Native Instruments、「KOMPLETE 10」と新キーボード「KOMPLETE KONTROL S-Series」をリリース

ツイート

Native Instrumentsは、インストゥルメント&エフェクトパッケージ「KOMPLETE 10」と「KOMPLETE 10 ULTIMATE」、キーボード「KOMPLETE KONTROL S-Series」3モデルを10月1日より発売する。

「KOMPLETE 10」と「KOMPLETE 10 ULTIMATE」は、KOMPLETE Instrument and Effectパッケージの第10世代。KOMPLETE 9以降に発表されたものに加え、新たに6つのインストゥルメントを追加している。この新KOMPLETEと連携するキーボードが「KOMPLETE KONTROL S-Series」。61鍵/49鍵/25鍵の3モデルをラインナップする。

また、KOMPLETEと新キーボードの両者の連携用に「KOMPLETE KONTROL」というソフトウェアも登場。「KOMPLETE 10/10 ULTIMATE」に含まれるほか、「KOMPLETE 9/9 ULTIMATE」にも対応。プラグインとしてDAWで使用することで、KOMPLETEシリーズでの音楽制作がより効率的に行える。

今回、発売に先駆け実機によるデモを見ることができたので、そのレポートも交えて紹介する。

■数多くのインストゥルメント&エフェクトをバンドルした「KOMPLETE 10」&「KOMPLETE 10 ULTIMATE」

「KOMPLETE 10」と「KOMPLETE 10 ULTIMATE」は、業界標準プロダクションの最新版。いずれも「ROUNDS」「KONTOUR」「POLYPLEX」と、3つのピアノ音源「THE DEFINITIVE PIANO COLLECTION」の計6種類のまったく新しいインストゥルメントを収録する。

「KOMPLETE 10」には、「DRUM LAB」、「SESSION HORNS」、「SUPERCHARGER」を含む現在39種類のインストゥルメントとエフェクトを収録。「KOMPLETE 10 ULTIMATE」には、「ACTION STRIKES」、「MOLEKULAR」、「RISE & HIT」なども含む、現在までリリースされている全75種類のKOMPLETE Instruments and Effectsと440GBにのぼるコンテンツが含まれている。「KOMPLETE 10 ULTIMATE」は9と同様、USBハードディスクで提供される。

この2つのバンドル製品の価格は従来から据え置きとなっているのも注目。各インストゥルメント、エフェクト製品を個別購入するよりも90%以上の割引となっている。

続いて、新インストゥルメントを見ていこう。


▲新たに登場した「ROUNDS」(左上)、「KONTOUR」(右上)、「POLYPLEX」(左下)はいずれもREAKTOR上で動作、ユニークなインターフェイスとサウンドを持つ。3つのピアノを含む「THE DEFINITIVE PIANO COLLECTION」(右上)はKONTAKTで動作。KOMPLETE KONTROLソフトウェア上では、使用プラグインを気にせずシームレスにブラウズできる。

「ROUNDS」は、パワフルなサウンドデザイン能力と先進的なシーケンス技術を組み合わせたシンセサイザー。メロディ、コード、アルペジオを演奏できるだけでなく、リアルタイムでサウンドをシーケンシング、モーフィングすることも可能。音作りでは、アナログとデジタル各8つのオシレーターをシーケンスできるのが特徴。合計16のシンセの音をぶつ切りにして、リアルタイムに切り替え、さらにFM変調するといったこれまでにない時間的変化を伴ったサウンドが得られる。

「KONTOUR」は、Native Instrumentsの創設者Stephan Schmittが手がけた最新のシンセサイザー(彼は「Reaktor」の前身「Generator」の開発者でもある)。非常にレスポンシブなこのシンセは、マレット、あるいはつま弾くようなストリングスといったオーガニックなテクスチャーから、アグレッシブでノイジーなオーガニックなサウンドまで多様な音声を作り出す。そのサウンドは物理モデリングを思わせるもので、ギターやドラムの胴鳴りも表現可能、シンセにも生楽器にも聴こえる不思議な音が出せるのだが、仕組み自体はFMに近いものだという。位相角をモジュレーションすることで、FM以上の高周波が出せるのも特徴だ。シンセサイズされたアコースティック楽器、環境音やSF映画っぽい音など幅広いサウンドが生み出せる。

「POLYPLEX」はドラムキットを直感的に、楽しくデザインできるサンプラーベースのエレクトロニック・ドラム。サウンドスロットごとに最大4つのサンプルをグローバル、サウンド、サンプルの各レベルでランダム化。画面上のサイコロを振ることで、次々と新たなサウンドのドラムキットが鳴らせる状態になる。キックやスネアなどドラムの各パーツは固定なので同じシーケンスで異なるキットをすぐに試せるのもポイント。ダイナミクス、グリッチ、リバーブなどを含むエフェクト群も含まれ、ランダムにできたキットを基に、一部のパラメーターにのみ細かい調整を行うといったことも可能。ドラムサウンドを新しいアプローチでデザインできるのはなかなか楽しい。

