【イベントレポート】カラオケ世界大会「KWC2014」の国内決勝、ハイレベル過ぎる戦いで男女各1名の日本代表が決定

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2003年から毎年開催されているアマチュアのカラオケ世界一を競う「KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS」(KWC)。その国内決勝大会が9月27日、六本木のニコファーレで開催され、11月にスウェーデンのストックホルムで行なわれる世界大会に臨む日本代表男女1名ずつが決定した。

この日のKWC日本大会決勝には、カラオケの「DAM★とも」によるオーディション、さらに全国7か所の予選会を勝ち抜いた29名の精鋭が参加。その29名が次々にステージ上に呼び込まれるところから大会はスタートした。ちなみにこの大会の模様はニコニコ生放送でも中継されていて、ニコファーレの特徴である壁面全体を使ったスクリーンには、きらびやかな映像とともに“ニコ生”の視聴者が書きこんだコメントも次々に流れてくる。そんな独特の雰囲気の中、挑戦者全員がステージに並ぶと、続いて2013年の日本代表に選出された田中照久さんと萱野夏紀さんがゲストとして登場し、世界大会に臨む気持ちや緊張への対処法などのアドバイスをコメント。そして萱野さんはアンジェラ・アキの「This Love」を、艶やかでパワフル、情感豊かな素晴らしい歌声で披露し、一気に会場の雰囲気を盛り上げた。

決勝大会は1stステージからスタート。水木一郎の「マジンガーZ」に始まって、CHAGE&ASKAやサザンオールスターズ、aiko、尾崎豊などアニメソングやポップスをチョイスした人が多かったが、本格的な演歌を選んだ女性も二人。また、模造日本刀でのアクションを見せた女性や、高橋真梨子の「for you...」を完璧に歌った男性、綾波レイのコスプレで登場し「魂のルフラン」を歌った女性など、見どころが多く飽きさせないパフォーマンスが続いた。そして驚くべきは、その歌唱力の高さ。初めのうちこそ顔に緊張の色が浮かんでいる人も少なくなかったが、さすがに予選を勝ち抜いてきた猛者たちだけに、歌い始めればみんな驚くほど上手い。1stステージからとてもハイレベルな戦いとなった。

その中から、4人の審査員によって選ばれた男女各3名がファイナルステージに進んだ。審査員のコメントによれば、“もう1曲聴きたいと思った人を選んだ”とのことだ。そしてフルコーラスを歌うファイナルステージは、当然ながら1stステージよりさらにハイレベルで熾烈な争いになった。

1stステージでサザンオールスターズを歌った浜野慎太郎さんは、艶っぽいしっとりした声で、藤井フミヤの「Another Orion」を、決して必要以上に張り上げずに丁寧に歌い上げた。また小林友里花さんはアニメソングの世界観を完璧に表現する力強いパフォーマンスで日笠陽子の「美しき残酷な世界」を、鳥居卓磨さんは1stのやしきたかじんの曲とは打って変わってエルトンジョンの「Can You Feel The Love Tonight」でハスキーな低音を響かせ、末吉実鈴さんは18歳とは思えない迫力と艶のある力強い声で坂本冬美の「また君に恋してる」を歌い上げた。


▲馳平恵大さん


▲倉舘麻美さん

誰もが本当に素晴らしい歌声だったのだが、その中でもやはり代表に選ばれた二人は別格だった。男性の日本代表となった馳平恵大さんは、歌詞もリズムもトリッキーで難しいUNISON SQUARE GARDENの「オリオンをなぞる」を、力んだり抜いたり、メリハリをつけながらパワフルな歌声を響かせた。ステージを広く使った堂々たるパフォーマンスも印象的だった。そして女性代表となったのは倉舘麻美さん。1stステージではSuperflyの「Bi-Li-Li Emotion」をパワフルに歌ったのだが、ファイナルではDestiny's Childの名バラード「Stand Up For Love」を披露。こちらも難しい曲だが、歌い始めは繊細に、曲が盛り上がるにつれてパワフルにハイトーンを響かせ、ソウルフルな声で会場を圧倒した。二人とも、オリジナルのモノマネではなく完全に曲を自分のものにして表現していたし、歌詞の世界が自然に伝わってくるところも素晴らしかった。

最後には、2013年フィンランドで開催された世界大会で優勝し世界チャンピオンになった田中照久さんが再度登場し、田中さんの歌手としてのメジャーデビューが決まったことが発表された。そしてさすがの完璧な歌唱力でさだまさしの「たいせつなひと」を披露し、決勝大会を締めくくった。

代表となった二人は終了後、多くの人に記念撮影をせがまれたりTVのインタビューに応じるなど大忙しだったが、その中で馳平さんは「次の目標は世界で優勝すること。自分の色をもっと出せるようにしたいし、課題もあると思う。世界大会までしっかり取り組みたい」。また倉舘さんは「まだ実感はわかないが、今まで応援してくれた人たち、大切な人のために頑張って歌いたい。世界大会では日本の文化を伝えられたらうれしい」とそれぞれ抱負を語っていた。

馳平恵大さんと倉舘麻美さんが日本代表として出場するKWC 2014世界大会は、11月13日~15日、スウェーデンのストックホルムにあるSolidaritet Arenaで開催される。

◆KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS JAPAN 2014
◆KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS 公式サイト(英語)
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