【インタビュー】河村隆一「今までのアルバムのなかで、もっとも爆音で聴いて欲しいロックなアルバムができました」

ツイート

この秋、LUNA SEAからソロモードへとシフトした河村隆一が、さっそくミニ・アルバムConcept RRR 『never fear』をリリース。河村史上もっとも「爆音で聴いてもらいたいロックなアルバムになった」と語る本作について。さらには、本作誕生に深く影響を与えたLUNA SEAの活動についてや、河村隆一を知るためのお楽しみR10クイズなど、内容盛りだくさんのインタビューをお届けしよう。

◆河村隆一~拡大画像~

■ソロ・アーティストが作るロック・アルバムって、ボーカルをメインに音をミックスしていくけど
■今回の作品はあえてギター・サウンドやバンド・サウンドを意識してミックスしてもらっている


 ▲Concept RRR「never fear」CD+DVD
 ▲Concept RRR「never fear」CD
──まずは本作に掲げられた“Concept RRR”というテーマについて教えてください。

河村隆一(以下、河村):今回のトリプルRというのは、Rock・Roots・Ryuichiということを打ち出しています。前作『Life』は僕なりの大人のロックの提案をした作品だったんですが、いま、LUNA SEAは結成25周年のツアーをやっていて、そこで常に真矢、JとかSUGIZO、INORANの音を聴いていると「やっぱり俺(“Ryuichi”)の“ROOTS“はここ(LUNA SEA)なんだな」と強く思ったんです。それで、前作よりももうちょっとうるさめの“ROCK“というものを作りたいと思ったんです。ソロ・アーティストが作るロック・アルバムって、ボーカルをメインに音をミックスしていくからギターの音が迫ってくるようなものではない、歌ものとして聴こえてくるものが多いんです。でも、今回の作品はあえてギター・サウンドであったりバンド・サウンドを意識してミックスしてもらっています。いつも以上にボリュームを上げて聴いて欲しいですね。

──LUNA SEAのツアーがなければ、本作もうるいさいものにはなっていなかった?

河村:かもしれません。でも、今年はこれまで毎週メンバーと一緒にいましたからね。

──そのテンション感をダイレクトにソロに反映してみたと。

河村:うん、シンプルに。そのほうが素直でいいかなと思って。

──なるほど。では、収録曲に関して聞いていきたいと思います。1曲目の「Victory」はライブのSEのようなイメージですか?

河村:実際にSEとして使おうと思っています。思いついたピアノのフレーズに、レスリースピーカーを使ったギターを入れて、歌は「勝った、勝った!」というイメージだけがすごくあったので、さらっとそれを歌ったらこうなりました。

──歌といっても、これは隆一さんの声をフィーチャーしたインスト曲。ライブではこれ、生のセッションで聞けるんでしょうか。

河村:歌わない予定ですけど……そういうのもいいですね。じゃあ、いつか(笑)。

──次の「never fear」(新劇場版『頭文字D Legend1-覚醒-』主題歌)は、ミドルテンポの楽曲をぶつけたところが、まずは驚きでした。

河村:僕はまず映像と音楽のマッチングはすごく大切だと考えています。プロデューサーから「完全にお任せします」と言われない限りは、いつも僕からどういう楽曲がいいのかを細かく聞くんです。今回はミディアムテンポの雰囲気のある楽曲をというイメージが明確にあったので、僕なりにそのイメージに近い楽曲をまずサウンドトラックから作って。メロは最後につけました。オーダーがあると窮屈で書けないっていう人もいるんだけど、僕はあったほうが書きやすい。だから、この曲はこの映画がなければ生まれなかった楽曲といってもおかしくないんです。

──隆一さんはクルマ好きですが、この原作は?

河村:クルマが好きな人はみんなここは通っていますね。でね、レーサーって、じつはすごく冷静なんですよね。助手席に乗ってサーキットや峠道を飛ばしてもらっても、車内はジュースが飲めるぐらい快適なんです。ブレーキングは強烈ですけど。それ以外は本当に鼓動が聴こえてくるぐらい静か。そういう冷静沈着ななかから生まれる静謐感。そこはこの音楽のなかに入れ込みたいと思っていました。

──3曲目の「taboo」。歌詞のテーマは禁断の恋愛?

