【ライブレポート】Alice Nine、10周年記念ライブで新たな旅立ち「こんな素敵なおまえらを置いて解散するわけない」

twitterツイート

2014年、Alice Nineはバンド結成10周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。3月にリリースしたアルバム『Supernova』を引っ提げ、国内、さらにはアジア各国で<Alice Nine TOUR 2014「Supernova Symphonia」>を実施。バンド初開催となった本格的なアジアツアーは各地で大成功を納めるなど、積極的な活動を展開し、このアニバーサリーイヤーを単なる振り返りとしてではなく、新しいものに挑戦していく攻めの姿勢を見せ、駆け抜けてきた。

◆Alice Nine <NEVER ENDING UNIVERSE> 画像

そして、そのハイライトとして開催が発表された、この富士急ハイランド コニファーフォレストでのライブだったが、公演開催を前にAlice Nineから、突然知らせが届いた。それは、このライブをもって、所属事務所を離れ、バンドとして独り立ちするという衝撃的な発表だった。

「今一度自分たちの原点に立ち返り、バンドとして更なる成長を目指すため、メンバー総意のもとの決断となります」──Alice Nineメンバー一同

アニバーサリーイヤーの最後に彼らが提示したのは、最大級といえる未知なる挑戦だ。
8月23日、富士急ハイランドコニファーフォレスト。
Alice Nineの10周年記念ライブ<NEVER ENDING UNIVERSE>。

「みんなの不安な気持ち、これでちょっとでも安らいだ?」

将(Vo)がオーディエンスに優しく語りかける。あの発表以来、彼らをとりまく様々な憶測、バンド解散の噂。そのすべてを払拭していくような、溢れんばかりのAlice Nineの愛情と希望の光に包まれたライブだった。その愛情に応えるかように、降り続けた雨がぴたりと止んだり、富士山が顔をのぞかせたり、遊園地の打ち上げ花火までもがナイスなタイミングで上がったり……あるものすべてが彼らに味方。すべてがAlice Nineの記念日と新しい旅立ちを祝福した。

SEの「Prelude-resolution -」が流れ出し、総立ちの観客の手拍子に迎えられてヒロト(G)を先頭に、メンバーがひとりずつステージに登場。この日はオープニングからNao(Dr)の勇敢なマーチングドラムに将のヴォーカルが重なり始まる「すべてへ」からスタートした。沙我(B)のキーボード、ヒロトと虎(G)のギター。次々に音が重なり、すべてが交わったときに目の前に広がるポジティブな世界。“すべてをまだ愛してる”、“決して揺らぐ事もなく、ずっと傍にいるよ”――1曲目から多幸感が会場を包んでいく。続いて“言葉に出来ない想いがあるなら、歌を奏で贈ろう”と歌う「華」。“このライブを通して伝えたい気持ちがある”、そんな熱い思いが感じられるパフォーマンスが続く。

「おまえら元気だったか?」と言って雨にさらされたオーディエンスを見渡した将が「おまえたちびしょびしょ? パンツまで濡れてんだろ? 俺らもパンツまで濡れてんだよ」と、脱エレガントな煽りで(笑)、まずは観客を沸かせる。その直後、ドラムとキーボードの上にテントを設置するためライブが一時中断。設置が終わり、再びステージに戻ってきたメンバーたちだったが、将はすかさず「みんなだけ雨に濡れながら待っていてもらってゴメンね」と謝り、ペットボトルの水を頭からかぶるというジェントリーな行動でオーディエンスの心を掴む場面もあった。

Naoの2バス連打が野外に響き渡った「九龍—NINE HEADS RODEO SHOW—」、虎のダイナミックなパフォーマンスと笑顔が映える「Q.」、“いつか富士急の本気を見せてくれ”と歌詞を替えて歌った「極彩極色極道歌<G3>」と、オーディエンスを暴れさせる。その後に届けた「銀の月 黒い星」は身体が透き通っていくような絶品の美しさ。野外ならではの空間の広がりをギター2人がメロディアスなフレーズで演出していくと、天空までその音に魅了されたのか、雨がピタリと止んだ。

そして今度はその天空へと突き刺すように虎の歪んだギターがうねりを上げ、「富士急、散れんのか?」という将のアジテーションから始まった「闇ニ散ル桜」では、雨具を脱ぎ捨てるファンが続出。気温は低めだったにも関わらず、メンバーのリクエストに答え、上半身ビキニ姿のファンがあちこちに出現した。

沙我が再びキーボードの位置につき、ステージがブルーの照明に染まり、聴こえてきたのは「birth of death」。ここからはAlice Nineならではの“白い暗闇”が野外で堪能できた。沙我と将がギターを弾き、沙我のポエトリー・リーディングソングをフィーチャーした「ハロー、ワールド」。Naoのドラムで次の曲につなぎ、将が「一緒に行こう!」と合図を送り始まった「Daybreak」では、サビの高揚感溢れるメロディーが夜のトビラを蹴破った。すると、視界が開け、目の前に眩いばかりの光に包まれた世界が広がる。彼らが伝えたいこと、未来は希望溢れる世界なんだ、ということを3曲に渡って伝えてくる素晴らしいアクトだった。“形はなくとも歌は消えずにそばに居るよ”、バンドの愛情を存分にのせた最後の1フレーズが沁みる。

「雨、止んだね。天の神様が(客席後方の空を指差し)あそこにいるよ。これもみんなのお陰。(ステージからは)富士山も見えてるんです。おまえらと俺らでもっと“絶景”作りませんか?」

