【ライブレポート】山崎あおい、20歳最後の晩御飯はひとりで560円の麻婆チャーハン

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そんなサプライズを終えて、山崎あおいは前日(=20歳最後の日)の出来事について、ひとり語りを始める。

「21歳ですね。昨日は20歳最後の一日だったんですけど、大事なライブの前日だったので、休みにしていただいて。「最後の20歳、楽しみなよ。」みたいなことをスタッフさんに言われて。どうやって楽しもうってすごい考えたんですけど、最後の20歳って考えると、一緒に過ごす相手をすごい選んじゃうじゃないですか。なんか、男友達をそうやって誘ったとしても、あっちもなんか誤解しそうじゃないですか。「俺が最後の20歳の……」みたいな(笑)。そう思われても申し訳ないし。だからといっても女友達を誘っても、「私とあおいちゃんてそんな関係だっけ? 20歳最後の日を私に捧げるような関係だったっけ?」って言われても傷ついちゃうなって。だから昨日、ひとりでエステ行ったんですよ(観客爆笑)。すごい楽しかったです。最初にカルテみたいなのかくじゃないですか。そしたら知らないおばさん(エステの店員)に「明日誕生日なんですねー。最後の贅沢?」って言われて。「そうですー」って言って。ひたすら1時間くらい顔をベタベタ触られて。20歳最後の夕食は何かいいものをたべようって考えたんですけど、ひとりで入れるところってなかなかなくて。本当は焼き肉とか食べたかったんですけど、「ひとりかー」って思って。その街を1時間くらい歩きまわって考えた結果、560円の麻婆チャーハンを食べるっていう(観客爆笑)。マジですよ。「中華一番」行きましたよ。基本的に、麻婆豆腐とチャーハンが食べたかったんですよね。……寂しいですね。悲しいですね。でも、その翌日にはここに立って、いろんな人に祝われているんですからね。人生わからないもんですよ。」

普段のオフィシャルブログではなく、ステージ上で展開されていく山崎あおいワールドに、フロアから何度も爆笑が誘発されていく。そして、会場がすっかり忘れそうになっていたこと=アーティスト・山崎あおいのライブであるということ、を思い出させるように、おもむろにライブは後半戦へと突入していく。

恋のはじまりのくすぐったい感じを「恋の予感」で歌い上げ、「深呼吸」「嘘だった」で、ドミノのように終わっていきそうな情景を描いていく後半戦。さらに、1stワンマンライブツアーの時に「高校生の時のライブ以来」と、ステージ初披露したエレキギターに持ち替えて、「レイコさん」で疾走感を加速していく。そして「えー……楽しかった!」と、ここまで熱気(や笑い)の中で過ごしてきた時を、そして自分にとって特別な“大学3年の夏”をあらためて噛みしめるように、「花火のあと」で、山崎あおいは本編を締めくくった。

「あおい! あおい!」「あーおーい!」「ハッピーバースデーあおい!」「ハッピバースデートゥーユー♪」などなど、さっきまでのライブでの一体感とはなんだったのかというほどの、“バラエティーに富んだ観客からのコール”を受けてスタートしたアンコールは、恒例のグッズ紹介から。「今、私が着ている素敵なTシャツ。こちら、バースデーライブのために作りました。そしてなんと今回、私が絵を描いています。」の発言に歓声が上がり、観客は、歓迎ムードで軽く盛り上がる。しかし、「(Tシャツに描かれた絵を指しながら)ここいるふたりの絵は、夏ということで甲子園をイメージして、高校球児を描いてみました。」と、彼女が口にした途端、会場のざわめきは、引き潮のように静まり返っていくのであった。

“発色のいい”タオルや、ジョン・メイヤーもびっくりなギターを弾くことができるらしいピック、iPhone 5とiPhone 5s対応のiPhoneケース(なお、山崎あおい本人はiPhone 5cなので使えない)、そして、山崎あおい自身のフリーダムな絵がすでに入っている自由帳(ちなみに絵のモデルは、いまや金髪でチャラい感じになっている自身の弟の幼い頃、だそうだ)などを紹介し、さらにお知らせを2つ。

「お知らせがあります。りなてぃこと、住岡梨奈さんとのツーマンライブが決定しました。東京は11月24日。みなさん、空けといてください。りなてぃは、テラスハウスを見ていた方はご存知かと思いますが、シンガーソングライター……ま、当たり前か。わたしと地元が一緒で、デビュー時期も半年くらいしか違わないのかな。地元では、デビュー前に何度か共演はしていたんですが、当時は、人見知り過ぎて、なんか、「おは…」「……しゃす」みたいな関係だったんですが、最近は連絡を取るようにもなりまして。今回、ふたりでいろんなところにライブしに行くぞ、ってことで、ライブのタイトルは「one×one」です。ふたりとも、弾き語りの女性シンガーソングライターなので、1×1=1……ですけど……そっか、1か。いや、1以上の意味があるだろう、みたいな意味をここで付け加えて(笑)、素敵なライブになると思います。」

「あともうひとつ。秋ごろに、多分、ファンクラブができます。多分できます。いや、できるんですけど。ここにいるみなさんが入ってくれたら嬉しいんですけど。いろいろ考え中なんですが、入ってくれると、嬉しいな。」

ファン歓喜のお知らせをして、アンコール1曲目に持ってきたのは、「夏なので、夏の曲を持ってきました。私らしい……のかもしれないですが、夏の悲しい曲です(笑)」と、新曲「君のいない夏なんて嫌いだ」。初披露の瞬間を聞き漏らさないように耳を傾けるオーディエンスを前に、優しいタッチのピアノの旋律と山崎あおいの歌声が絡み合い、切なさとともにフロアを埋めていったのだった。

そしてラストに「君だけ」を歌い、練習した(?)というピック投げを颯爽と披露。こうして、山崎あおいは、誕生日当日であり、<AOI SUMMER CAMP 2014>初日公演を締めくくった。

なお、ライブ中に発表があった住岡梨奈とのツーマンライブ<住岡梨奈×山崎あおい ACOUSTIC LIVE 2014秋 「one×one」>は、11月13日の札幌KRAPS HALLからスタートする(東京公演は11月24日に東京キネマ倶楽部で開催)。

「今日は本当に集まってくださったみなさん、ありがとうございました。21歳の山崎あおいも変わらず頑張って、たくさんいい曲を書いて、たくさんいい曲を聴かせられるように頑張って、たくさんライブをしたいなって思いますので、21歳の山崎あおいもよろしくお願いします。来年の8月28日もスケジュールを空けといてください!」── 山崎あおい(ラストMCより)

最後に余談をひとつ。この日、関係者には入場時に山崎あおい手描きのセットリストが配布されていた。「Crying girl」「スクランブル」と、毛先の短い筆ペン(もしくは毛先の長いサインペン)で書いた文字の横に、フライパン状の得体の知れない物体(多分、ひまわり)や、ボールと棒状の何かの横に佇む貧相な宇宙刑事ギャバン(多分、スイカ割りをする丸刈りの少年)、そして明らかに地球外からやってきたであろう、魚の醤油差しにも似た手術痕のある謎の生命体(これは絵の下に「キンギョ」と書いてあった)が並ぶ、一枚の紙。ツアーグッズで満足することなく、関係者しか目にすることのないセットリストにも自慢の画力を展開していく画伯の飽くなき探究心、流石である。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)



◆BARKS POWER PUSH(新人アーティスト)
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