Berryz工房と℃-ute、“後悔なんてしたくないから”日本武道館で「忘れたくない夏」

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■ 9月11日公演

9月11日、<Berryz工房デビュー10周年記念スッペシャルコンサート2014 Thank you ベリキュー! in 日本武道館[後編]>。℃-uteの日の翌日ということで、空には雲が立ち込めていたが、それでも日本武道館に足を運んだ多くのBerryz工房ファンは傘は持って行かなかったはず。なぜならあの7人組は晴れ女集団だから。

おなじみの壮大なオープニングSEが鳴り響き、Berryz工房の日本武道館公演の開演の時を高らかに宣言する。ステージセットの最上段に設けられた回転ステージを用いて、ステッキを手にしたメンバーのシルエットが浮かび上がる。そして1曲目は「愛はいつも君の中に」。黒を基調としたジャケットとミニスカートというシックに、しかしエレガントな大人スタイル。QUEEN of IDOLの風格すら漂わせて、王冠を頭につけたツインテールの雅ちゃんがスクリーンに映し出されると、女子たちからも巻き起こるひときわ大きな歓声。武道館の天井に掲げられている日の丸もどこか誇らしげだ。

「今日はBerryz工房がメインということで、昨日以上に盛り上げていきたいと思います! さあ、みや。どうですか調子のほうは?」と、ももちは雅ちゃんに話を振る。雅ちゃんはこれを受けて、「ヤバーい。超楽しい! もう1曲目にして、もうね、キテるね。」と興奮を隠せない。するとももち「キテる? 何がキテるの?」と、みんなが知りたい雅ちゃんの“キテるもの”について追求していく。「気持ちと、なんだろ(笑)」と、雅ちゃんは、到底言葉に言い表すことができないであろう、この感動は二度とない瞬間について言語化を試みようとする。そして「“ファンのみんな最高!”って思った。どうなっちゃうんだろうって感じ?」と、素直な一言。雅ちゃんがどうかなっちゃうのならば、ここに集まったファンひとりひとりもどうなっちゃうんだろう、である。

毎週水曜のド深夜3時あたりによく耳にしている人も多かったであろうイントロの「ああ、夜が明ける」、一方、9月11日の夜はまだまだ終わらないと言いたげな「ゴールデン チャイナタウン」。色とりどりのペンライトの海に浮かんだセンターのサブステージから、7人のウキウキしてるモードが全方位に放射され、激しいコールで日本武道館が揺れる。

手を振りながらメインステージへと駆け出すBerryz工房。その視線の先に待つ℃-uteと「超HAPPY SONG」へ。ラブソングでありながら、どこかしらBerryz工房と℃-uteの関係性のようでもあるこの曲。目の前の12人は、目と目で合図しながら、呼吸を合わせて好きな歌を歌っている。そんな姿を見れば、こっちまで笑顔になるというものである。

そして、℃-uteからBerryz工房への一言コーナー。前日の℃-ute公演では、Berryz工房から℃-uteへ気になっていることを投げかけていたが、今回、℃-uteからは感謝の気持ちが語られる。萩原舞は、「お菓子をたくさんくれてありがとう。ほんとたくさんお菓子をくれて、ハロー!プロジェクトキッズに合格した時とか、miyaとかほんとにお菓子が豊富でいろいろ持ってて。梅だったりポテトチップスだったりとか。」と感謝を述べる。当時、「お菓子袋」なるお菓子が詰まった袋を持っていたという雅ちゃんは「毎日のお仕事が遠足みたいだったの。」と振り返る。一方、「私は逆に、お菓子をもらってくれてありがとう。」と、人見知りで、お菓子がコミュニケーションツールだったという中島早貴。すかさずももちが「待って。Berryz工房にはお菓子エピソードしかないの?」と、お菓子だけになんともオイシイツッコミを見せる。そこで鈴木愛理が菅谷梨沙子との感動のエピソードを寄せる。初めての合同コンサートで菅谷と「VERY BEAUTY」を歌うはずが、喉の調子が悪くて舞台裏で泣いてしまった時、菅谷が駆け寄ってきて「大丈夫だよ。」と、一緒に泣いてくれたというこの話に1万人は感動。大きな拍手に包まれた。