河村:そういうイメージに聴こえるかもしれないですが、実際はそうではないんです。僕のなかのtabooとは、その人の限界。限界を冒すことで本当の自分が見えてくることもあるんじゃないかなと思って、臆病な相手に対してそんなtabooは壊してしまおうと。そうすれば君はもっと強くなれるし、もっと美しくなれるというイメージで書いた歌詞です。

──「長い夜の終わりに」は曲調、テンポ感も含めて、本作のなかではもっともソロ・河村隆一色が強いナンバーかなと。

河村:そうですね。この楽曲は歌詞の世界観のことを話すと、いまは人が世の中を信じる気持ちを取り戻そうとしてジタバタしているように僕には見えているんです。リーマンショック、原発の事故……たくさんの惨事があって「どうせ世の中うまくいかないだろう」という意識が強い時代だと思うんです。でも、僕らが10代の頃。バブルの時代はどんどんやれ、どんどんよくなるという希望に包まれ、お金をばらまいている時代だった。その時代をいま取り戻す必要はないけど、もし1億2000万の全国民がこの国をもう一度信じて、自分がやらなければいけない努力を半歩でもやれば、何かが変わる気がするんです。そんな夜明けのイメージでこういう詩を書いてみたんです。みんなの意識の変化で、世の中も変わるんじゃないかと。まずは自分から行動しようと。

──隆一さんなりのいまの世の中に対するメッセージソングですね。「小さな花」と「かけがえのない宝物」は元々happilyのオリジナルソングとして書き下ろしたものでしたが。

河村:happilyというのは写真館で、そこに子供たちの記念写真を撮影に来るわけですけど。こういう次の世代、子供たちへのメッセージをロック・アルバムにはぜひ入れたいと思って。ビートルズとかもそうだったじゃないですか。そこはすごく大事だなと思っているんです。今回新たにロック・アレンジをほどこして、構成もちょっとずつ変えて収録しました

──アルバムの最後に収録された「愛の唄」は、まさにこの作品のハイライト。

河村:実は、これはLUNA SEAのデモテープをみんなから集めてたときに僕が出した曲なんです。このギターを弾いてくれたSUGIZOの音は、彼がLUNA SEAのプリプロで弾いてたテイクをそのまま使っています。元は僕がギターを弾いて入れていたんですが、スギちゃんが「ちょっとこれ、いじってみたいな」っていって弾いてくれたものがすごいカッコよくて。これ以外考えられないなと。そのときに真矢君もドラムを叩いていたんで、ドラムに関してはスタジオに来て叩いてもらったものを入れました。

──これ、もしかするとLUNA SEAのアルバムに入ってたかもしれないんですか?

河村:『A WILL』にはすでに「Grace」があったからね。それで、バラードはもういらないなと思って、メンバーに「これ、ソロで使いたいからソロに持っていくね」っていってた曲を今回ここに入れたんです。

──この曲なんかはすごくLUNA SEAに近いところにあると思うんですが。ここで少しだけLUNA SEAの話も聞いてみたいと思います。全国ツアー、前半戦を終えてみての手応えを聞かせてもらえますか。

河村:今回のツアーは僕にとっては同窓会みたいなイメージがすごく強いんです。16年前に行った会場に当時来てたファンが来てくれてたりするんで、本当にアットホームな、温かみのあるLUNA SEAのツアーになっていると思います。あと、このツアーで初めてLUNA SEAを観たっていう人が意外と多いんです。ファンの人たちの交流を通して、また新しいファンが育っていくツアーになっていると思います。それから、僕がLUNA SEAについて話しておきたいのは、いま“レジェンド”だとか“神”だとか“神曲”とかいわれるじゃない? そういうのが嫌で。

──ダメですか?

河村:レジェンドとして扱ってくれるのは嬉しいんです。でも、まだ俺らは生きてるし(笑)。神って人間を超越してる存在だと思うんです。僕らはまだまだ伸びようとしているし、広げようとしているし、掘り下げようとしていまもまだ何か探そうとしてるわけだから、神だとか言われても「いやいや、まだ未熟だからこうして頑張ってるんだよ」って思うから、僕はそういう風に言われることに対して心がしっくりこないんです。神とか仏になれないからこそ、この俗世間で頑張ってるわけですから。俺たちは別に神でもなにものでもないです。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス