【ライヴレポート】MERRYのネロが書き記した、MUCC VS D’ERLANGER

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MUCCがバンド史上最大規模となるライヴプロジェクト『SIX NINE WARS –ぼくらの七ヶ月間戦争-』を開催中だ。七ヶ月間連続で毎月異なる全6種類のツアーを各9公演ずつ行なっていくこのプロジェクトは、8月に<Episode 6.「ARMAGEDDON」>へ突入。そのD'ERLANGERとの2マンガチンコ対決の模様をMERRYのネロが記すという、レアなレポートをお届けしたい。まずはBARKSに届いた同レポートについて、その制作に至るまでの経緯をライター武市尚子氏が解説する。

◆MUCC 拡大画像

『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争-』の<Episode 4.「TRIANGLE」>において、9公演中9公演をMUCCと共に戦い抜いたMERRY。MERRYはMUCCにとって数少ない同期バンドであることから、親友であると同時に、互いを認め合う良きライバルでもあるのだ。そんな親友でもある戦友が、長い戦いを経て、さらなる高見を目指そうという今、共に戦ってきた友人だからこそかけられる言葉もあるだろう。

2014年8月22日。MUCCは、<Episode 6.「ARMAGEDDON」>の6組目の対戦相手であったD’ERLANGERと戦った。その戦いの場であったCLUB CITTA'川崎に、MERRYのドラマーであるネロの姿があった。彼もまた、MUCCと同じ世代を生きて来たバンドマン故に、D’ERLANGERから受けた影響力は半端ない。D’ERLANGERのドラマーであるTetsuを師と仰ぐネロは、MUCCが今回挑んだ最終決戦「ARMAGEDDON」に対し、様々な想いを寄せていたことだろう。

ネロはこの日、隣りに座った私に、「カッコイイ原稿書いてあげて下さいね」という一言発した後、今日はここに戦友の勇姿をしっかりと目に焼き付けに来たのだと、熱の高い言葉で語ってくれた。ならば、「その想いをネロの言葉で書き記してみる?」。そんな私からの唐突な提案を、ネロは迷うことなく引き受けた。

キッズに戻った純粋な眼差しと、プロのミュージシャンとしての厳しい眼差しと、同士を見守る柔かな眼差しとを同居させながら、両者の戦いを見つめていたネロ。彼は、目にしたライヴの光景を、私が手渡した紙に強い筆圧で書き残していった。「俺、最高の原稿にしてみせますから!」と、意気込んでいたネロ。

そんなネロから“原稿”が届いた。おそらく、彼にとって公式の場に出る初の記名原稿となることだろう。それは、熱が入り過ぎるあまり、文章よりも気持ちが前のめりになっている箇所もあり、若干読み辛く感じるところもあると思うが(笑)、敢えてそこはネロのキャラとしてそのまま活かしたい。そこはどうか、その熱い想いをリアルに伝えたいという意図であることをご理解願いたい。しかし。このネロから寄せられた純粋な想いが詰まった原稿は、MUCCにとって最高の餞の言葉になったことだろう。

   ◆   ◆   ◆

【<Episode 6.「ARMAGEDDON」>VS D’ERLANGER text by ネロ(MERRY)】

MUCCが2014年、バンド生命を懸けるかのごとく、精力的に駆け抜けているこの『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争-』。我らがMERRYも<Episode 4.「TRIANGLE」>で全9公演参加させてもらった事は本当に感謝している。MERRYはベースのテツさんが頚髄損傷の怪我からの復帰に向けてまだリハビリ中のため、現在テツさんを欠いた4人でステージに立っている。そんな中、あのイベントに誘ってくれたMUCCに対しては本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。きっと彼らからの、「そんな逆境に負けんなよ。同期のバンド同士頑張ろうぜ!!」というメッセージだったと勝手ながら思っている。だからこそ、「テツさんが帰って来たらまた一緒にツアーをやろう」とも言ってくれた。もちろん俺はMUCCの個性的な楽曲やライブパフォーマンスが好きだが、やっぱり彼ら一人一人のこの人柄が好きだ。

そんなMUCCのこのツアーもいよいよ<Episode 6.「ARMAGEDDON」>で数々の先輩アーティストとの共演を実現させている。どの対バンも羨ましくて観たいと思わされるアーティストばかり! そして本日2014年8月22日は、俺がバンドを始めるきっかけとなったD’ERLANGERとガチンコでライヴするというのだから、見逃すわけにはいかいと思い、CLUB CITTA'川崎に向かった。

僕にとって約3ヶ月振りのD’ERLANGERのライブは18:47に始まった。フロアが暗転して、2013年に発表した話題のアルバム『#Sixx』の中から「XXiS」を登場SEに、ステージ上の照明が妖しく動き出し、メンバー4人が現れた。我が師匠のTetsu氏の鋭いドラムカウントでスタートしたのは「XXX for YOU」。17年の時を経て2007年の復活劇と同時に発表したアルバム『LAZZARO』のリード曲だ。もし1990年に解散せずに活動してくれていたらこの様な楽曲が生まれていたのかなと思わせる期待通りのD’ERLANGER節な曲だ。