そして最後は矢島舞美。「私が小学生の時に、なにかで私が佐紀に手作りのお守りを作ったんですよ。画用紙で、手作り感満載のやつを作ったんですよ。それを、いまだに持っててくれてるんですよね。」と、紹介すると、キャプテン・清水佐紀は、「お財布の中にしまってあるんですよ。でもそれには、“辛い時にだけ見てね”って書いてあったから、ほんとに見てないから、中に何が書いてあって、何が入っているか全然わかんないの。」と、笑顔を見せる。もっとも、作った矢島本人も何を書いたか覚えてないというこのお守り、矢島は「この先つらいことがあったら。ほんとに辛い時にみてください。」と、キャプテンに言葉をかけた。

「普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?」にもあるように、青春時代を捧げてアイドルを10年やるということは、決して楽なことではない。我々が想像するよりも、もっと大変なことのほうが多かったはず。そんなアイドル生活の中で、小学生だった矢島舞美から渡された、辛い時だけ開けてほしいというお守り。これをキャプテンは開けたことがない。つまりそれは、キャプテンにとってBerryz工房での日々は、大変なことはたくさんあったかもしれないが、決して辛いことではなかった、ということの裏返しといえる。さらにキャプテンは、これを言葉で語るのではなく、ひとり、行動で示していた。

そして我々は願わずにはいられない。このお守りがこれからも開けられることなく、キャプテン・清水佐紀の財布の中にあり続けることを。

℃-uteがBerryz工房の「WANT!」をカバーして披露した後、衣装チェンジしたBerryz工房が再度、ステージへ。しかも今度は、大人っぽいスタイルから一転し、ロングのTシャツやノースリーブにショートパンツ、さらに徳永千奈美と須藤茉麻、熊井友理奈はサングラスをかけるなど遊び心満点。ステージでは熊井友理奈を中心にドラマ(というより小芝居)を見せた「ハレーション サマー」に、「TODAY IS MY BIRTHDAY」は、しっかりと聴かせ、そして「付き合ってるのに片思い」で客席からの大コール。まさにこれぞ、めくるめくBerryzエンターテインメント。

そしてここまでで一番ともいえる盛り上がりを迎える。ハロプロ研修生のパフォーマンスが終わり、前日に引き続き、日本武道館にBuono!が降臨する。しかも鳴り響いたイントロは、この場所で誰もが聴きたかった1曲。大きなどよめきの中で、満員御礼の武道館での「ロックの神様」。飛び出してきた3人にオーディエンスのほうも湧きあがる衝動が止まらない。飛んで跳ねての大盛り上がり。雅ちゃんが歌う<小さなステージでも / あたしたちにはブドーカン>のフレーズに再び歓声。2014年9月11日、Buono!が「ロックの神様」を日本武道館で歌うというファンが夢見ていた光景が広がっていた。

ゲストのモーニング娘。'14が「MADAYADE」などを披露し、Berryz工房×℃-uteの歴史を振り返るVTRを挟んでからは、Berryz工房のライブをさらに熱くさせる楽曲がこれでもかと並ぶ。「スッペシャル ジェネレ~ション」の爽快感と高揚感。「ジンギスカン」「本気ボンバー!!」では、身体も心もすべてをかっさらっていくような7人の強い求心力を発揮。メンバーだけでなくフロアもスタンド席も含めて観客全員が一斉に踊り始める「cha cha SING」など、いつ観てもそれは圧巻の一言だ。

「まだまだ盛り上がっていきますよ?」と、今にも“おぱょ”と言ってしまいそうなキャプテンの可愛らしい口調からラストスパートへ突入する。「ライバル」では、ステージセットの最上段の回転するステージにうっかり足を乗せてしまった徳永千奈美が、まるでこの回転こそがライバルかのように走る、走る、走る。そしてスタミナが切れて足が止まり、そのままステージ裏へと姿を消していく。そして一回転して出てくる。いや、冷静に考えたら、リハーサルで各所の動きは確認しているはずなのだが、そんなことを気にするのは野暮というものである。

本編最後は、℃-uteとともに「一丁目ロック」。サッカーの試合でサポーターが歌でチームを応援するように、サビで発生する観客の大合唱がステージへと降り注ぎ、ステージとフロア、スタンドが強烈な一体感を生み出した。

ペンライトの光が照らし出す武道館に「Berryz行くべ!」コールが巻き起こるアンコール。今度は回転ステージの上で菅谷梨沙子が横になりながら歌う「Be 元気<成せば成るっ!>」に、清水佐紀の「みんなで一緒に歌いまーす!」のシャウトとともに、全体での大合唱となった「友情 純情 oh 青春」で、この日のBerryzエンターテインメントは大団円を迎えた。
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