坂本龍一も泣いた、コンテンポラリー・ダンス公演『バベル BABEL(words)』、東京上陸

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振付家のシディ・ラルビ・シェルカウイとダミアン・ジャレによるコンテンポラリー・ダンス公演の『バベル BABEL(words)』が、22日(金)の札幌公演に続いて、今週末いよいよ東京に上陸する。『バベル BABEL(words)』は札幌国際芸術祭2014のゲストディレクターである坂本龍一が惚れ込み、来日公演を実現させたものだ。

◆『バベル BABEL(words)』画像

コンテンポラリー・ダンスというと、難しい舞台と思われがちだが、先日行われた札幌公演は、決して抽象的すぎず、時には笑いもあり、場面が次々と変わっていくので観客を飽きさせない。強烈な肉体の迫力、斬新な音楽や舞台美術、超絶技巧も繰り出されダイナミックで迫力に満ちたパフォーマンスは札幌のオーディエンスを圧倒。スタンディング・オベーションといつまでも鳴り止まぬ拍手で大好評のうちに日本初演を終えた。

この舞台、もうひとつ注目すべきは現代イギリスを代表する彫刻家アントニー・ゴームリーが手掛けた巨大なフレームの舞台装置にある。舞台上で進行する現代アートのインスタレーションは息をのむ美しさだ。

また、中世イタリア、インドに日本といった様々な国の民族音楽を伝統楽器で奏でる音楽もチェックすべきところ。シェルカウイのアイデアで、テクノ・ミュージックを人力で再現する斬新すぎるサウンドも披露され、オーディエンスの土肝を抜く。

招聘に関わりながら初演の舞台を見られなかった坂本龍一は、見れなかった悔しさと、公演が成功した嬉しさで目に涙が浮かべたという。そんな坂本にパフォーマーはアントニー・ゴームリーの舞台彫刻を使って舞台で踊り、ひとりひとりが各国の言葉で「Thank you, Mr. Sakamoto!」とビデオ・メッセージを送ったそう。この素敵なプレゼントに「なんていう奴らなんだ!」と坂本の涙腺は一挙に決壊したそうだ。

『バベル BABEL(words)』は旧約聖書の「バベルの塔」の物語に由来している。民族、テリトリー、様々な言語、国家のアイデンティティといった問題を多国籍なダンサーとミュージシャンらによって描かれる舞台だ。

「世界中でナショナリズムと宗教による対立と暴力が吹き荒れている現在、この『バベル BABEL(words)』が発信する多文化を積極的に受け入れ楽しみ、コミュニケーションを回復しようというメッセージは、とても今日的で強いものだと思います。共感の強度、とでも言えばいいのでしょうか、そのようなものを感じていただけるはずです」──坂本龍一

『バベル BABEL(words)』の東京公演は東急シアターオーブで8月29日よりスタートする。

<シディ・ラルビ・シェルカウイ + ダミアン・ジャレ/バベル BABEL(words)公演概要>
@東急シアターオーブ
2014年8月29日(金)18:30開場 /19:00開演
2014年8月30日(土)13:30開場/14:00開演 
2014年8月31日(日)13:30開場/14:00開演

◆『バベル BABEL(words)』オフィシャルサイト
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