3つの高品位ピアノで構成される「THE DEFINITIVE PIANO COLLECTION」は、多様なサウンドとニュアンスをカバーする。1つめの「THE GENTLEMAN」は1908年製のアップライトピアノをベースにしたもの。完全に実機でサンプリング、デリケートで表現力豊かな音を奏で、20世紀初頭生まれの個性的なサウンドを音楽制作に生かすことができる。2つめの「THE GRANDEUR」は、人気のコンサートグランドピアノを忠実に再現。明るく艶やかなトップから、力強く、轟くようなボトムまでの幅広いサウンドは、メインストリーム・ポップからジャズ、クラシック音楽までさまざまなジャンルの音楽制作にマッチする。最後の「THE MAVERICK」は、1905年にプロイセン王国王子のために製作された、非凡な音を誇るコンサート・グランドの再現。多彩な色合いと独特のサウンドを擁し、一つひとつの音にキャラクターが宿っている。なお、これら3つのピアノは単体あるいは特別価格のバンドル版としての購入も可能となっている。

「KOMPLETE 10」と「KOMPLETE 10 ULTIMATE」に含まれるのが、「KOMPLETE KONTROL」ソフトウェア。このソフトウェアによってすべてのKOMPLETE Instrumentのサウンドを、一つのインターフェイスでブラウズできるようになる。これまでのようにKONTAKTやREAKTORをプラグインとして挿入してから目的のインストゥルメントを探してロードするといった手間は不要となり、ワークフローが驚くほど加速する。

すべての関連サウンドはタグベースでブラウズされるため、いつでも一目瞭然。また、KOMPLETE KONTROLを用いると、新登場の「KOMPLETE KONTROL S-Series」キーボードから主要機能をダイレクトに呼び出すことができるのもポイントだ(詳細は後述)。

「KOMPLETE 9」と「KOMPLETE 9 ULTIMATE」の登録ユーザーには、KOMPLETE KONTROLソフトウェアを無償ダウンロード提供。「KOMPLETE 10」や「KOMPLETE 10 ULTIMATE」のユーザーと同じように「KOMPLETE KONTROL S-Series」を扱うことができる。

■KOMPLETE Instrumentをスムーズにコントロールできる「KOMPLETE KONTROL S-Series」キーボード


「KOMPLETE KONTROL S-Series」は、ハードウェアとソフトウェアを統合できるキーボード。鍵盤数は25/49/61の3モデルから選択可能。KOMPLETE Instrument製品群を、専用のキーボード・コントローラーとソフトウェア・インターフェイスのもとに統一する意欲的な製品だ。各モデルは鍵盤数が違うだけで、その他のコントローラーはまったく同じ。Fatar製のセミウェイト鍵盤採用で、抜群の弾き心地が体験できる。電源はACアダプターを使用する(USBバスパワーでの動作は不可)。

まったく新しいKOMPLETE Browserによって、KOMPLETEの高性能インストゥルメントを一元管理し、一つのプラグイン・インターフェイスからすべてのKOMPLETE Instrumentプリセットにタグベースで直接アクセスできるようになる。インストゥルメントでブラウズするのではなく、サウンドによって検索できるので、数多くあるKOMPLETE Instrument製品をこれまでより早く、簡単に開くことが可能になる。ブラウズの操作はトップパネル上のボタンで直感的かつスムーズ。まるでハードウェアシンセのような快適さが得られる。

Native Mapテクノロジーは、各KOMPLETE Instrumentの主要パラメーターを、タッチセンサー式コントローラー・ノブに自動的にマッピング、すべてがキーボード上にある高精細なClear Viewディスプレイに表示される。各インストゥルメントは、ページ上の最も重要なパラメータがキーボードのディスプレイに表示されるよう、Native Instrumentsのサウンドデザイナーによって綿密にマッピングされている。ユーザーによる複雑なマッピングは不要。音楽制作そのものに集中し、クリエイティブな部分に専念することが可能になる。Clear Viewディスプレイにはパラメーター名が表示されるのだが、ノブを触るとその部分は数値に自動的に切り替わる。8つのディスプレイ+ノブに収まらない場合はその左のボタンでページ切り替えで対応可能だ。


▲ブラウズ用のボタン、ノブはトップパネルの右側に配置(写真左)。DAWによっては複数のトラックに立ち上げたプラグインの画面を左右ボタンでワンタッチで切り替えることも可能。パラメーターの調整には8つのノブとClear Viewディスプレイを用意(写真右)。ページ切り替えで多くのパラメーターにアクセス可能。KOMPLETEのライブラリは膨大なため、リリースのタイミングでは全ライブラリに対応できないかもしれないとのこと。それらについては順次対応する。