続いて最新アルバム『#Sixx』の世界観へと突入する。「MY BLOODY BURROUGHS POEM」ではとにかく凄い音圧で、師匠のキックの音や激しいフィルでは、まるで風が来るような感覚になり、そのドラムに寸分の狂いもなく食い付いて行くSEELAさんのベースもさすがだ。そのリズム隊の上に重なるCIPHERさんのギターは歪みに絡み付き、唯一無二の世界観が造られて行く。そこに気持ちよく歌を乗せ、時には激しいシャウトを響き渡らせるkyoさんによって、俺の憧れたD’ERLANGERの世界は完成する。

そんな中、ここで1度目のMCへ。1988年に川崎クラブチッタとしてオープンしたこのライブスペースは、2000年に周辺地区の再開発に伴いクローズして移転改築し、2002年からリニューアルオープンした。このリニューアルしたCLUB CITTA'川崎でのライブは初だという事や、前日の8月22日は逹瑯くんの誕生日だった事もあり、「Happy Birthday to You」のkyoさんによる歌のプレゼントも。実に羨ましい……。確か我らがMERRYのMUCCとの初共演も約12年前のこのCLUB CITTA'川崎だったような……?

続いて「Beast in Me」では切れ味抜群の楽器隊にパワフルなkyoさんの声が重なりボルテージはどんどん上がって行く。曲中にSEELAさんのベースのストラップが切れるアクシデントもあったが、即座にモニターに足をかけ超絶フレーズを奏でる姿にはシビれた。

「IS THIS LOVE」や「dummy blue」とダークでアッパーなナンバーを叩き付け狂気に満ち溢れた世界観を存分にみせ付ける。「Dance naked,Under the moonlight.」や「Angelic Poetry」でのCIPHERさんは、オールバックヘアーにギターはテレキャスタータイプを使用し、俺達の世代が観まくった1990年の解散ライブのライブビデオ『MOON AND THE MEMORIES…THE ETERNITIES/LAST LIVE』での一幕のような場面もあり、興奮が止まらない。

そして「BABY I WANT YOU」に差し掛かり、照明が暗転から妖しく点きはじめたその時、フロントに立っているのは紛れもなく逹瑯くんだった。あの爆音の中、ガツンと抜けて来る逹瑯くんの歌声はさすがだったし、彼のキャラにもあったとても良い選曲に思えたし、この直接対決の共演ならではのこの場面には羨ましさがにじみ出て来るとともに、とても興奮した。

こうしてD’ERLANGERのステージは佳境へ。名曲「LULLABY」からMUCCもカヴァーしている事でも有名な「LA VIE EN ROSE」へ。間奏のギターソロの部分ではkyoさんによるお決まりの「カモンCIPHER~!!」のコール。あえてギターソロを弾かないパフォーマンスにも心が躍った。こうして俺達の憧れたD’ERLANGERのステージは興奮の嵐により幕を閉じた。

数十分のステージ転換を挟み、いよいよMUCCの登場だ。トライアングル型のトラスに明かりが点きはじめ、ミラーボールが回り出し、次第に直線のレザーが何本も放たれる中、メンバーが登場。1曲目はやはりMERRYが全9公演参加した<Episode 4.「TRIANGLE」>でも御馴染みな曲、そしてリリースされたばかりの12枚目のアルバム『THE END OF THE WORLD』でも御馴染みの「ENDER ENDER」だ。

俺はいつもMUCCと共演する際に思うが、毎回コンセプトの違うアルバムを発表し、いろんなジャンルにも挑戦して、時にまったく別なバンドのようなアプローチの曲も放ってくる。しかしそこには、ちゃんとライブでフロアを引っ張って行く力がしっかりと兼ね揃えており、その説得力でアッという間にフロアを1つにする。さすがだ。

次に「Mr. Liar」。この曲も最初に聴いたときは“本当にMUCC?”と思ったけど、とても緻密に作られていて、サビになるとやはり“哀愁のMUCC節”になるのである。そして「Ms. Fear」。この繋がりは曲名共々、曲調自体もすごく良い感じに思えた。やはりMUCCは如何なる時もMUCCしている。そして世界観は一転してキャッチーなナンバー「G.G.」、「369 -ミロク-」へ。このブロックでも一体感は途切れず、手ばたきやかけ声で、いわゆる“歌モノゾーン”でも派手に魅せてくれた。特にここではYUKKEくんが活き活きしていたように見えた。MERRYが共演した<Episode 4.「TRIANGLE」でも彼は積極的に周りの対バンに気遣い、イベント自体を盛り上げようとしてくれていたのがわかった。そんな彼の心意気がこの日もステージ上にも見えて、僕もまた心が躍った。