ここからは周りが暗闇に包まれていく時間帯を考えての曲セレクト。オーディエンスの歌声が広がる「朱い風車(Acoustic ver)」、虎のタッピングが炸裂し、リズム隊が疾走する「グラデーション」でギアを上げたあとは、「ハイカラなる輪舞曲」で観客がメンバーの名前をコールする。周りがどんどん闇に包まれていくなか、この場所だけが発光しているようにどんどん明るいオーラを放ち始め、まさに絶景が生まれた。

「めっちゃ楽しいね!」。将は笑顔でそう言った後、さらに話し始めた。

「先にいろんな発表しちゃってすいませんでした。この(ライブの)前に発表したかったんだよね。5人は今、10年間のなかで一番信頼し合っている。そんな5人を目で見て、納得してもらおうと思ってさ」。そして、あの発表以降、自分たちが解散するんじゃないかという噂が出ていることも耳にしたという将が続ける。「こんな素敵なおまえらを置いて解散するわけないじゃん。おまえらと“心中”するためにこのステージに立ってんだよ。いいか?」

そこからの「RAINBOWS」のオーディエンスのジャンプ、「the Arc」に注ぎ込むバンドの熱量、お互いの感情も何もかもが溢れ出し、最高潮に達したところで投入された本編ラストの「開戦前夜」は、今まで聴いたどの「開戦前夜」よりも激しく戦闘モードだった。「今から、俺たちとおまえたちの戦いが始まる」という将の煽りから、この日最大のキレ味でバンドサウンドが襲撃をかけてくると、それに応えるようにオーディエンスたちは体力の限界まで飛び跳ねる。Alice Nineとオーディエンスを結ぶ絆。そんなものを感じた名シーンだった。

アンコールを求める声に応えて、再びメンバーが登場。本編同様、またいきなりのあのドラマチックな組曲「GEMINI」のイントロに、客席がどよめく。重層的なサウンドに彩られ、複雑に変化していくアンサンブル、その中で将が歌う“君が僕をかたどってゆく”という歌詞が、客席と彼らを強く結ぶ。そして、その後はメンバーがひとりずつ挨拶した。

「PSカンパニーはバンドを家族として扱ってくれ、守ってくれる素晴らしい事務所で、感謝の気持ちしかありません。ここからは俺たちの足で立って、リスクを背負いながらも歩いて行くことがさらなる俺たちの成長につながるんじゃないかというのを春ごろから話し合って、決めました。みんなの前でこういう話ができて、本当に感謝してます」――(将)

「(超ハイテンションで)男っていうのは何歳になっても旅人なんです。俺たちは旅人になるだけ! 解散しねぇし!」――(Nao)

「でも、ちょっとの期間は動けないから、俺は明日からニートだな(笑)」――(沙我)

その発言を受け、将が「これからは「ハロー、ワールド」ではなく“ハロー、ワーク”だな」と言い、場内を笑わせながら、「だけど、Alice Nineがここまで変われたのはこの人がたくさん曲を書きだしてくれたから。愛してるよ」と、沙我を抱き寄せる。すると、遊園地のほうから絶妙のタイミングでバーンと花火が上がった。

「(すぐには動けないから)不安感から始まるけど、動き出したら動き出すし、転がり出したら転がり出すんで。いつかテッペンとろう!みんなついてこいよ!」――(ヒロト)

「俺は将くんにこの人生をもらった。ありがとう。この10年、PSカンパニーで俺は一番怒られながら(笑)バンドとしても男としても成長して。今後は自分たちの足で立って、成長していきたいと思ってるんで、皆さんよろしくお願いします」――(虎)

そして「Alice Nineがみんなにしてあげられること」と将が言って、「TSUBASA.」、「春夏秋冬」、「the beautiful name」というこの10年の間のバンドの軌跡を語る上では外せない、メンバー、ファン、みんなの心の宝物として育ってきた大切なレパートリーを披露。5人がここで見せてくれたものは、どこまでも続いてく未来の希望の光。とても美しい光だった。

「本当にこの10年間、俺たちがここにいられたのはおまえたちに救われたからこそ。おまえたち一人一人が最高だ。おまえたち一人一人がAlice Nineだ! 最後にみんなで手をつないで、この場に思い出を刻みたいと思います」と将が放つと、会場全員が手をつなぎ、大きくジャンプ。Alice Nineが見る明るい未来のヴィジョンをみんなの心にしっかりと焼きつけると同時に、新しい旅立ちの第一歩を踏み出したところで、ライブは幕を閉じた。

最後に、終演後の彼らの様子も伝えておこう。5人は清々しい表情で「またBARKSさんに取材してもらえるように頑張りますから」と話してくれた。Alice Nineが再び動き出せば、それだけでニュースになる。だが、彼らは新人バンドのように、この日を境に1からスタートをきるつもりなんだということ、その強い決意を改めて思い知らされた。結成10年目にしてロックすぎる行動に踏み切ったAlice Nine。そのアクションを称えながら、BARKSは今後も彼らにエールを送り続けたい。

文◎東條祥恵

DVD
『Resolution-ALICE IN ASIA-』
[完全生産限定版]2DVD+1CD+豪華BOX+28Pフォトブック+TOUR FLAG カード封入
PRON-3901 ¥15,000+税
※タワーレコード限定発売
■DVD収録内容
DISC1:ASIA TOUR ドキュメンリー映像収録
収録時間:約100 分予定
DISC2:ASIA TOUR LIVE @シンガポール Resorts World Sentosa
収録時間:約110分予定
■CD収録内容
レア音源1track収録
※詳細は後日発表

◆Alice Nine オフィシャルサイト
◆Alice Nine 将 Twitter
◆Alice Nine ヒロト Twitter
◆Alice Nine 沙我 Twitter
◆Alice Nine Nao Twitter
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス