D.W.ニコルズの鈴木健太です。

ここ数年、アナログレコードの再評価・再人気に関するニュースなどを見かけることが多くなりましたが、最近ではさらにその熱が高まっているように感じます。国外だけでなく国内でも新譜をアナログでもリリースするミュージシャンも増えているようです。アナログレコードの音質だけでなく、モノとしての価値も再評価されているのは嬉しいことだと思います。

さて、久しぶりの更新となってしまった今回では初心に戻り、僕がオリジナル盤にハマったきっかけとなったバンド、The Bandのセカンド・アルバムでセルフタイトルの名盤『The Band』を取り上げます。



『The Band / The Band』(1969年)

大好きなあまりにThe Bandの作品はこの連載でも色々登場しているけれど、このセカンドアルバムは、ロックに最も影響を与えたと言われるファースト『Music From Big Pink』とともにロック史に燦然と輝く大傑作。The Bandのこの初期2作『Music From Big Pink』『The Band』を聴かずしてロック好きとは言えないでしょう。

ビートルズのセルフタイトル作『The Beatles』がその真っ白なジャケットから「ホワイト・アルバム」と呼ばれるが如く、この『The Band』はその茶色のジャケットから「ブラウン・アルバム」と呼ばれています。サミー・デイヴィス・ジュニア邸に機材を持ち込んで収録曲の大半を録音したというこの作品は、まるで木の温もりをそのまま感じるような暖かみのある音色。僕はオリジナル盤にハマり始めた当時、真っ先にこのアルバムこそオリジナル盤を聴いてみたいという衝動に駆られました。

最近ではThe Bandのオリジナル盤をレコード屋で目にすることが不思議と増えたように感じますが、僕が探していた当時は、The Bandの作品の中でも特に人気のある『Music From Big Pink』と『The Band』のオリジナル盤にはなかなか出会うことができず、躍起になって探しました。出かけたついでには必ずと言って良いほどレコ屋を巡りましたが、都内ではついに出会えず、やっと手に入れたのはツアー先の高松のレコ屋でした。

やっとの思いで手に入れた“ブラウン・アルバム”こと『The Band』のオリジナル盤。しかし、それが新たな旅の始まりだったのです。

今、僕の手元には4枚のブラウン・アルバムがあります。なぜ同じアルバムが4枚もあるのか、ここにもオリジナル盤、レコードの面白さが秘められ ています。今回はその経緯を書いていきたいと思います。

まず最初に手に入れたブラウン・アルバムのUSオリジナル盤がこれ。




CDでは「何だか地味なジャケットだな」と思わざるを得なかったこのジャケットも、レコードで手に取るとまったくの別物。このどう見ても只者ではない5人組の写真の凄味といい(最高にカッコいい!)、茶色の質感といい、ただならぬ貫禄です。時代は1969年。ウッドストックが開催された年であり、サマー・オブ・ラブの余韻を引きずるフラワー・ムーブメントの真っ只中。そして音楽の商業ビジネ ス化がどんどん進む中での、時代を逆行したようなこのジャケットのインパクトは相当なものだったでしょう。