【ライヴレポート】PIERROT、復活ライヴ最終日に「ここで終わりだということも言いません」

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メンバーを含む誰もが予想しなかったであろうPIERROTの復活公演。10月24日と25日の2日間にわたってさいたまスーパーアリーナで行なわれた<DICTATORS CIRCUS FINAL>が、初日を上回る18,000人を動員して25日にファイナルを迎えた。

◆PIERROT 画像

初日はラストシングル「HELLO」で幕を開けたが、演出も異なった2日目のオープニングナンバーは3rdフルアルバム収録曲「HEAVEN」だ。深紅のエナメルスーツで登場したキリトに大歓声が上がった。

セットリストは、インディーズ時代から演奏され続けてきたPIERROTのライヴに欠かせぬ「Adolf」や「脳内モルヒネ」から後期のナンバーまでバンドのヒストリーを網羅する内容。1日目と2日目でかぶっていたのは最後のサプライズをのぞけば9曲のみだったのが、細部にまでこだわり徹底的にオーディエンスを楽しませてきた彼ららしい。

Angelo、LM.C、ALvinoとしてシーンで活躍し続けてきた5人だが、PIERROTとして揃ってステージに立つのは8年ぶりということもあり、初日はオーディエンスにも、“目の前で起きていることが信じられない”という空気が興奮の中に混ざっていた。しかし、キリトがMCで言っていた「久しぶりという気がしない」という言葉どおり、8年のブランクをアッという間に埋めてしまう光景が広がった。最終日はそれがより濃い。次々に繰り出される曲に、さいたまスーパーアリーナを埋めつくすオーディエンスはイントロの時点で歓喜の声を上げ、キリトのボーカル、アイジ(G)、潤(G)、KOHTA(B)、TAKEO(Dr)の演奏も1日しか経っていないにもかかわらず、一体感を増して水を得た魚のようだ。

痛快なPIERROT流R&R「ネオグロテスク」では野太い声も含めた大歓声が上がり、ゲストサックスを迎えた「夕闇スーサイド」には、そのパフォーマンスとグルーヴィな演奏に惜しみない拍手が贈られた。後半戦に向かうに連れてライヴは熱を帯びていき、本編ラストはデビュー・シングル「クリア・スカイ」で締められた。

名曲「ラストレター」で始まったアンコールでは、初日には語られなかったこと、そして会場に集まった人たち全員が気になって気になって仕方がなかったであろうことをキリトが口にした。

「8年前、突然解散を発表して最後のライヴもせずに、それぞれが別の形で突っ走ってきました。たくさんの人に迷惑をかけましたが、考えてみたら、解散する前から迷惑をかけてきました(笑)。そういうメンバーだと思って、これからも愛してください。昨日、今日と本当に素晴らしい時間でした。これから先のことは何も決まっていないし、何も約束できません。過ぎてしまったことを語る気はないし、大切なことは今現在だと思います。ただ、何の約束はできないですが、PIERROTというバンドはここで終わりだということも言いません。いつ、何をしでかすかわかりませんが、そこに理由を求めてもムダだということも覚えておいてください(笑)。でも、1つ言えるのは俺自身もステージに立ってどういう気持ちになるのかわからなかったけれど、この5人のPIERROT、最高だなと心の底から思ってます! そして、支えてくれてきたキミたちも誇りです。どうもありがとう!!」──キリト

大げさでも何でもなく、奇跡のようなPIERROTの復活公演が、本当の意味での解散を告げるライヴではなかったという事実を受け止めたオーディエンスから、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こったのは言うまでもない。

アンコールの最後の曲はキリトが「2度とこの5人では演奏できないと思っていた」と語った「CHILD」。あの頃のように、みんなの歌う声が場内に響きわたったときには鳥肌が立った。

「改めて思うことはオマエら、最高だ!」と叫んだTAKEO。
「夢のような時間でした。また逢いましょう」と告げたKOHTA。
「幸せな2日間をどうもありがとうございました」と感謝の言葉を述べたアイジ。
「この景色は死んでも忘れません。今日でお別れじゃないから。愛してるよ!!」と叫び、黄色い声を浴びた潤。

全員がピックを投げたり、メンバー同士でハイタッチした後は並んで最後の挨拶。そして、全てが終わろうとしているそのときにオーディエンスから特大のアンコールが響いた。予想しなかった展開にあわてて、輪になって相談する5人が最後の最後に演奏したのは興奮度マックスのナンバー「蜘蛛の意図」。それでも、まだ鳴りやまないアンコールを笑ってさえぎり、復活公演は幕を閉じた。

詳細レポートは後に届けるが、この日、キリトが「明日から自分たちも大切な帰るべき今に帰ります」と言っていたように、5人はそれぞれの場所に戻っていく。だが、本当にメンバーも予想していなかったことだろうが、いちばん大切なステージという場所に立ち、熱狂するオーディエンスを目の前にして、PIERROTは再び、「HELLO」と告げたのである。これもまたひとつの奇跡であることは間違いない。

取材・文◎山本弘子

■<PIERROT DICTATORS CIRCUS FINAL -BIRTHDAY->
2014/10/25@さいたまスーパーアリーナsetlist
1.HEAVEN
2.新月
3.ENEMY
4.Adolf
5.脳内モルヒネ
6.トリカゴ
7.真っ赤な花
8.深い眠りが覚めたら
9.ANSWER
10.PIECES
11.神経がワレル暑い夜
12.ネオグロテスク
13.夕闇スーサイド
14.MAGNET HOLIC
15.MAD SKY-鋼鉄の救世主-
16.薔薇色の世界
17.ATENA
18.クリア・スカイ
[ENCORE]
1.ラストレター
2.BIRTHDAY
3.SUPER STRING THEORY
4.ドラキュラ
5.SEPIA
6.HUMAN GATE
7.CHILD
[W ENCORE]
1.蜘蛛の意図

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