ここでMC。D’ERLANGERのステージでの誕生日の祝福や、この日の衣装についても語る。以前、逹瑯くんが自身のTwitterなどで、このツアーは過去の節目となった時期の思い出の衣装を身に纏うと公言していたことを思い出した。それを思い出すまでは絶対に話題の映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』の志々雄真実に影響されたのだと勝手に思い込んでいたのはここだけの話……(笑)。まだまだキャッチーで楽しくて自然と笑顔が出るようなナンバーは続く。「謡声」ではフロアが心地よく揺れ、サビではグチャグチャに入り乱れた。「自演奴」や「25時の憂鬱」では、レトロでハードでよりディープなミクスチャーナンバーの連発で、実にMUCCらしい唯一無二の世界観を魅せてくれた。

一息つき、照明が暗転からじわりと付きはじめ「リブラ」がはじまった。その時、ステージ中央にいたのはkyoさんだった。“なるほど、そういうことか…(笑)”と思い、僕はkyoさんのボーカルでの「リブラ」を堪能した。程好くダークで、サビでは壮大なメロディーを持つこの曲は、とてもkyoさんに合っていて心地よかった。この日の対バンのハイライトシーンは、やはりこの“バンド同士のボーカルが入れ替わった1曲”であろう。

「よう、兄貴!!」と、逹瑯くんがkyoさんの元に駆け寄り、この2人がステージ中央に揃ったら……と予想していた展開は的中!! MUCCは他のアーティストのカバーが本当に素晴らしい。どんなアーティストのどんな曲でも、その曲の良さを活かしつつ、MUCC色に染めてくるのだ。次のナンバーは、そんなMUCCが2006年に“日本武道館公演記念特別企画”として発表したカバー集『COVER PARADE』にも収録されているD'ERLANGERの「LA VIE EN ROSE」に決まっているであろう!! 逹瑯くんとKyoさんが交互に歌う。観客の声も合わさったサビでの全員コーラスも光った。何よりも羨ましかったのは、D'ERLANGERのライブで定番になっているギターソロ前のkyoさんによる「カモン!! ミヤ!!」のコールだ。時にD'ERLANGERの他の曲のリフを入れるMUCCらしい遊び心もあり、実に直接対決らしい見応えあるシーンだった。

そこから4人に戻り、さらに勢いを増して行く。「Hallelujah」では正に『THE END OF THE WORLD』な世界観で、レーザーが闇を切り裂く中、フロアとステージをひとつにまとめあげて行く。「MAD YACK」ではフロアに大きな渦ができ、「蘭鋳」ではもうグチャグチャだ。ラストナンバーはMERRYが今から12年前に初めて共演させてもらった時からのライヴでの定番曲、「大嫌い」だ。もうステージもフロアも“グチャグチャによりひとつ”でなんともMUCCらしい締めくくりとなった。こうして<Episode 6.「ARMAGEDDON」VS D’ERLANGER>は幕を閉じた。

普段それぞれの日々を過ごし、ひとつの楽しみを共有しに、こうしてひとつのライヴ会場に足を運ぶ。日々それぞれがいろんな事を考えて過ごし、いろんな事をしている。ただ、このライヴ会場での想いはひとつ。ステージの上だろうとフロアだろうと、今日この日しか訪れないライブを思いっきり楽しもうということだ。そんな基本的な事を、改めて実感させてくれたライヴだった。だからみんな、“行きたい”と思うライヴがあるならば、迷わずライヴ会場へ足を運ぶべきだ。想いが強ければ強いほど、素晴らしいライヴはそこに待っている。

この後MUCCは、ゴールデンボンバー、MICHAEL、geek sleep sheepとの共演を経て、いよいよ2014年9月23日、<Final Episode「THE END」>at 国立代々木競技場第一体育館へと向うこととなった。今、誰が見てもMUCCはバンドとしてとても良い状態だ。改めて、俺達MERRYは、MUCCと同じシーンで駆け抜けられている事を誇りに思う。だからこそまだまだ負けたくない気持ちだってあるし、最後に笑うのは俺達だ、という思いでMERRYを全身全霊でやっている。そんな想いで、国立代々木競技場第一体育館を見届けたいと思う。

全身全霊で、頑張れ MUCC!!

取材・文◎ネロ(MERRY) 撮影◎釘野孝宏


■SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」
2014年9月23日(火・祝)国立代々木競技場第一体育館
OPEN 16:00 START 17:00
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケットぴあ http://bit.ly/UXHMR1 
イープラス http://bit.ly/1sWeGhW 
ローソンチケット http://bit.ly/1mhghcC 

◆チケット詳細&購入ページ
◆MUCC オフィシャルサイト
◆SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- 特設サイト
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