各鍵の奥に配置され、キーボードを照らすのが、目にも鮮やかに光るマルチカラーLED。Light Guideと名付けられ、キー・スイッチ、ゾーンなどをさまざまな色で表示する。たとえば、「ACTION STRIKES」などのKONTAKT Instrumentのキー・スイッチがある色で照らされ、パフォーマンスに使う他の鍵盤は他の色で照らされる(KONTAKTの鍵盤表示と同じに色分けされる)。これで、キーボード上のインストゥルメント・レイアウトを一目で把握でき、PCのディスプレイに目をやる必要もなくなるという寸法だ。また、ライトはパフォーマンスのフィードバックにも使用される。スケール、コード、アルペジオが演奏されると、鍵盤上が点灯する。

Smart Play機能も本機ならでは。コード・モードでは複雑なコードを一つの鍵盤で弾くことが可能。 すぐに演奏に使用できるコード進行を活用して、オリジナルの楽曲のためのインスピレーションをここから汲み取ったり、新しいテイストを付け加えたりすることができる。鍵盤が苦手な人にうれしい機能だ。

スケール・マッピング機能は、選択したキー/スケールに合った鍵盤だけをLEDがライトアップするというもの(ルートはより明るく点灯する)。照らされた鍵盤のみを鳴らすモードのほか、スケール外の鍵盤を押した際にスケール上の音を代わりに鳴らす(自動的にリマッピング)といったモードも備える。これにより間違ったノートは鳴らないため、常にメロディが正しく保たれるのだ。スケールの勉強をしたい人は、前者のモードのほうが適しているだろう。このほか、広く用いられているスケールの多くを白鍵にマッピングすることも可能。さらにアルペジエーターも用意。すべてのKOMPLETE Instrumentとシームレスに連携し、8つのコントローラー・ノブでディレクション(UpやDownなど)、レート、リズム、パターン、バリエーションなどのパラメータを調整できる。なお、これらの機能はキーボード単体ではなく、KOMPLETE KONTROLソフトウェアとの組み合わせで実現しているものとのこと。


▲KONTAKTでは鍵盤を分割し、左側が奏法の切り替え(キー・スイッチ)、右側が音程といった具合に機能が分けられるライブラリがあるが、このマルチカラーLEDなら一目瞭然(写真左)。スケール上のノートの鍵盤のみを照らすモードも用意(写真右)。写真ではCのみがより明るくなっているのがわかるはず。


▲タッチセンサー式のTouch Kontrolsはリボンコントローラーのような触り心地。右側にあるLEDで現在のパラメーターがわかる。スプリングやボールの動きに設定すれば、このLEDがが手を離した後でも動き続け、データを送信し続ける。
トップパネル上の機能でもう1つ注目したいのが、2つのタッチセンサー式Touch Kontrols。ピッチやモジュレーション・ホイールの動作だけではなく、スプリングや弾むボールといった「物」をも模倣して、モジュレーション・カーブを作成するのが特徴だ。こう書くとわかりにくいのだが、センサーから手を離してもパラメーターが動き続けるのが、従来のコントローラーと違うところ。手を離した時の勢いでピッチベンドやモジュレーションといったパラメーターが変化し続けるのだ。変化の度合いを決定するパラメーターとして摩擦や重力などを用意、最大値/最小値まで行ったら跳ね返る、放物線を描くように数値が増減するといった複雑な変化が得られる。

16のキー・スプリットやTouch Kontrolといった機能は、キーボードを標準MIDIコントローラーとして使用する場合にも動作するので、KOMPLETE以外のインストゥルメントのコントロールにも活用可能だ。本体背面にはMIDI入出力、1/4インチTS接続のエクスプレッション・ペダルとサスティン・ペダル端子も備える。

KOMPLETE KONTROLソフトウェアを使用するためには、登録済みの「KOMPLETE 9/9 ULTIMATE」「KOMPLETE 10/10 ULTIMATE」が必要。単体発売の個別のKOMPLETE Instrumentには対応しない。

対応OSはWindows 7または8、Mac OS X10.8または10.9。対応プラグイン・フォーマットは、WindowsがVST(32 & 64-Bit)/AAX(32 & 64-Bit)、Mac OS XがVST(64-Bit)/AU(64-Bit)/AAX(64-Bit)。Windows、Macともスタンドアローンでも動作する。


▲61鍵モデルと25鍵モデルを比較すると、違うのは鍵盤数のみでコントローラーの数はまったく同じ。写真にはないが、49鍵モデルももちろん同様。鍵盤左にTouch Kontrol、鍵盤奥の中央にパラメーターを操作するノブ、右にブラウズ用のボタンを配置する。

◆KOMPLETE 10
価格:59,800円(アップデート 22,800円)
◆KOMPLETE 10 ULTIMATE
価格:119,800円(アップデート 45,800円)
◆KOMPLETE KONTROL S61
価格:79,800円
◆KOMPLETE KONTROL S49
価格:69,800円
◆KOMPLETE KONTROL S25
価格:59,800円
発売日:2014年10月1日

◆KOMPLETE 10 製品詳細ページ
◆KOMPLETE 10 ULTIMATE 製品詳細ページ
◆KOMPLETE KONTROL S-Series 製品詳細ページ
◆Native Instruments
◆BARKS 楽器チャンネル
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス