うので、その辺もライヴに来てみてビックリというのも楽しいと思います。

■ガチャリックスピンでもなくライトブリンガーでもない
■イメージが色々膨らむ曲作りが多かったと思う


――曲はどうやって作っているの?

はな:みんなで作って、私が最終的にとりまとめているんですよ。

――DOLL$BOXXのサウンドイメージって?

はな:Fukiには、ライトブリンガーでは唄ってないようなことも唄ってほしいなっていうイメージがありますね。オレオが作って来る曲も、ガチャリックスピンでもなくライトブリンガーでもない曲を作ってきてくれたりして。イメージが色々膨らむ曲作りが多かったと思います。

オレオレオナ:ライトブリンガーでもガチャリックスピンでもない曲のほうがDOLL$BOXXらしさが出るし、作っていきたいなぁと思ったんですよね。

――「らしさ」っていうのはどんなところだと思いました?

Fuki:でき上がったものを聴いてようやく実感しました。

オレオレオナ:最初に「らしさ」を決めちゃうっていうよりは、やっていく中でできていったものに対してって感じですよね。

FチョッパーKOGA:そう。このメンバーで新しいこれに挑戦しようってことではなく、合体したことによって生まれるもの、それがDOLL$BOXXなのかな。でもFukiからの注文は、最初は「メタルじゃないもので!」って感じでしたけど。

Fuki:ふふふ(笑)。ライトブリンガーはメタルバンドなんですが、メタルバンドの中でしか唄ったことがなかったし、音源もメタルのCDしかないので。逆にメタル的歌唱をこのバンドで変に押さえるってことはしないんですが、あくまで、メタルシンガーだけどポップなものも唄えますっていう引き出しを見せて行きたかった。要素的にはツーバスドコドコ踏んでる曲もあるんですけど、メタルバンドではない。そこは断固として言いたいですね(笑)。

FチョッパーKOGA:名前だけみると可愛らしいイメージがあると思うんですが、音を聴くかわいくない感じで(笑)。でも、だからと言ってメロディは聴きやすいように作られているし、心がけている部分もあるんです。Fukiに合ったものを意識して作っているので、そういう意味ではガチャリックスピンとライトブリンガーが合体した作品ができたんじゃないかなと思います。まだまだ可能性も広がってますし、ライヴも回数を重ねれば重ねるほど、もっと良いステージが作れるんじゃないかなと思っています。

取材・文●大橋美貴子

◆【特集】ハード&ラウドなのにキュートなガールズバンドの完成形がここに誕生
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